「奨学金って借金なの?返さなくていいの?」「給付型と貸与型の違いは?」「利子はいくら?」――大学進学を考えるとき、奨学金の仕組みを理解していないと将来に大きな影響が出ることがあります。
日本では全学生の約3割が奨学金や修学支援制度を利用しています。そのうち約9割が「貸与型」、つまり将来の自分が返さなければならない借金型の奨学金です(日本学生支援機構)。正しく理解して活用することが、将来の経済的負担を軽くするカギとなります。
この記事では、日本の奨学金制度の全体像から申請方法、返還の仕組みまで、図解でわかりやすく解説します。
日本の奨学金制度の全体像:3種類の主要制度
日本には国が実施する公的奨学金と、民間・大学独自の奨学金があります。最大規模で利用者が多いのは「日本学生支援機構(JASSO)」が運営する制度です。
| 種類 | 概要 | 返済 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 給付型奨学金 | 月2〜7万5千円を支給 | 返済不要 | 低所得世帯・成績要件あり |
| 貸与型(第一種) | 月2〜12万円を貸与 | 無利子で返済 | 成績・家計基準あり |
| 貸与型(第二種) | 月2〜12万円を貸与(上限選択) | 有利子で返済(年0〜3%上限) | 第一種より採用基準ゆるやか |
| 出典:日本学生支援機構(JASSO)「奨学金制度の種類と概要」 | |||
給付型奨学金(修学支援新制度)の仕組み:返済不要のしくみ
2020年4月から始まった「修学支援新制度」(高等教育の修学支援新制度)は、経済的に苦しい家庭の学生が「授業料等減免」と「給付型奨学金」をセットで受け取れる制度です。
以前は給付型奨学金が限られた枠しかありませんでしたが、この制度により給付奨学金の対象が大幅に拡大されました。経済的事情で大学進学をあきらめることがないようにするという国の強い意志が反映されています。
対象者の条件(2026年度)
- 世帯収入の目安:住民税非課税世帯(年収270万円程度以下)が第Ⅰ区分として満額支給。年収300〜380万円程度の第Ⅱ・Ⅲ区分は2/3・1/3の支給。
- 学業成績:高校での成績が「学習意欲があること」(5段階評定で平均3.5以上または学修計画書など)が要件。
- 在籍する大学:文部科学省が定める「確認大学」に在籍していること。
給付額の目安(大学・自宅外通学の場合)
- 第Ⅰ区分(非課税世帯):月75,800円+授業料等減免最大約70万円/年
- 第Ⅱ区分:第Ⅰ区分の2/3
- 第Ⅲ区分:第Ⅰ区分の1/3
「奨学金制度の仕組み」の違いを事前に知っていましたか?
- 詳しく知っていた
- なんとなく知っていた
- あまり知らなかった
- まったく知らなかった
貸与型奨学金(第一種・第二種)の仕組み
第一種(無利子):成績優秀者向け
無利子で借りられる代わりに採用基準が厳しく、高校での成績が上位3分の1程度以内であることが目安です。月額は国公立大自宅通学なら2〜45,000円、私立大自宅外通学なら最大120,000円から選べます。
第二種(有利子):幅広い学生が対象
採用基準が第一種よりゆるやかで、多くの学生が利用できます。在学中は無利息ですが、卒業後の返済開始とともに利息が加算されます。利率は固定・変動を選べ、上限は年3%。実際の利率は0〜1%台で推移しています。月額は2〜120,000円から選択。
💰 奨学金の申請〜返還フロー
予約採用申請(在学中)
在籍確認・振込開始
毎月振込(貸与型は無利子)
返還開始(最大20年)
奨学金の返還方法:月賦・所得連動型の選択
貸与型奨学金は卒業後(または退学・休学終了後)6か月経過後に返還が始まります。返還方法は2種類あります。
① 定額返還方式(月賦)
毎月一定額を返還する一般的な方法。返還期間は最長20年(第一種)または最長20年(第二種)。たとえば月6万円を4年間借りた場合の総借入額は288万円。月1万2千円ずつ返還すると約20年で完済します。
② 所得連動返還方式
年収に応じて返還額が変わる方式。収入が少ない時期は返還額が少なく、収入が増えると増加します。就職後の収入が不安な人に向いています。ただし返還総額が増える可能性があります。
奨学金のデメリット・注意点
① 貸与型は「借金」であることを認識する
月6万円の第二種奨学金を4年間借りると総額288万円の借金になります。利息(仮に年1%の場合)が加わると返還総額は300万円超になります。社会人になってからの返還負担が生活設計に影響することを事前に把握しておきましょう。
② 延滞すると個人信用情報に傷がつく
奨学金の返還を3か月以上延滞すると、個人信用情報機関(CIC等)に延滞情報が登録されます。これが残ると住宅ローンやクレジットカードの審査に悪影響が出ることがあります。返還困難な場合は「減額返還」「返還猶予」「所得連動型への変更」を早めに申請することが重要です。
③ 採用取消・打ち切りになる場合がある
成績が著しく低下した場合や休学・留学・退学などで採用取消になることがあります。給付型は年1回の成績審査があり、基準を下回ると支援停止となります。
こんな人は民間・大学独自の奨学金も探そう
JASSOの奨学金は最大規模ですが、民間財団・企業・地方自治体の奨学金は「給付型」かつ「競争率が低い」ものも多くあります。特定の条件(出身地域・専攻・将来の職業など)が合えば、JASSOより有利な条件で支援を受けられます。
- 民間財団の奨学金:ソニー財団、三菱みらい育成財団などは返済不要で月額数万円以上
- 大学独自の奨学金:各大学が設ける給付型奨学金(入学時の成績・家計審査)
- 地方自治体の奨学金:卒業後に地元で就職すれば返還免除になるものも
よくある誤解:奨学金についての3つの勘違い
誤解①「奨学金はもらえるお金(返さなくていい)」
日本の奨学金の約90%は「貸与型(返済が必要)」です。「奨学金」という名称から「もらえるもの」と思い込んでいる人がいますが、社会人後の返済負担があります。給付型は返済不要ですが、家計・成績の条件を満たす必要があります。
誤解②「成績が良ければ必ず採用される」
家計要件(収入制限)も重要な採用基準です。特に給付型・第一種はどちらも成績と家計の両方を審査します。成績優秀でも家計が豊かすぎると採用されないケースがあります。
誤解③「卒業したら自動的に返還が始まる」
卒業後6か月経過した月から返還が始まりますが、返還の手続き(銀行口座の登録など)を忘れると延滞扱いになります。JASSOから送られてくる案内を必ず確認することが重要です。
まとめ:奨学金制度を正しく理解して賢く活用しよう
- 日本の奨学金は「給付型(返済不要)」と「貸与型(返済必要)」に大別される
- 全学生の約3割が利用し、利用者の約90%は貸与型(第一種・第二種)
- 2020年開始の修学支援新制度で給付型+授業料減免のセット支援が大幅拡大
- 貸与型は「借金」であり、社会人後の返済計画を事前に立てることが重要
- 延滞すると個人信用情報に悪影響があるため、困ったら早めに猶予申請を
- 民間・大学独自の奨学金も積極的に探すと給付型の支援が見つかることがある
「奨学金制度の仕組み」の違いを事前に知っていましたか?
- 詳しく知っていた
- なんとなく知っていた
- あまり知らなかった
- まったく知らなかった
📚 参考文献・出典
- ・日本学生支援機構(JASSO)「奨学金制度の種類と概要」https://www.jasso.go.jp/
- ・文部科学省「奨学金事業の充実」https://www.mext.go.jp/
- ・JASSO「2026年度進学予定の皆さんへ早わかりガイド」







































コメントを残す