通販サイトで売られているチャイルドシートの中に、国の安全基準を満たしていない未認証品が混じっています。2026年10月18日の朝日新聞の報道で、国土交通省への取材から分かったと伝えられました。販売されているのは大半が中国製で、「クッション」と書きながらチャイルドシート本体と誤認させる紹介をする製品もあったそうです。
車を持っていない私は、今回調べるまで、チャイルドシートの「Eマーク」が何を示すのか知りませんでした。国交省と警察庁、JAFの公開資料を開いて確かめると、通販で見分けるときに見るのはEマークの有無で、その後ろの文字列は取付け方式の区分を表していました。数字は2026年10月時点の公開資料で確認しています。
- 基準に適合したチャイルドシートには、製品にEマークが添付されている
- 国交省は2017年から通販サイトを確認し、昨年度はアマゾンに25件の削除を求めた
- 6歳未満は使用の義務があり、未認証品を使うと道路交通法違反になる
- 認証品でも、JAFの調査では25.2%が正しく取り付けられていなかった
未認証のチャイルドシートは何が足りない製品なのか
国が安全基準に適合していると示す印がEマーク
国土交通省のチャイルドシートのページには、現行の安全基準に適合しているものには製品にEマークが添付されている、と書かれています。このマークを確認して購入するよう呼びかけています。
国交省は、インターネット通販で国の安全基準に適合している事を示すマークが表示されていないチャイルドシートが売られていることを受け、実際に販売されている7製品を購入して検証しました。結果は、7製品とも国の安全基準に適合していないことが確認されたというものです。
Eマークの横にある文字列は取付け方式の区分
国交省のページには、チャイルドシートの種類ごとに、Eマークの近くに表記される区分が並んでいます。i-Size、Universal ISOFIX、Specific Vehicle ISOFIX、Universal Belted、Specific Vehicle Belted、それにブースターシートとブースタークッションの区分です。
ここで見落としたくないのは、ブースタークッションにも認証された区分があることです。「クッション」という名前だけで未認証と決めることはできません。見るのは名前ではなく、Eマークとその区分が製品に付いているかどうかです。
国交省は2017年から通販サイトを見ている
昨年度はアマゾンに25件の削除を要請
朝日新聞の記事によると、国交省は2017年から通販サイトをチェックし、認証を受けていないとみられる製品があれば、サイト運営者に商品ページの削除を求めてきました。昨年度はアマゾンに25件を要請し、前年度から10件増えたとされています。
前年度の件数は、25件から10件を引いて15件と計算できます。要請の件数が1年で15件から25件に増えたことになります。
認定証の画像を加工して出してくる出品者もいる
削除要請の対象になった商品のほとんどは中国製でした。国交省が出品者に問い合わせると、他社製品の認定証を加工した画像を出してきたり、問い合わせに応じなかったりするケースがあったといいます。
商品ページに認定証らしい画像が載っているだけでは、安全の確認になりません。画像は加工できるので、製品そのものにEマークが付いているかを見る必要があります。
ページを消しても別のページで売られる
一度は商品ページが消えても、同じような製品が別のページで売られることが多く、記事は「いたちごっこ」の状態が続いていると伝えています。削除を求めても同じような製品が別のページに出るため、買う側が自分で見分ける場面は残ります。
チャイルドシートを選ぶとき、どこで買う(買った)ことが多いですか?
- 店頭で実物を見て買う
- 通販で買う
- 譲り受けや中古
- 買う予定はない
認証のない製品を使っても使用義務を果たしたことにならない
6歳未満は使用の義務、未認証品は道交法違反
道路交通法は、6歳未満の子どもを車に乗せるときのチャイルドシートの使用を義務づけています。朝日新聞の記事は、未認証品を子どもを乗せる際に使うと道交法違反になる、と書いています。通販で安く買えたとしても、基準を満たさない製品では義務を果たしたことになりません。
条文が求めているのは「保安基準に適合した装置」
警察庁のページに載っている道路交通法第71条の3第3項は、使用を求める幼児用補助装置を「道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定に適合し」たものと定めています。チャイルドシートは、車の部品と同じように、道路運送車両法に基づく保安基準で品質が決められています。
保安基準は、国内だけで決まるものではありません。たとえば踏み間違い急発進抑制装置の基準は、日本の提案で国連の基準づくりが始まり、国際基準の成立を受けて国内の保安基準が改正されました。
通販でチャイルドシートを選ぶときの確認手順
商品ページでは名前よりもEマークの表示を見る
商品ページでは、チャイルドシートという名前や説明文より、Eマークの表示と区分の表記が写っているかを先に見ます。クッションと書かれているのに本体のように紹介している商品は、報道で取り上げられた例と同じ形です。
販売者に問い合わせるときは、返ってきた認定証の画像だけで安心しないことです。国交省が出品者に問い合わせた際にも、他社製品の認定証を加工した画像が出てきた例がありました。
届いたら製品本体にEマークがあるか確かめる
国交省は、基準に適合しているものには製品にEマークが添付されていると説明しています。届いた箱から出して、本体のどこにも見当たらなければ、使わずに販売元へ連絡するのが安全です。子どもを乗せる前に確認できるのが、この段階です。
怪しい商品は国交省の情報窓口に知らせる
国交省は、インターネット通販などで安全基準を満たしていないと思われるチャイルドシートを見つけたときの通報窓口を設けています。保安基準に適合しない、または適合しないと思われる製品の販売サイトの情報を、フォームで受け付けています。
通販で買う安全関連の製品は、チャイルドシートだけではありません。モバイルバッテリーにも、PSEマークの有無を確認するよう書いた記事があります。
R44とR129は何が違うのか
後ろ向きの目安が体重から身長に変わった
JAFによると、旧規則R44は、後ろ向きで使う期間の区切りを体重9kg未満で決めていました。前向きに替えてよい月齢の目安は12ヶ月頃でした。新規則R129では、体重ではなく身長76cm以上を基準にし、月齢15ヶ月を超えるまで前向きタイプの使用を禁止しています。
前向きにできる月齢の目安は、12ヶ月頃から15ヶ月を超えるまでで、3か月(15−12)後ろにずれた計算です。
R129では側面衝突が試験に加わった
JAFは、R129の新しい安全規則で、ドア側(側面)からの衝突に新たに対応していると説明しています。R44には、側面衝突への対応がありませんでした。
JAFによれば、2023年9月以降は、R129に適合したチャイルドシートだけが生産されています。国交省の審議会資料では、R129対応の乳幼児兼用タイプは2018年に出荷が始まり、2年ほどで約25%のシェアになったと紹介されています。
旧基準の製品でも、側面衝突で強打はなかった
ここは、私が思い込んでいた部分でした。新基準の製品は安全で、旧基準の製品は危険だと考えていたのです。JAFは2024年10月9日と10日に、時速50kmの側面衝突を再現したテストを交通安全環境研究所の自動車試験場で行いました。
6歳のダミー(約114cm)を使い、正しく取り付けたR44の製品とR129の製品を比べています。結果は、どちらもダミーはチャイルドシートの中に収まり、重篤な傷害につながる体や頭部の強打はありませんでした。名古屋大学の水野教授のコメントは、どちらも安全の範囲内で、細かく見るとR129のほうがわずかに良い結果だった、というものです。
この比較は、どちらもEマークのある製品同士の話です。7製品とも基準に適合しなかった未認証品は、この比較の外側にあります。
認証品でも取付けと座らせ方で守れなくなる
正しく取り付けられていたのは74.8%
JAFは警察庁と合同で、2025年5月10日から6月14日まで全国99か所でチャイルドシートの使用状況を調べました。6歳未満全体の使用率は82.4%で、過去最高です。ところが、乳児用と幼児用のチャイルドシートが車に正しく取り付けられていた割合は74.8%で、残りの25.2%は何らかの問題がありました。
Eマークのある認証品を選んでも、取付けが不十分だと、事故のときにチャイルドシートがシートベルトから外れるおそれがあります。警察庁のページにも、取付け固定が不十分だと、シートベルトから分離したり、幼児が飛び出したりして、本来の機能が発揮できないことがあると書かれています。
座らせ方の誤りは44.4%
着座状況の調査では、正しく座らせることができていなかったのが44.4%でした。取付けが正しくても、肩ベルトを通す位置や子どもの座り方が違えば、守る力は下がります。
5歳の使用率は66.7%にとどまる
2025年は、使用の義務がある1歳未満から6歳未満までのすべての年齢層で、使用率が前年より上がりました。なかでも使用率の低い5歳は、前年から約9ポイント増えても66.7%です。
JAFは、5歳の3分の1が使っていない実態だとしています。義務のある6歳未満の中でも、5歳は使われていない割合が高い年齢です。
後付けのISOFIX取付け金具という別の落とし穴
国交省のページは、未認証のチャイルドシートとは別に、後付けのISOFIX取付け金具にも注意を呼びかけています。ISOFIXは、シートベルトを使わず、専用の金具で座席に固定する取付け方法です。誰でも簡単・確実に取り付けられる方式として、国交省は説明しています。
ISOFIXのアンカレッジ(車側の金具類)は、強度や取付け位置が道路運送車両の保安基準の第22条の5第2項で定められています。国交省は、この基準に適合していないおそれがある後付け金具が流通していると伝えています。ISOFIXの金具が付いていない車に後付けして事故が起きると、金具が破断したり折れ曲がったりして、最悪の場合は座席からチャイルドシートごと車外へ放出されるおそれがある、という説明です。
基準に適合していることが確認できない後付け金具は使わない、というのが国交省の案内です。金具のない車には、シートベルトで取り付けるタイプのチャイルドシートを使うよう勧めています。
選び方と判断の基準|何を確かめて決めるか
確かめる項目を、買う場面ごとに整理しました。
| 場面 | 確かめること | 根拠 |
|---|---|---|
| 商品ページを見る | Eマークと区分の表記があるか。クッションという名前だけで本体と誤認させる紹介でないか | 国交省、朝日新聞 |
| 販売者に確認する | 認定証の画像だけで判断しない。他社製品の画像を加工した例がある | 朝日新聞 |
| 商品が届いたとき | 製品本体にEマークが添付されているか | 国交省 |
| 子どもに合わせる | R129は身長76cm以上で前向き、月齢15ヶ月を超えるまでは後ろ向き | JAF |
| 車に取り付ける | ISOFIXの金具が車にあるか。後付け金具は基準適合が確認できなければ使わない | 国交省 |
| ※2026年10月時点の公開資料より作成 | ||
後席に載せられるかも、買う前に確かめる項目です。軽自動車と普通車の違いの記事でも触れていますが、軽自動車は最大4名乗車で、チャイルドシートを前後に1台ずつ付けると後部座席の大人用スペースがほぼなくなります。
よくある誤解
「新基準のR129以外は危険」は本当ですか
JAFの側面衝突テストでは、正しく取り付けたR44の製品でも、ダミーはチャイルドシートの中に収まり、重篤な傷害につながる強打はありませんでした。R129のほうがわずかに良い結果でしたが、Eマークのある製品同士で見ると、この差は小さなものでした。
「安いクッション型でも、座らせないよりは安全」は本当ですか
国交省が検証した未認証の7製品は、いずれも基準に適合していませんでした。国交省の担当者は、未認証品は子どもの命を守れない可能性が高いと話しています。使うと道交法違反にもなります。
「6歳になったら、もう何も要らない」は本当ですか
6歳未満には使用の義務があり、6歳になると義務はなくなります。JAFは、6歳以上でも、子どもの体格によっては車のシートベルトが十分に働かない場合があるとして、身長150cm未満にはチャイルドシートやジュニアシートの使用を推奨しています。警察庁のページにも、6歳以上でも体格の事情でシートベルトを適切に着用させられないときは、チャイルドシートを使用するよう書かれています。
まとめ:チャイルドシートは通販でもEマークと取付けを確かめる
通販のチャイルドシートで見るのは、名前でも認定証の画像でもなく、製品本体のEマークです。国交省は2017年から通販サイトを確認し、昨年度はアマゾンに25件の削除を求めましたが、同じような製品が別のページで売られる状況が続いています。
Eマークがあれば終わりではありません。JAFの2025年の調査では、正しく取り付けられていたのは74.8%、正しく座らせることができていたのは55.6%でした。買う前にはEマークと区分、車の金具の有無を確かめます。使い始めてからは、取付けと座らせ方を取扱説明書で見直してください。最新の基準や商品情報は、国土交通省と各メーカーの公式情報で確認を。
この記事の内容、読む前から知っていましたか?
- 知っていた
- なんとなく知っていた
- 初めて知った
- 誤解していた
📚 参考文献・出典
- ・朝日新聞「通販サイトに未認証のチャイルドシート 大半が中国製、国が削除要請」(2026年10月18日) https://news.yahoo.co.jp/articles/1dd118ed3c2c211e270dc07249bc9cdd6524f3eb
- ・国土交通省「チャイルドシートコーナー」 https://renrakuda.mlit.go.jp/renrakuda/childindex.html
- ・警察庁「チャイルドシートの正しい使用」(道路交通法第71条の3第3項) https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/childseat.html
- ・JAF「チャイルドシートの使用状況全国調査(2025年)」 https://jafmate.jp/car/traffic_topics_20250925_1198098.html
- ・JAF「チャイルドシート使用状況調査(2025年調査結果)」 https://jaf.or.jp/common/safety-drive/library/survey-report/2025-child-seat
- ・JAF「チャイルドシート着座状況(2025年調査結果)」 https://jaf.or.jp/common/safety-drive/library/survey-report/2025-child-seat/seating-report
- ・JAF「R44からさらに安全性が向上!新安全規則R129について」 https://jaf.or.jp/common/safety-drive/protect-life/child-seat/born
- ・JAF「側面衝突によるチャイルドシートの安全性は?」(JAFユーザーテスト) https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/child-seat/side-impact
- ・交通政策審議会 技術安全WG 資料3「チャイルドシート出荷量動向に関する現状及び問題点と今後の課題」 https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001401185.pdf
📖 この記事について 本記事は、防災や安全の“仕組み”を知り、そなえへの関心を高めていただくための読み物です。実際の製品選びや取付けは、国土交通省などの公的機関やメーカーの最新情報に従ってください。










































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