TOEICとTOEFLの違いをわかりやすく解説|試験内容・スコア換算・費用から目的別の選び方まで

就職活動や海外留学を考えている人なら、一度は「TOEICとTOEFLってどう違うの?」という疑問を持ったことがあるかもしれません。

就活を控えた大学生:「TOEIC 700点を目指しているけど、本当にそれだけで大丈夫?」

留学志望者:「海外大学院への出願にはTOEFL iBTが必須って聞いたけど、TOEICとどう違う?」

この記事では、TOEICとTOEFLを試験内容・スコア・受験料・活用場面の4軸で徹底比較し、あなたの目的に合った試験の選び方をわかりやすく解説します。

TOEICとTOEFLの違い:結論ファースト

簡潔に言うと、以下の通りです:

  • TOEIC L&R:日本で圧倒的に主流。ビジネス英語中心。日本国内での就職・転職活動で重視される
  • TOEFL iBT:海外大学・大学院の入学基準。4技能(リスニング・リーディング・スピーキング・ライティング)を測定。北米を中心に世界中の高等教育機関で採用

要するに、就職なら TOEIC、留学なら TOEFL という選択が基本です。ただし、後述するスコア換算や個々の要件によって判断する必要があります。

TOEIC vs TOEFL:一目でわかる比較表

項目 TOEIC L&R TOEFL iBT
正式名称 Test of English for International Communication Test of English as a Foreign Language
測定セクション 2セクション(L&R) 4セクション(LRSW)
リスニング 100問 / 45分 28-39問 / 約17分
リーディング 100問 / 75分 30-40問 / 約35分
スピーキング なし(S&W追加受験可) あり(6問 / 約20分)
ライティング なし(S&W追加受験可) あり(2問 / 約50分)
総試験時間 約2時間 約3時間
スコア範囲 10-990点(各セクション5-495) 0-120点(各セクション0-30)
受験料(税抜) 7,810円(日本) US$195-235
試験内容の焦点 ビジネス・日常会話 学術・大学レベル
主流な活用場面 就職・転職(日本国内) 海外大学・大学院出願
スコアの有効期限 公式には無期限 2年間

試験内容の詳細比較

TOEIC L&R:リスニング&リーディング2セクション

TOEIC L&Rは、リスニング(45分、100問)とリーディング(75分、100問)の2セクションで構成されています。出題形式はすべてマークシート方式で、主にビジネスシーンの英語が題材です。

  • リスニング:会話やナレーション(日常業務、出張、会議など)を聞いて問題に答える
  • リーディング:メール、記事、チラシなどを読んで内容理解や文法問題に答える

各セクションのスコアは5〜495点で、合計で10〜990点となります。日本では特にこのL&Rが重視され、就活生の多くがTOEIC対策に注力しているのが実情です。企業側も採用選考で TOEIC スコアを参考にするため、国内転職・就職を目指すなら TOEIC 一択といっても過言ではありません。

TOEFL iBT:4技能を統合測定

TOEFL iBTは、リスニング・リーディング・スピーキング・ライティングの4技能を測定します。各セクションは0〜30点で、合計0〜120点です。コンピュータベースの試験で、複数のセクションで統合的な問題が出題される特徴があります。

  • リスニング(約17分):学術的な講義や会話を聞いて、質問に回答・メモを取りながら復合的に思考
  • リーディング(約35分):学術論文や教科書の抜粋を読み、細部理解や推論問題に答える
  • スピーキング(約20分):6つのタスク。独立スピーキング(2問)と統合スピーキング(4問)。マイクに向かって回答を録音
  • ライティング(約50分):2つのタスク。統合ライティング(リード+講義を基に論文作成)と独立ライティング(テーマに基づくエッセイ)

TOEFL iBTは、大学入学共通テストとは異なり、実際の大学講義での聞き取りや論文執筆など、高等教育機関で必要な英語スキルを総合的に測定します。

スコア換算と難易度

TOEIC と TOEFL は異なるスケールなため、直接比較は困難ですが、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)を用いた換算目安が存在します:

  • TOEIC 785〜 ≈ TOEFL iBT 72〜:CEFR B2(上中級)に相当
  • TOEIC 945〜 ≈ TOEFL iBT 95〜:CEFR C1(上級)に相当

一般的には、TOEFL iBTの方が難易度が高いと評価されます。理由は:

  1. スピーキング・ライティングが必須:TOEIC L&Rは受動的スキル(聞く・読む)に特化していますが、TOEFL iBTは能動的スキル(話す・書く)も含まれるため、総合的な言語運用能力が要求されます
  2. 学術的内容:TOEFL iBTはキャンパスライフ、学術講義、教科書などの複雑な題材が多く、背景知識も必要
  3. 時間配分:TOEFL iBTは試験時間が3時間と長く、集中力と体力の持続が求められます

受験料・費用比較

TOEIC L&R:日本国内

  • 受験料:7,810円(税込)
  • 年間実施回数:10回以上(毎月)
  • 追加試験(S&W):各 4,950円(税込)

TOEFL iBT:2025年4月改定版

  • 標準受験料:US$195(試験7日前まで)
  • 直前受験料:US$235(2日前までの申込)
  • 年間実施回数:ほぼ毎週(複数日程)
  • 追加スコア送信:無料(最初の4校)、その後は US$20/校

日本円換算(1米ドル150円と仮定)では、TOEFL iBTは約29,250〜35,250円と、TOEIC L&Rの約3.7〜4.5倍の費用がかかります。複数回受験を検討する場合、TOEIC の方が経済的です。

活用場面の違い

就職・転職ではTOEIC L&R

日本の企業採用市場では、TOEIC L&R スコアが圧倒的です。

  • 履歴書に書ける目安:600点以上(多くの企業が重視開始)
  • 商社・外資系・金融機関:730〜800点以上が競争力あり
  • 外資系管理職・国際営業:850点以上がスタンダード

日本全国のTOEIC受験者数は年間約176万人(2023年統計)で、就活生の多くがTOEIC対策に注力しているのが実情です。企業側も採用選考で TOEIC スコアを参考にするため、国内転職・就職を目指すなら TOEIC 一択といっても過言ではありません。

海外大学・大学院ではTOEFL iBT

北米を中心とする世界中の大学・大学院では、TOEFL iBT(または TOEFL PBT)が公式な英語力証明として認められています。

  • アメリカの大学学部:TOEFL iBT 61〜80点が最低要件の目安
  • 大学院(修士):TOEFL iBT 80〜100点が標準的要件
  • 英国やオーストラリア:IELTS(アイエルツ)が主流だが、大学によってはTOEFLも認可

アメリカ国務省も、ビザ申請(F-1学生ビザなど)の際にTOEFL iBTスコアを参照することがあります。海外の学位取得を目指すなら、TOEFLは避けられません

メリット・デメリット比較

TOEIC L&Rのメリット

  • 日本国内で認知度が圧倒的に高く、就職・転職で即座に評価される
  • 受験料が安い(7,810円)
  • 試験は短め(2時間)で、仕事や勉強と両立しやすい
  • マークシート式で採点基準が明確。スコアの有効期限なし
  • ビジネス英語に特化しているため、実務的な語彙やフレーズが身につく

TOEIC L&Rのデメリット

  • スピーキング・ライティングは測定されない(別途S&W受験で約10,000円追加)
  • 学術的なトピックが少なく、高等教育向けの準備には不十分
  • 海外大学・大学院の入学基準として認められない
  • 国際的な知名度が低い(アジア中心)

TOEFL iBTのメリット

  • 4技能を統合測定し、実際の学問的英語運用能力を証明
  • 世界中の大学・大学院で認可される国際的な資格
  • スピーキング・ライティングが必須のため、総合的な英語力が求められ、実践的
  • オンライン受験オプションあり(COVID-19以降も継続)
  • ETS(Educational Testing Service)という国際的な組織が運営し、スコアの信頼性が高い

TOEFL iBTのデメリット

  • 受験料が高い(US$195-235 ≈ 29,250〜35,250円)
  • 試験時間が長い(3時間)で、集中力と体力が要求される
  • 難易度が高く、準備期間が長くかかる傾向
  • スコアの有効期限が2年間のため、定期的に受験が必要な場合がある
  • 日本国内での就職活動では、TOEIC ほどの直接的な評価にならないことが多い

こんな人にはTOEICがおすすめ

  • 就職・転職活動を控えている大学生・社会人:日本の企業採用市場ではTOEIC スコアが重視されるため、まずはTOEIC で600〜700点を目指すべき
  • ビジネス英語を実務的に学びたい人:会議、メール、プレゼンなどの実践的な場面が豊富
  • 予算を抑えたい人:受験料が約7,810円で経済的。複数回受験する際も費用が少ない
  • 短期間で対策したい人:試験範囲がL&Rに絞られており、S&Wなしなら対策期間を短くできる

こんな人にはTOEFL iBTがおすすめ

  • 海外大学・大学院への留学志望者:北米を中心とする高等教育機関の入学基準として必須
  • 国際的に通用する英語力を証明したい人:4技能を測定し、世界中で認可されるスコア
  • 学術的な英語を習得したい人:講義聴講、論文執筆などの能力が鍛えられる
  • スピーキング・ライティングの能力向上が必要な人:TOEIC L&Rでは測定されない実践的スキルが身につく
  • オンライン受験を希望する人:自宅から安全に受験できるオプションがある

よくある誤解と解説

誤解1:「TOEIC で高スコアなら、TOEFL iBTも簡単」

これは大きな誤解です。TOEIC L&R で 900点を超えている人でも、TOEFL iBT で初受験時に 80点を切ることは珍しくありません。理由は:

  • TOEFL iBT はスピーキング・ライティングが必須で、これらは TOEIC L&R では測定されない能力
  • 学術的背景知識が要求され、ビジネス英語とは異なるアカデミック語彙が多用される
  • 試験の形式が異なり、TOEFL iBT は統合的なタスク(例:講義を聞いて要約を書く)が複数ある

対策:両試験を目指す人は、別々の準備期間を設けるべきです。特にTOEFL iBT は、スピーキング練習に時間をかける必要があります。

誤解2:「就職活動ではTOEFL iBT のスコアでも評価されるはず」

残念ながら、日本の企業採用市場ではTOEFL iBT スコアはほぼ評価されません。理由は:

  • 企業人事が TOEFL iBT スコアの意味を認識していない傾向が強い
  • 採用基準が「TOEIC 600点以上」という形で明記されることがほとんど
  • TOEFL iBT (120点満点)と TOEIC L&R (990点満点)のスケールが全く異なるため、相互換算が明示されていない

対策:国内就職を目指すなら、TOEFL iBT のスコアではなく TOEIC L&R のスコアを提出することが無難です。

誤解3:「海外留学を目指すなら、必ずTOEFL iBT を受けないといけない」

実は、大学によっては TOEIC スコアも認めるケースがあります。特に:

  • アジア地域の大学(シンガポール、香港など)が TOEIC を認める傾向
  • IELTS(アイエルツ)も TOEFL iBT の代わりになる
  • 一部の大学院(ビジネススクールなど)は TOEIC スコアを受け入れることもある

対策:志望大学の公式サイトで英語能力証明書の要件を確認し、TOEFL iBT のみならず他の試験の受け入れ可否も調べましょう。

スピーキング能力が必要か否かを見極める

TOEIC L&R か TOEFL iBT かを選ぶ際の判断軸として、「スピーキング能力が必要か」という点が重要です。

  • スピーキング不要:国内就職向け TOEIC L&R で十分
  • スピーキング必須:TOEFL iBT、または TOEIC S&W を追加受験

実務では、営業職や管理職など顧客と英語で対話する職種の場合、TOEIC L&R で 800点でも、スピーキング未測定では採用側が不安になります。その場合は、TOEIC S&W(スピーキング・ライティング)の受験を検討するか、TOEFL iBT で総合的な英語力を示すことが有効です。

TOEIC S&W の内容は塾と予備校の違いほどではありませんが、スピーキングのセクションは実務的です。

TOEIC S&W(スピーキング&ライティング)追加受験の選択肢

TOEIC L&R で高スコアを取ったが、スピーキング・ライティング能力も示したい場合は、TOEIC S&W に別途申込できます。

  • 受験料:各 4,950円(税込)、両方受験なら 9,900円(税込)
  • 試験時間:スピーキング 20分、ライティング 60分(別日程も可能)
  • スコア範囲:スピーキング 0〜200点、ライティング 0〜200点
  • 難易度:TOEFL iBT より低めだが、TOEIC L&R とは異なる対策が必要

国内就職で「スピーキング・ライティング能力も示したい」という場合は、TOEFL iBT (US$195-235)を受験する方が、スコア自体の国際的信頼性が高く、将来的な転職活動でも有利です。

まとめ

TOEICとTOEFLの選択は、あなたの目的によって決まります:

TOEIC L&Rを選ぶべき人:

  • 日本国内での就職・転職活動を考えている
  • ビジネス英語を実務的に学びたい
  • 受験料を抑えたい
  • 短期間で対策したい

TOEFL iBTを選ぶべき人:

  • 海外大学・大学院への留学を目指している
  • スピーキング・ライティングを含む総合的な英語力を示したい
  • 国際的に通用するスコアが必要
  • 学術的な英語を習得したい

いずれの試験も、地道な学習と継続が成功の鍵です。自分の目的を明確にしたうえで、効率的な対策を立て、複数回受験を活用して目標スコア達成を目指してください。

参考文献

  • ETS公式(TOEFL iBT):https://www.ets.org/toefl
  • 国際ビジネスコミュニケーション協会(TOEIC):https://www.iibc-global.org/
  • CEFR参照枠:https://www.coe.int/en/web/common-european-framework-reference-levels
  • 日本経済団体連合会(TOEIC活用調査):https://www.keidanren.or.jp/
  • 独立行政法人国立高等専門学校機構(TOEFL導入):https://www.nct.ac.jp/