通知表の評定はどう決まる?観点別評価と絶対評価の仕組み|小学校3段階・中学校5段階

通知表の「評定」は、クラスの中で何番目かを表す数字ではありません。学習指導要領に書かれた目標をどこまで身に付けたかを、教科ごとに1つの数字にまとめたものです。小学校では3段階、中学校では5段階で表します。この記事は2026年10月時点の文部科学省の通知とQ&Aをもとに、数字が決まるまでの流れを整理します。

私は長いあいだ、5は学年の上位に入った人だけがもらえる数字だと思い込んでいました。この記事を書くために原典を読み直して、間違っていたのは通知表ではなく私の見方だったと分かりました。

この記事のポイント

  • 評定は集団の中の順位ではなく、目標に照らした達成度
  • 観点は3つ、評価はA・B・Cの3段階が基本
  • 評定へのまとめ方は学校が決めるため、同じ観点評価でも数字が変わりうる
  • 通知表そのものに法律上の決まりはなく、様式は学校ごとに違う
目次

評定は順位ではなく目標の達成度で決まります

文部科学省は、現在の学習評価を「目標に準拠した評価」としています。通称は絶対評価です。学習指導要領に示された目標がどの程度実現したかを見る評価で、学年や学級の中での位置を見る評価(いわゆる相対評価)とは別のものです。

順位を表す数字として身近なのは、模試で見る偏差値でしょう。偏差値は集団の中の位置を示すので、全員が高得点でも半分の人は50を下回ります。通知表の評定は仕組みが逆です。理屈の上では、クラス全員が目標を十分に達成していれば、全員が最高の段階になりえます。

評定と観点別学習状況の評価は役割が違います

通知表には、教科ごとに2種類の評価が並んでいることが多くあります。ひとつは観点ごとの「観点別学習状況の評価」、もうひとつは教科全体をまとめた「評定」です。通知では、前者が学習状況を分析的に捉えるもの、後者が総括的に捉えるものと整理されています。細かく見るための評価と、ざっくり1つにまとめた評価。2つを併用して指導の改善に生かすことが重要だと明記されました。

通知表と指導要録と調査書は別のものです

「成績」という言葉でひとまとめにされがちですが、書類は3つあります。文部科学省のQ&Aは、作る目的が違うと説明しています。

書類 役割 様式を決めるのは
指導要録 学籍と指導の過程・結果の要約を記録する原簿。どこの学校でも必ず作る 教育委員会等
通知表(通信簿) 子ども本人と保護者に学習状況を伝え、その後の学習を支える 各学校の判断
調査書(内申書) 高等学校等の入学者選抜のための資料 都道府県教育委員会等
※文部科学省「学習指導要領『生きる力』よくある質問」をもとに作成

指導要録は学校教育法施行規則第24条で作成が義務づけられています。通知表には、発行について法的な規定がありません。京都府の教育センターの研修資料も、様式は学校の実態に応じて様々に工夫されていて、体裁や記入方法もまちまちだと書いています。ほかの学校の通知表と並べて比べにくいのは、この仕組みのせいです。

調査書の評定は通知表とつながっています

高校受験の調査書に載る教科の評定は、学校での学習評価の積み重ねから来ています。入試での換算の仕方は都道府県ごとに違い、詳しくは内申点の仕組みの記事で整理しています。この記事では、そこに至る前の「評定がどう作られるか」に絞ります。

通知表を受け取ったとき、いちばん先に見るのはどこでしたか?

  1. 評定の数字
  2. 観点別のA・B・C
  3. 先生の所見欄
  4. あまり見なかった

📊 これまでの読者投票の結果(当サイト調べ・13票)

評定の数字:62%
先生の所見欄:23%
観点別のA・B・C:8%
あまり見なかった:8%

観点別の評価は3つの観点とA・B・Cでできています

観点別の評価は3つの観点とA・B・Cでできています
Photo by Ben Mullins on Unsplash

観点別学習状況の評価は、平成31年3月29日付の文部科学省通知(30文科初第1845号)で、次の3観点に整理されました。教科が違っても、観点の名前は共通です。

観点別学習状況の評価が評定になるまで

知識・技能
A・B・C
+
思考・判断・表現
A・B・C
+
主体的に学習に取り組む態度
A・B・C
→
評定
学校が決めた方法で総括

A・B・Cは「どれだけ目標に届いたか」の3段階です

Aは「十分満足できる」状況、Bは「おおむね満足できる」状況、Cは「努力を要する」状況と判断されたものです。基準になるのは学習指導要領の目標に沿って学校が設ける評価規準で、Bは目標をおおむね達成した状態を指します。

文部科学省のQ&Aによると、Aと判断するのは、児童生徒の学習の状況が質的な高まりや深まりをもっていると判断される場合です。Aになる姿は多様に想定されるため、学年会や教科部会で情報を共有することが重要だとされています。テストの点数のようにはっきりした線が引けるわけではなく、先生どうしのすり合わせが前提になっています。

観点は4つから3つに整理されました

以前の観点は「関心・意欲・態度」「思考・判断・表現」「技能」「知識・理解」の4つでした。現在は、このうち「技能」と「知識・理解」が「知識・技能」にまとまり、「関心・意欲・態度」は「主体的に学習に取り組む態度」に名前が変わっています。保護者が子どもの頃に見た通知表と観点の名前が違うのはこのためです。

評定は小学校が3段階、中学校が5段階です

評定は、観点別の評価を踏まえて教科全体の学習状況を総括的に表した数字です。段階の数が学校種で違います。

評定 小学校(第3学年以上) 中学校(必修教科)
5 なし 十分満足できるもののうち、特に程度が高い
4 なし 十分満足できる
3 十分満足できる おおむね満足できる
2 おおむね満足できる 努力を要する
1 努力を要する 一層努力を要する
※栃木県教育委員会「指導要録の手引」(令和4年)に掲載された通知の内容をもとに作成

同じ「3」でも意味が違います

表を横に読むと、小学校の3と中学校の3は別の状態を指しています。小学校の3は「十分満足できる」で最高の評価です。中学校の3は「おおむね満足できる」で、標準にあたります。同じ3でも、小学校では最高の段階、中学校では標準の段階です。数字だけを並べて「上がった」「下がった」と比べると、読み違えます。

小学校で評定をつけるのは、第3学年以上の教科です。

相対評価から絶対評価へ変わった理由

評定がいまの形になったのは、平成13年4月に文部科学省が出した指導要録の通知からです。それまで評定は、学年や学級の集団の中での位置を見る相対評価でした。この通知で、観点別学習状況の評価と同じく、目標に準拠した評価に改められました。

文部科学省のQ&Aは、その主な理由を5つ挙げています。要点を並べると次のとおりです。

  • 一人ひとりの進歩の状況や目標の実現状況を、的確に捉えて指導に生かすため
  • 基礎的・基本的な内容が確実に身に付いたかを、一層徹底して確かめるため
  • 上の学校段階の教育との円滑な接続のため
  • 習熟の程度に応じた指導など、学習集団の編成が多様になるため
  • 少子化で学年・学級の人数が減り、集団の中の位置で見る評価の客観性や信頼性が保ちにくくなるため

最後の理由が、私にはいちばん現実的に聞こえました。1学年に数人しかいない学校で「上位何割」を決めても、数字の意味が薄くなります。人数が少ない学校ほど、集団の中の位置で評価することが難しくなるのは分かりやすい話です。

相対評価が無くなったわけではありません

ただし、集団の中の位置を見る評価がなくなったという意味ではありません。Q&Aは、目標に準拠した評価を重視しつつ、子ども一人ひとりの良い点や進歩を見る個人内評価を工夫することも学校に求めています。評価の種類は3つあり、通知表の中で役割を分けて使うことになります。

観点別の評価は、どうやって評定になるのか

ここは多くの保護者が気になるところです。AとBとCをどう足せば5や4になるのか。結論から言うと、全国共通の計算式はありません。栃木県の手引きは、評定の適切な決定方法について「各学校において定める」と書いています。

よく使われる数値化の例

観点が4つだった時期の神奈川県教育委員会の資料には、国立教育政策研究所の調査研究(平成16年)にある例として、Aを3点、Bを2点、Cを1点に置き換える方法が載っています。4観点がすべてAなら評定3、すべてBなら2、すべてCなら1が基本だと説明されています。ただし同じ資料は、この方法だけで機械的に評定へ総括するものではないとも書いています。

いまの3観点にこの考え方を当てはめて、私が計算してみました。以下は仮の例です。実際の基準は学校ごとに違います。

3観点の評価 点数の合計(A=3、B=2、C=1) 平均
A・A・A 3+3+3=9 9÷3=3.00
A・A・B 3+3+2=8 8÷3≒2.67
A・B・B 3+2+2=7 7÷3≒2.33
B・B・B 2+2+2=6 6÷3=2.00
B・B・C 2+2+1=5 5÷3≒1.67

組み合わせの総数は、3つの観点がそれぞれA・B・Cの3通りなので 3×3×3=27通りです。この27通りを、小学校は3段階、中学校は5段階の評定に振り分けます。中学校なら1つの段階に平均で 27÷5=5.4通りが入る計算で、「A・A・B」がどの段階になるかを決める線は、学校ごとに引かれることになります。

表の「A・A・B」は、小学校ならおそらく3に入ります。中学校では4に入る学校もあれば5に入る学校もありえます。評定の数字が同じでも、観点別の中身は違っているかもしれません。通知表を読むときは、評定の数字より観点別の評価のほうが、お子さんの学び方についての情報をたくさん持っています。

「主体的に学習に取り組む態度」は元気な性格の評価ではありません

「主体的に学習に取り組む態度」は元気な性格の評価ではありません
Photo by Vitaly Gariev on Unsplash

3観点のうち、いちばん誤解されやすいのが3つ目です。手を挙げた回数や、授業中によく発言したかどうかで決まると思われがちです。文部科学省のQ&Aは、継続的な行動や積極的な発言といった性格や行動面の傾向を評価するのではないと、はっきり書いています。

見ているのは「学び方を調整しているか」です

評価されるのは、知識や技能を身に付けたり、考える力を伸ばしたりするために、自分の学習状況を把握して、進め方を試行錯誤しながら調整し、学ぼうとしているかどうかという意思的な側面です。粘り強い取り組みの中で、自分の学習をどう調整しようとしているかを含めて評価するという書き方もされています。

元の「関心・意欲・態度」も、学習内容への関心だけでなく、よりよく学ぼうとする意欲を評価する考え方に基づいていました。その点を改めて強調するために、名前を変えたと説明されています。

評価になじまない部分は別枠で伝えます

「感性や思いやり」など、観点別の評価や評定では示しきれない部分は、個人内評価を通じて見取るとされています。通知表の所見欄の文章は、数字にならない部分を伝える役目を持っているわけです。数字だけを見て所見を読み飛ばしていた方は、一度読み直す価値があります。

面談で使える、通知表の読み方

評定の決め方が学校ごとに違う以上、面談で一番役に立つのは、その学校の基準を聞いてしまうことです。例えば次のような質問なら、先生も答えやすいはずです。

  • 評定は、観点別の評価をどういう方法でまとめていますか
  • 主体的に学習に取り組む態度は、授業のどんな場面で見ていますか
  • Bの子がAになるには、どんな姿が必要ですか

3つ目の質問は、Q&Aにあった「質的な高まりや深まり」を具体的に聞くものです。先生が学年会などで共有している判断の目安を、保護者にも分かる言葉で教えてもらえます。

段階の数が学校種で違うことは、私もこの記事を書くまで意識したことがありませんでした。元IT広報のくせに、と自分で思います。

絶対評価にもある弱点と注意点

集団に左右されない評価は公平に聞こえますが、弱点もあります。

先生や学校で物差しの長さが変わりえます

順位で決める相対評価なら、評価の分布は自動的に決まります。目標準拠の評価は、評価規準をどう解釈するかが先生に委ねられるため、学校や教員で基準がずれる可能性があります。Q&Aが学年会や教科部会での共有を重要だとするのは、このずれを減らすためです。通知表の評定を、他校の生徒の評定と同じ重さで比べることはできません。

数字に直すと情報が落ちます

先ほどの表のように、A・A・BとA・B・Bが同じ評定になることがあります。数字にまとめた段階で、観点ごとの違いは見えなくなります。神奈川県の資料が、機械的な総括だけでは足りないと書いていた理由もここにあります。

評定が上がらないときは、観点別を見ます

評定が思うように伸びないとき、最初に見るのは観点別のA・B・Cです。知識・技能がBで、思考・判断・表現がCなら、覚えることはできていても使う場面でつまずいている可能性があります。逆に、主体的に学習に取り組む態度だけがCなら、態度の問題だと決めつける前に、「学習を自分で調整する」場面がなかったのかを先生に聞いてみるのが先です。

通知表を読んで判断するときの目安

ここまでの内容を、読む順番として整理します。

知りたいこと 見るところ
目標に届いているか 観点別のA・B・C。BはおおむねOK、Cは手当てが必要
つまずきの場所 3観点のうち、どれが低いか
頑張りや良いところ 所見欄の文章(個人内評価)
進学への影響 評定。調査書への使われ方は都道府県ごとに違う

評定は、全体をひとことで言うための数字です。次の一歩を考えるなら、観点別と所見のほうが役に立ちます。

通知表の評定に関するよくある誤解

誤解1:評定の5は、クラスの上位の人だけがもらえる

評定は目標に準拠した評価(絶対評価)で、集団の中の順位ではありません。中学校の5は「十分満足できるもののうち、特に程度が高い」状況と判断されたときの数字です。

誤解2:通知表の様式は全国共通である

通知表の発行には法的な規定がなく、様式や記載内容は各学校の判断で決められています。全国で様式がそろっているのは、学校が必ず作る指導要録のほうです。

誤解3:授業中に手を挙げないと主体的に学習に取り組む態度は下がる

文部科学省のQ&Aは、継続的な行動や積極的な発言といった性格や行動面の傾向を評価するのではないと説明しています。見るのは、自分の学習を調整しながら学ぼうとしているかどうかです。

誤解4:観点別の評価を足し算すれば、評定は自動的に決まる

評定への総括の方法は各学校が定めます。数値化は一つの方法にすぎず、機械的な総括だけでは学習の実現状況の幅を表しきれないとされています。

まとめ:通知表の評定の決まり方を整理する

通知表の評定は、学習指導要領の目標をどこまで実現したかを教科ごとに1つの数字にしたものです。小学校は第3学年以上で3段階、中学校は5段階。順位ではなく、平成13年4月の指導要録の通知から目標準拠の評価になりました。

数字のもとになるのは、3つの観点のA・B・Cです。その評定へのまとめ方は学校が決めるので、同じ評定でも観点別の中身は違う場合があります。通知表の様式にも法的な決まりはなく、学校ごとに違います。

通知表を受け取ったら、評定の数字を確認してから、観点別のA・B・Cと所見欄に目を移してください。面談では「評定をどうまとめていますか」と聞くのがいちばん確実です。制度は改正されることがあるため、最新の様式や基準は、通っている学校や教育委員会の案内で確認してください。

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  2. なんとなく知っていた
  3. 初めて知った
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なんとなく知っていた:38%
初めて知った:31%
知っていた:23%
誤解していた:8%

📚 参考文献・出典

📖 この記事について 本記事は、学校の評価制度の“仕組み”を知るための読み物です。個別の学校や自治体の判断を示すものではなく、制度は改正されることもあります。2026年10月時点の公表資料にもとづいており、具体的な評価の方法は、通っている学校や教育委員会の案内でご確認ください。

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EDITOR
白月ハルカ
ディスカバリーメディア 編集長
1995年生まれ、新潟・長岡育ち。いまは東京の中央線沿線でひとり暮らしをしながら、ディスカバリーメディアの編集長をしています。前職はIT企業の広報(5年)。統計表を眺めるのと、ラジオの野球中継と、ジョジョ(第4部派)が好きです。ニュースの見出しを見ると「本当に?」と数字を確かめにいく癖があって、その確かめた結果を記事にしています。間違いを見つけたら教えてください、すぐ直します。