「有給と公休って何が違うの?」「公休に出勤したらどうなるの?」——会社員になりたてのときや、パート・アルバイトを始めたときに、こういった疑問を感じた方は多いはずです。給与明細に「公休」と書かれていても、実は意味をよく知らないままという人も少なくありません。
この記事では、有給休暇と公休の違いを法律の観点から正確に解説します。会社員・正社員だけでなく、アルバイトやパートの方にも当てはまる内容です。「自分は何日休めるのか」「休んだら給料はどうなるのか」を正しく理解して、働く権利をしっかり守りましょう。
結論ファースト:有給と公休の根本的な違い
まず一言でまとめます。公休は「休む日」として決められた休日であり、有給は「休んでも給料が出る権利」です。混同しやすいですが、まったく異なる制度です。
| 比較項目 | 公休 | 有給休暇 |
|---|---|---|
| 法律上の根拠 | 就業規則・シフト(※法定休日は労働基準法第35条) | 労働基準法第39条 |
| 定義 | 会社・シフトが定めた「休む日」 | 休んでも賃金が支払われる休暇の権利 |
| 給与の支払い | 原則なし(休日のため) | あり(法律で保証) |
| 取得できる条件 | 会社が設定した休日 | 6ヶ月継続勤務+出勤率80%以上 |
| アルバイト・パートへの適用 | シフト外は公休扱い | 適用あり(条件を満たせば) |
| 出勤した場合 | 割増賃金が発生する可能性 | 有給は消費されない |
| ※法定休日(週1日)に出勤すると35%以上の割増賃金が必要 | ||
公休とは何か:2種類の「休日」を理解する
法定休日(週1日の義務的休日)
労働基準法第35条は「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と規定しています。これが「法定休日」です。日曜日がそのまま法定休日に設定されている企業が多いですが、必ずしも日曜日である必要はありません。
法定休日に出勤させる場合は、通常賃金の35%以上の割増賃金を支払う義務があります(労働基準法第37条)。つまり、日給1万円の労働者が法定休日に出勤すれば、1万3,500円以上の賃金が必要です。
所定休日(会社が任意で設定した休日)
法定休日に加え、会社が就業規則で「週2日休み」や「祝日休み」として設定した休日を「所定休日」といいます。一般的に「公休」と呼ばれるのは、この法定休日+所定休日の合計です。
所定休日に出勤した場合の割増率は、会社によって異なりますが、法律上は25%以上の割増が必要です(時間外労働として扱われる場合)。あなたの会社の就業規則を確認してみてください。
有給休暇とは何か:労働者の権利として理解する
有給休暇(年次有給休暇)は、労働基準法第39条に基づく労働者の法的な権利です。条件を満たした労働者は、会社の規模や業種に関わらず必ず付与されます。
有給休暇の付与日数
| 継続勤務年数 | 0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
| ※全労働日の8割以上出勤が条件。週4日以下勤務の場合は比例付与 | |||||||
2019年4月から「年5日の有給取得が義務化」されました。年10日以上の有給を付与される労働者については、会社が確実に5日間取得させる義務があります。これを守らない会社には30万円以下の罰金が科されます。
アルバイト・パートへの適用:正社員と同じ権利がある
「アルバイトだから有給はない」と思っている方は、これは誤解です。アルバイト・パートも条件を満たせば有給休暇を取得できます。
週4日以下・週30時間未満のパートタイム労働者には、「比例付与」といって勤務日数に応じた有給が付与されます。週3日勤務で6ヶ月継続した場合は5日の有給が付与されます。「シフト制だから関係ない」というのは会社側の誤りであり、法律違反になります。あなたがパートやアルバイトでも、条件を満たしていれば有給の取得を申し出る権利があります。
公休出勤した場合の給与の扱い
法定休日に出勤した場合
法定休日(例:日曜日)に出勤した場合、通常の日給・時給に加えて35%以上の割増賃金が支払われなければなりません。月給制の場合、1時間あたりの単価を計算して割増分を上乗せします。
所定休日(法定休日以外の公休)に出勤した場合
所定休日への出勤は「時間外労働」として扱われます。週40時間を超えると25%以上の割増賃金が必要ですが、週40時間に満たない場合は割増なしのケースもあります。会社の就業規則をよく確認してください。
有給と公休のデメリット・注意点
有給を使いにくい職場文化
法律では認められていても、「有給を申請しにくい雰囲気がある」「暗黙の圧力がある」という職場は現実に存在します。厚生労働省の2024年調査では、有給取得率は全国平均で62.1%にとどまっており、まだ完全取得には程遠い状況です。
公休の定義は会社によって異なる
「公休」は法律用語ではなく、会社が就業規則で自由に設定できます。「完全週休2日制」の会社でも、実は法定休日は1日のみで、もう1日は所定休日(割増率が低い)というケースも多くあります。自分の会社の就業規則を確認しておくと安心です。
有給の繰り越しは2年が上限
取得しなかった有給休暇は翌年に繰り越せますが、繰り越せるのは最大2年間です。つまり、付与されてから2年以内に使わない有給は消滅します。意識的に計画的な取得が必要です。
2026年の労働基準法改正動向
厚生労働省の労働政策審議会では、「40年ぶりの大改正」とも言われる労働基準法の見直しが議論されています。主な論点は時間外労働規制の強化や、時間単位有給休暇の取得上限の拡大(現行5日→付与日数の50%まで)です。今後の動向に注意が必要です。
よくある誤解
誤解1:「公休中は給料が出ないから損している」
月給制の場合、公休を含めた「月単位の報酬」が設定されているため、公休で損をしているわけではありません。「所定の休日に給料が出ない」のは当然の制度で、損ではなく「働いていない日の分は含まれていない」という設計です。
誤解2:「有給を使うと欠勤になる」
有給休暇を取得しても「欠勤」にはなりません。有給取得は法律で保護された権利であり、欠勤扱いは違法です。有給を使ったことを理由に賞与や昇給を減額することも、法律上は不当とされます。
誤解3:「会社に有給の理由を伝える義務がある」
有給休暇の取得に理由は必要ありません(労働基準法第39条)。会社は「この期間は業務に支障がある」として時季変更権を行使できますが、理由を聞いて断ることはできません。ただし時季変更権の行使には正当な理由が必要です。
まとめ:有給と公休の違いをしっかり理解しよう
- 公休は就業規則・法律で定められた「休む日」であり、原則として給与は発生しない
- 有給休暇は労働基準法第39条で保証された「休んでも給与が出る権利」
- 法定休日(週1日)に出勤した場合、35%以上の割増賃金が必要
- アルバイト・パートも条件(6ヶ月継続・出勤率80%以上)を満たせば有給が付与される
- 2019年以降、年5日の有給取得が義務化(年10日以上付与される労働者に適用)
- 有給の繰り越しは2年間が上限。使い忘れに注意が必要
- 有給取得に理由は不要。断られても法律上は取得する権利がある
「休む権利」を正しく知ることで、働き方をより健全にコントロールできます。もし有給申請を不当に断られたり、公休出勤への割増賃金が支払われない場合は、労働基準監督署へ相談することができます。
📚 参考文献・出典
- ・厚生労働省「労働基準法第39条(年次有給休暇)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/yukyu.html - ・厚生労働省「就労条件総合調査(2024年)」
- ・三菱電機デジタルイノベーション「2026年以降の労働基準法改正案を徹底解説」
https://www.mitsubishielectric.co.jp/medigital/column/biz/071/









































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