「会社を作ると税金がいくらかかるのか分からない」「個人事業から法人成りすべきタイミングが見えない」「赤字でも税金がかかるって本当?」——法人税はビジネスを始めるすべての人に関わる税金ですが、種類が多くて分かりにくいのが実情です。この記事では、法人税の仕組みを4種類の「法人にかかる税」・税率の段階構造・申告と納付の流れ・2026年の税制改正・節税ポイントまで、図解と表でわかりやすく整理しました。
📌 この記事で分かること
- 法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税の「4つの税」の違い
- 所得800万円を境にした2段階税率(15% / 23.2%)の仕組み
- 決算から申告・納付までの3か月スケジュール
- 2026年度税制改正で何が変わるのか
- 欠損金繰越控除など主要な節税ポイント5つ
法人税とは — 会社の「儲け」にかかる国税
法人税は、株式会社や合同会社などの法人が事業活動で得た所得(利益)に対して課される国税です。根拠法は法人税法(昭和40年法律第34号)。個人にかかる所得税の「法人版」と考えると分かりやすいですが、計算方法も税率体系もまったく別物です。
個人事業主が「事業所得」として所得税を払うのに対し、法人は事業活動で得た利益から経費を差し引いた「所得金額」に法人税を課されます。さらに、地方自治体にも別途法人住民税・法人事業税を払う必要があり、これらを合わせた実効税率は2026年度時点で約30%前後になります。
法人にかかる4つの税を整理する
「法人税」と一口に言っても、実際には複数の税が組み合わさっています。決算後にまとめて支払うイメージですが、内訳を把握しておくと混乱しません。
| 税の種類 | 課税主体 | 2026年度の税率(中小法人) |
|---|---|---|
| ①法人税 | 国 | 所得800万円以下 15% / 超 23.2% |
| ②地方法人税 | 国(地方交付の財源) | 法人税額の 10.3% |
| ③法人住民税 | 都道府県・市区町村 | 法人税割 約7% + 均等割(最低7万円〜) |
| ④法人事業税 | 都道府県 | 所得金額の 3.5〜7.0%(所得段階別) |
注目すべきは ③法人住民税の「均等割」。これは所得がゼロや赤字の年でも、法人格を持っているだけで支払う必要があり、最低でも年7万円かかります。「赤字でも税金がかかる」と言われるのはこの均等割のためです。
法人税の2段階税率(中小法人軽減税率)
中小法人(資本金1億円以下)には、所得800万円までを軽減税率15%で計算する優遇措置があります。これは2026年度税制改正後も維持されています。
| 所得金額 | 税率 | 計算例(所得1000万円) |
|---|---|---|
| 800万円以下の部分 | 15% | 800万 × 15% = 120万円 |
| 800万円超の部分 | 23.2% | 200万 × 23.2% = 46.4万円 |
| 合計(法人税のみ) | 166.4万円 |
大法人(資本金1億円超)には軽減税率の適用がなく、全所得が23.2%で計算されます。これに②③④を上乗せした実効税率は、中小法人で約25〜30%、大法人で約30〜33%です。
決算から納付までの3か月スケジュール
事業年度の最終日に帳簿を締め、決算書(貸借対照表・損益計算書)を作成。多くの法人は3月決算だが、自由に設定できる。
会計士・税理士のチェックを経て決算書を確定。法人税申告書(別表)を作成し、税額を計算する。
税務署に申告書を提出し、同時に税額を納付する。原則として決算日から2か月以内が期限。延長承認を受ければ最大1か月延長可能。
法人住民税・事業税も同じタイミングで都道府県・市区町村に申告・納付。電子申告(eLTAX)が標準。
3月決算の場合、5月末までに法人税の申告・納付が必要です。多くの企業がこの時期に集中するため、税理士は繁忙期になります。
2026年度税制改正の主なポイント
2025年12月に閣議決定された2026年度税制改正大綱では、法人税まわりで以下の変更がありました。(参考:財務省 令和8年度税制改正の大綱)
- 中小法人軽減税率の延長: 所得800万円以下 15% の軽減税率が引き続き適用(2027年3月末まで)
- 賃上げ促進税制の拡充: 給与等支給額を一定以上増やした企業の税額控除率が引き上げ
- 研究開発税制の見直し: 控除率算定方式が一部改正
- 外形標準課税の対象拡大検討: 中堅企業への適用拡大が議論中(2027年度以降)
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法人税について、もっと詳しく知りたいテーマは?
- 具体的な申告書の書き方
- 節税ポイントの実例
- 個人事業主から法人成りするタイミング
- 赤字でもかかる均等割の詳細
主要な節税ポイント5つ
| 節税ポイント | 内容 |
|---|---|
| ①欠損金の繰越控除 | 過去10年間の赤字を将来の黒字から差し引いて課税所得を圧縮できる |
| ②役員報酬の最適化 | 事前確定届出給与・定期同額給与の制度を活用し、所得税と法人税の合計を最小化 |
| ③小規模企業共済 | 経営者の退職金積立。掛金は全額損金算入可能 |
| ④減価償却の活用 | 機械装置・備品の取得を計画的に行い、減価償却で利益圧縮 |
| ⑤賃上げ促進税制 | 給与増加額の一定割合を法人税額から税額控除 |
個人事業主との比較
「個人事業のままがいいか、法人化すべきか」は多くの事業者が悩むポイント。住民税の仕組みでも触れていますが、所得税は累進税率(最高45%)、法人税は実効税率約30%程度のため、所得が大きくなると法人化のメリットが出てきます。一般的に所得700〜900万円が法人化検討の目安とされます。
関連: 労災保険の仕組み(法人化すると役員には原則適用なし)、健康保険組合の仕組み(法人化で社会保険加入義務が発生)。
判断支援:法人化を検討する目安チェックリスト
✅ 法人化を検討する目安
- □ 年間所得が700万円を継続的に超えている
- □ 取引先から「法人取引のみ」と求められることが増えてきた
- □ 消費税の課税事業者になるタイミング(売上1000万円超)が近い
- □ 家族を役員にして所得分散したい
- □ 退職金制度・社会保険加入で老後の備えを厚くしたい
- □ 借入のため信用度を上げたい
→ 3つ以上当てはまれば、税理士に相談する価値があります。
まとめ
法人税は「国税の法人税本体(15% / 23.2%)」「地方法人税(10.3%)」「法人住民税(法人税割+均等割)」「法人事業税(3.5〜7.0%)」の4つで構成され、合計の実効税率は中小法人で約25〜30%。決算後2か月以内に申告・納付するスケジュールで、赤字年でも均等割(最低7万円)はかかります。2026年度は中小法人軽減税率の延長と賃上げ促進税制の拡充が目玉でした。法人化は所得700〜900万円が一つの目安です。








































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