「強いAI」との将棋に、疲れを感じたことはありませんか?
たしかに圧倒的な実力は認めざるを得ない。でも、こちらが一手を指した瞬間に、間髪入れず返ってくる“即指し”に、なんだか心が置いてけぼりになる感覚。
人間と指している時に感じるような“考えている時間”がそこにはない。
そんな悩みに一石を投じたのが、「将棋神 やねうら王」という存在です。
将棋神 やねうら王とは何か?

「将棋神 やねうら王」は、日本が誇る将棋エンジン「YaneuraOu(やねうら王)」をベースにした商用ソフトです。
開発者は、コンピュータ将棋選手権でも名を馳せたやねうらお氏。
ただ強いだけではなく、“人間らしさ”を再現する将棋ソフトを追求したことでも知られています。
このソフトの本質的な魅力は、「思考時間を自分で制御できる」という独自機能にあります。
それによって、AIとの対局でも“間”のある、本物の将棋体験を得られるようになるのです。
🎮無料ソフトとは一線を画す“間の設計”という贅沢
無料で体験できる将棋ソフトにはない価値

ぴよ将棋、将棋ウォーズ、将棋クエスト……数多くの無料将棋アプリがある中で、「将棋神 やねうら王」は明確に異なる価値を提供しています。
それは、“強さ”でも“豪華な演出”でもなく
「思考時間をデザインできる」という発想。
- 1手あたり3000ms(3秒)など、ミリ秒単位で応答時間を設定可能
- 人間のテンポで指すように、わざと遅らせる設定もできる
- これにより、女流棋士の読み上げ音声を最後まで楽しむことが可能
思考時間を「贅沢な空白」として扱うこの設計は、無料ソフトでは味わえない体験をもたらします。
❤️“お気に入りの一局”が、もっと深くなる
お気に入りの定跡ラインも整理しやすい

将棋神 やねうら王では、特定の定跡や局面を何度も再現しながら試せる「再現力の高さ」が魅力です。
GUI機能は発展途上ですが、局面保存・棋譜読み込み・評価値表示などの基本機能は完備。
自分だけの“お気に入りの一手”を繰り返し試すことで、AIとの対話的な練習環境が生まれます。
- 棋譜の「整理」もしやすく、自分専用の研究ライブラリのように使える
- ノード数・思考時間の設定で、状況に応じた“緩急”も調整可能
📝登録もインストールも驚くほど簡単
登録は不要、インストールは1クリック

商用ソフトというと、面倒な登録フォームやプロダクトキー入力などを想像しがちですが、将棋神やねうら王は意外なほど簡単です。
- 基本的には「将棋所」や「ShogiGUI」など既存の将棋用GUIに連携
- 登録不要・ログイン不要
- ZIPファイルを解凍し、GUIからエンジン読み込みすれば即利用可能
インストールの手間が少ないことで、初心者にも安心して勧められる設計になっています。
💡“思考”という機能を、ここまで制御できるソフトは他にない
AI将棋は思考よりも“選択”の速さが勝負だった

近年の将棋AIは、1秒間に数百万手を読む性能を持ちます。
YaneuraOuも例外ではなく、3万円台のノートPCでも九段即指しが可能。
つまり、強さに“時間”はほとんど関係ない時代になったのです。
でも、そこで生まれたのが
「あまりに速すぎて“将棋してる感”がない」
という悩み。
そこで、「将棋神やねうら王」は、あえて“思考時間を設計する”という方向性を取ったのです。
- 強いのに、ゆっくり考える
- 勝ちにこだわらず、楽しさを残す
これは機能というより“思想”です。
⚙️対局、機能、UI……ソフトの全体像を整理してみた
ソフトの全体機能をラインごとに分解
機能カテゴリ | 内容 |
---|---|
対局 | S段位指定(S初段〜S九段)、NodesLimit、思考時間設定 |
エンジン | USIプロトコル準拠。将棋所、ShogiGUIで動作可能 |
ソフト構成 | バイナリファイルと設定ファイルのみ。DLLなど不要 |
GUI操作 | 若干粗いが基本的な対局・棋譜操作は可能 |
対象外 | 課金制オンライン要素やランキング、クラウド連携などは非搭載(=シンプル) |
このように、不必要な要素は対象外にしつつ、必要なコア機能だけを搭載。
この“削ぎ落とし方”も美しい。
📷画像やライン表示の進化にも期待
現状は画像やライン表記が未実装、でもそれがいい

将棋所やShogiGUIと違い、「将棋神 やねうら王」の独自GUIでは以下が未対応です:
- 棋譜に画像を挿入する機能
- ライン(読み筋)をビジュアルで表示
- 評価値グラフの自動描画
でもこれは「未実装」ではなく、“最低限の設計”による余白です。
ユーザーがカスタマイズやGUI選択によって、自分の快適な環境に整えられるようにするための、
ある種の“開発哲学”とも言える設計方針なのです。
⏳人間らしさを重視した“S段位”の衝撃

「S初段」や「S九段」など、将棋神やねうら王には特殊な段位があります。
これは、通常の段位とほぼ同じ強さながらも…
- 手を抜いたように見える“読みのズレ”
- 長考による“テンポの乱れ”
- ミスに見える“人間味のある失着”
といった“弱点”を意図的に混ぜた設計になっています。
これがリアルすぎて驚く。
まるで将棋道場で、少し癖のある実力者と指しているような感覚です。
🎯ソフトは“タイトル戦”を目指す必要はない

将棋AIといえば、どうしても「電王戦」や「タイトル戦で勝てるか」が話題になります。
でも、「将棋神 やねうら王」は、そうした覇権主義とは無縁です。
- タイトルを取ることよりも、ユーザーと指す1局の“楽しさ”を追求
- 対局は勝負よりも、対話の手段であるという哲学
- その先に、新しいAIと人間の関係性が生まれる
この姿勢は、将棋だけでなく、AIが人間とどう関わっていくかを問う1つの答えかもしれません。
✅まとめ:将棋神 やねうら王は“速さ”より“余白”を愛するソフト

将棋神 やねうら王は、単なる将棋ソフトの枠を超えています。
「強く指せること」よりも、
「人間と遊ぶように指せること」。
その“余白”にこそ、
将棋の本質があるのではないでしょうか。