日本の選挙の仕組みをわかりやすく解説|衆議院・参議院・ドント方式・期日前投票まで図解【2026年版】

「選挙に行くけど、正直どういう仕組みで当選者が決まるかよくわからない」——そう感じている方は多いのではないでしょうか。

日本の選挙制度は、衆議院と参議院の2つで構成されており、それぞれ異なる選挙方式を採用しています。あなたが投票用紙に名前や政党名を書くとき、その1票はどのような計算を経て「議席」に変わるのでしょうか。

この記事では、衆議院・参議院の選挙制度の違い、比例代表の「ドント方式」の計算方法、選挙権・被選挙権の年齢、2025年参院選で過去最多2,618万人が利用した期日前投票の仕組みまで、図解でわかりやすく解説します。

日本の選挙制度の全体像

まず、日本の国会の構造を確認しましょう。日本は「二院制(両院制)」を採用しており、衆議院と参議院の2つの議院で構成されています。

日本の国会:二院制の仕組み

衆議院

465議席

小選挙区289+比例代表176
任期4年・解散あり

参議院

248議席

選挙区148+比例代表100
任期6年・解散なし

衆議院と参議院の役割の違い

衆議院は「解散」があるため民意を反映しやすく、参議院は「良識の府」として衆議院の決定を再審議する役割を担います。衆議院の方が立法権において優越(衆議院の優越)が認められており、両院で可決しないと法律が成立しない重要な局面もあります。

衆議院の選挙制度:小選挙区比例代表並立制

衆議院の選挙は「小選挙区比例代表並立制」と呼ばれる方式で行われます。有権者は2枚の投票用紙を受け取ります。

1枚目:小選挙区投票(289議席)

全国を289の小選挙区に分け、各選挙区から1人だけ当選します(一番多く票を得た候補者が当選)。この「1区1人当選」の方式を「小選挙区制」といいます。

小選挙区の特徴は死票が多くなりやすいこと。2位以下の候補者に投じられた票はすべて落選票になります。しかし、得票率に近い形で政権交代が起きやすく、「政治的安定」につながるとも言われています。

2枚目:比例代表投票(176議席)

2枚目の投票用紙には政党名を書きます。全国を11の「ブロック」に分け、各ブロックで政党ごとの得票率に応じて議席を配分します(ドント方式、後述)。比例代表では候補者ではなく政党に投票するのが特徴です。

また、小選挙区で落選した候補者でも、重複立候補していれば比例の順位によって当選することがあります(いわゆる「復活当選」)。

比較項目 小選挙区(1枚目) 比例代表(2枚目)
投票先 候補者の氏名 政党名
議席数 289議席 176議席(11ブロック)
当選方式 1位のみ当選 得票率に比例して配分
死票の多さ 多い 少ない

あなたは選挙で必ず投票していますか?

  1. 毎回欠かさず投票
  2. なるべく投票している
  3. たまに行く程度
  4. ほとんど行かない

参議院の選挙制度:選挙区+比例代表

参議院は任期6年で解散がなく、3年ごとに定数の半分(124議席)を選挙します。参議院の選挙も衆議院と同様に2つの方式の組み合わせです。

選挙区(148議席)

都道府県単位(一部合区)の選挙区から、選挙区の定数に応じた人数が当選します。東京都(定数8人)のように複数人が当選する「大選挙区」が基本です。衆議院の小選挙区(1人当選)と異なり、上位複数人が当選できるため、多党化しやすい特徴があります。

比例代表(100議席)

参議院の比例代表は全国を1ブロックとした「全国比例」です。政党名または候補者名のどちらを書いてもOK(非拘束名簿式)。候補者名で書いた場合、その票は政党の票に合算された上で個人の当選順位に活用されます。

比例代表の仕組み:ドント方式とは

比例代表の議席配分は「ドント方式(d’Hondt method)」という計算方法で行います。ここが多くの方がよくわからないと感じる部分ではないでしょうか。具体例で解説します。

ドント方式の計算手順

各政党の得票数を1、2、3…と整数で割り、その商の大きい順に議席を配分していきます。

ドント方式の計算例(3政党・5議席の場合)

割る数 A党(12万票) B党(8万票) C党(4万票)
÷1 12万 ① 8万 ② 4万 ④
÷2 6万 ③ 4万 ⑤ 2万
÷3 4万 2.67万 1.33万
当選議席数 3議席 2議席 1議席(④)

※①〜⑤の順番に議席が付与される。5議席の配分結果はA党3・B党2・C党0(4位⑤がB党のため)→C党は1議席も取れない

この方式のポイントは、大政党がやや優遇されることです。得票率と議席配分率が完全には一致せず、大政党が取りやすい構造になっています。それでも小選挙区のみより死票は少なく、少数政党も一定の議席を得られます。

選挙権と被選挙権:何歳から?

あなたが選挙で「投票できる権利」と「候補者になれる権利」は、それぞれ年齢が異なります。

選挙権(投票できる年齢)

2016年6月から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられました(それ以前は20歳以上)。これにより約240万人の若者が新たに有権者となりました。現在、日本の有権者数は約1億600万人(総務省、2025年参院選時点)です。

被選挙権(候補者になれる年齢)

選挙の種類 被選挙権年齢
衆議院議員選挙 25歳以上
参議院議員選挙 30歳以上
都道府県知事・市区町村長 25〜30歳以上(選挙の種類による)
都道府県・市区町村議会議員 25歳以上

期日前投票・不在者投票の仕組み

選挙当日に都合が悪い方でも、事前に投票できる「期日前投票」制度があります。この制度の利用者が急増しており、あなたの周囲でも活用している方が増えているのではないでしょうか。

期日前投票の普及状況

2025年参院選での期日前投票利用者は2,618万人(総務省)で国政選挙過去最多を記録。2024年衆院選でも約2,095万人(投票者全体の約4割)が活用しました。

期日前投票の手続き

選挙区の選挙管理委員会が指定する期日前投票所で、投票入場整理券(郵送されてくる「はがき」)を持参して投票できます。「選挙の当日に用事がある」と宣誓書に記載するだけで利用でき、手続きは非常に簡単です。

不在者投票との違い

「不在者投票」は住民票のある市区町村以外の場所(旅行先・入院中の病院など)でも投票できる制度です。期日前投票が「自分の選挙区内で事前投票」に対し、不在者投票は「他の場所でも投票できる」点が異なります。

投票率の現状と課題

日本の国政選挙の投票率は長期的に低下傾向が続いています。2024年衆院選の投票率は53.85%(小選挙区)で、戦後3番目に低い水準でした。18〜29歳の若年層の投票率は40%台と、60代〜70代(70%以上)と比べて特に低いです。

投票率が低いと何が問題かというと、特定の年代・属性の有権者の意見が政治により強く反映されやすくなります。「投票しても変わらない」という無力感が投票率を下げ、それがさらに若者の声が届きにくい政治につながる——という悪循環が指摘されています。

日本の選挙制度のデメリット・課題

どんな制度にも弱点があります。日本の選挙制度の主な課題を理解しておきましょう。

一票の格差問題

選挙区ごとの有権者数の差が「一票の価値の不均等」を生む問題です。例えば「1人当選の選挙区A(有権者10万人)」と「1人当選の選挙区B(有権者30万人)」では、Aの有権者の1票はBの3倍の重みを持ちます。最高裁は過去に「違憲状態」と判断したこともあり、是正が繰り返されていますが、完全な解消には至っていません。

小選挙区制の死票問題

289の小選挙区でそれぞれ1名しか当選できないため、2位以下の票がすべて「死票」になります。2021年衆院選では、小選挙区の全投票のうち約48%が死票(落選者への票)だったという分析もあります。民意の多様性が議席に反映されにくい構造です。

政党助成金と候補者供託金

候補者は立候補時に「供託金」を納める必要があります。衆議院小選挙区は300万円、参議院選挙区は300万円です。得票が一定基準を下回ると没収される仕組みです。これが高額すぎるとして新規参入の障壁になるという批判もあります。

よくある誤解

誤解1:比例代表は「好きな政党」に投票するだけ?

→ 参議院比例は候補者名でもOKです。参議院の比例代表(非拘束名簿式)では候補者の名前を書いても有効票として計算されます。その票は政党の総票に加算されつつ、個人の当選順位にも使われます。衆議院比例は「政党名のみ」が有効です。

誤解2:投票は住民票の住所でしか行えない?

→ 不在者投票を活用すれば他の場所でも投票できます。引っ越したばかりで住民票の移動が間に合っていない場合や、旅行中・出張中でも、不在者投票制度を利用すれば投票できます。ただし手続きには数日かかるため、事前申請が必要です。

誤解3:解散があるのは参議院?

→ 解散があるのは衆議院です。参議院には解散がありません(任期6年・半数ずつ改選)。内閣が衆議院を解散すると、解散日から40日以内に衆院選が行われます。参議院は解散がない分、より長期的な視点で政策を審議する「良識の府」としての役割を担います。

誤解4:比例当選は「当選しやすい制度」?

→ 必ずしもそうではありません。比例代表の当選者数は各政党の得票率によって決まります。どんなに有名な候補者でも、所属政党が少ない票しか得られなければ議席はゼロです。また衆議院比例は名簿の順位によって当選が決まる部分が大きく(「復活当選」を除く)、政党内部での順位争いも重要な要素です。

主要国の選挙制度との比較

日本の選挙制度を他国と比べると、その特徴がよりよく見えてきます。

下院の選挙制度 特徴
日本 小選挙区比例代表並立制 2票制・2方式の組み合わせ
アメリカ 小選挙区制のみ 二大政党制が固定化
ドイツ 小選挙区比例代表連用制 最終議席数が得票率に近い
イギリス 小選挙区制のみ 二大政党制・死票が多い
スウェーデン 比例代表制のみ 多党制・連立政権が一般的

まとめ:日本の選挙の仕組みを振り返る

  • 日本の国会は衆議院(465議席)参議院(248議席)の二院制
  • 衆議院は「小選挙区289議席+比例代表176議席」の並立制
  • 参議院は「選挙区148議席+全国比例代表100議席」、3年ごとに半数を改選
  • 比例代表の議席配分はドント方式:得票数を整数で割り、商が大きい順に議席を付与
  • 選挙権は18歳以上(2016年から)、被選挙権は衆議院25歳・参議院30歳以上
  • 期日前投票の利用者は2025年参院選で過去最多の2,618万人に達した
  • 一票の格差・小選挙区の死票・若者の低投票率などの課題が続く

あなたは選挙で必ず投票していますか?

  1. 毎回欠かさず投票
  2. なるべく投票している
  3. たまに行く程度
  4. ほとんど行かない

参考文献・出典

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