控除と免除の違いをわかりやすく解説|税金・社会保険での具体例・計算方法・どちらが得か【2026年版】

「控除と免除って何が違うの?」——確定申告や年末調整のシーズンになると、この疑問を持つ方は多いはずです。どちらも「お金が減る」イメージがありますが、仕組みはまったく異なります。混同したまま手続きすると、本来受けられる節税効果を取りこぼすことにもなりかねません。

この記事では、控除と免除の違いを税金と社会保険の両方の観点から、具体的な計算例を交えてわかりやすく解説します。会社員・個人事業主・産休育休中の方など、それぞれの状況に合わせた説明もしています。

結論ファースト:一言でいうと

控除:税金を計算するときに「差し引く金額」のこと。控除を受けると課税される所得(課税所得)が減り、結果として税金が安くなります。

免除:本来払うべき保険料や税金の支払いそのものを「免除(不要)」にすること。支払いが完全になくなります。

比較項目 控除 免除
意味 税金計算時に差し引く金額 支払い義務そのものをなくすこと
効果 課税所得が減る→税金が安くなる 保険料・税金を払わなくてよくなる
主な対象 所得税・住民税 国民年金保険料・社会保険料など
具体例 社会保険料控除、扶養控除、医療費控除 育休中の社会保険料免除、国民年金の免除申請
将来への影響 影響なし 年金額が変わる場合がある(免除期間の扱いによる)
※状況によって詳細は異なります

「控除」の仕組みを具体的に理解する

所得税の計算フロー(控除の仕組み)

年収・売上
総所得

各種控除の合計
所得控除

=
税率をかける対象
課税所得

×
5〜45%
税率

=
最終的に払う額
所得税額

所得控除の主な種類(確定申告・年末調整で適用)

控除の種類 控除額の目安 対象者
社会保険料控除 支払った全額 健康保険・年金を支払った人
配偶者控除 最大38万円 配偶者の年収が103万円以下
扶養控除 38〜63万円/人 16歳以上の扶養親族がいる人
医療費控除 年10万円超の医療費 年10万円以上の医療費を支払った人
基礎控除 48万円(所得2,400万円以下) すべての人(所得制限あり)
ふるさと納税(寄付金控除) 寄付金−2,000円 ふるさと納税を行った人
※2026年時点の情報。詳細は国税庁の情報をご確認ください

具体例:社会保険料控除で税金がいくら減るか

例えば、年間の社会保険料(健康保険+厚生年金)が60万円の場合、社会保険料控除として60万円が所得から差し引かれます。所得税率が20%の方なら、60万円×20%=12万円の節税になります。

ここがよく誤解されるポイントです。「控除60万円=節税60万円」ではなく、「控除60万円×税率20%=節税12万円」です。控除額と節税額は別物だということを覚えておきましょう。

「免除」の仕組みを具体的に理解する

育休・産休中の社会保険料免除

育児休業期間中は、本人と会社の両方の社会保険料(健康保険+厚生年金)が全額免除されます(健康保険法第159条・厚生年金保険法第81条の2)。免除期間中は保険料を支払っていなくても「支払ったもの」として年金額に反映されます。

例えば、2026年1月〜2027年3月まで育休を取った場合、この期間の社会保険料はすべて免除になります。月額の社会保険料が3万円なら、15ヶ月×3万円=45万円の免除になります。

国民年金の免除申請(収入が少ない場合)

自営業・フリーランス・無職の方が対象の国民年金の免除制度は、前年所得に応じて全額・3/4・半額・1/4の4段階で保険料が免除されます。2026年の国民年金保険料は月額17,510円(予定)です。

ただし注意が必要なのは、免除期間の年金額は「支払った場合の半分」になることです(全額免除の場合。国庫負担分は反映される)。将来の年金を減らしたくない場合は、収入が回復した後に「追納」することで満額に近づけることができます。

控除vs免除:どちらがお得か

「控除と免除、どちらが得なのか」とよく聞かれますが、これは比較できるものではありません。控除は税金の計算に使うもの、免除は保険料の支払いをなくすものであり、制度の目的がまったく異なります。

ただし、あなたの状況に合った制度を知り、適切に活用することが「お金を守る」ための重要なポイントです。例えば育休中であれば「社会保険料免除+配偶者控除の見直し」を同時に確認することで、家計への影響を最小化できます。所得税と住民税の違いも理解した上で、確定申告・年末調整に臨むことをおすすめします。

控除・免除のデメリット・注意点

控除は「申告しないと適用されない」ものが多い

基礎控除や給与所得控除は自動的に適用されますが、医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ特例を除く)・住宅ローン控除の初年度などは、自分で確定申告をしないと適用されません。知らずに損している人が非常に多いため、毎年控除の確認をすることをおすすめします。

免除を申請しないと自動的に適用されない

国民年金の免除制度は、自分で市区町村窓口またはオンラインで申請する必要があります。申請しないと「未納扱い」となり、2年以上未納が続くと将来の年金受給資格を失う可能性もあります。収入が少ない年は必ず申請することが重要です。

控除の「2,000万円の壁」

年間給与が2,000万円を超える高所得者は年末調整の対象外となり、確定申告が必須になります。また、基礎控除も段階的に縮小し(2,400〜2,500万円)、2,500万円超では適用されなくなります。

よくある誤解

誤解1:「控除100万円で100万円得をする」

前述の通り、控除100万円で得をする金額は「100万円×税率」です。所得税率が20%なら節税額は20万円です。控除額がそのまま節税額になるわけではありません。

誤解2:「社会保険料の免除を受けたら年金がもらえない」

育休中の社会保険料免除は「支払ったものとして扱われる」ため、年金額への影響はありません。国民年金の免除制度も、免除期間分は国庫負担分(1/2〜)が年金に反映されます。完全にゼロになるわけではありません。

誤解3:「確定申告をすると必ず追加で税金を払う」

確定申告をすると「税金を払い過ぎていた(還付)」になるケースも多くあります。医療費控除やふるさと納税の確定申告は、むしろ税金が返ってくる手続きです。

まとめ:控除と免除の違いをしっかり理解しよう

  • 控除は「税金の計算時に差し引く金額」で、課税所得を減らして税金を安くする仕組み
  • 免除は「保険料や税金の支払い義務そのものをなくすこと」
  • 社会保険料控除は支払った全額が控除対象、節税額は「控除額×税率」で計算
  • 育休・産休中は社会保険料が全額免除、年金額への影響もなし
  • 国民年金免除は申請が必要で、将来の年金額は「支払った場合の半分」(全額免除時)
  • 控除は申告しないと適用されないものが多いため、毎年確認が重要
  • ふるさと納税・医療費控除は確定申告で税金が戻ってくる可能性がある

「控除も免除も難しそう」と思っている方でも、基本的な仕組みを知るだけで、大きな節税につながります。特に産休・育休中の社会保険料免除は見逃しやすいので、人事担当者や税理士に確認してみましょう。

📚 参考文献・出典

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