台風27号はなぜ北上するのか|太平洋高気圧と偏西風から進路の仕組みを解説

2026年10月1日の報道で、台風27号が来週にかけて北上する見込みと伝えられました。「北上」という言葉は毎年聞いているのに、台風がなぜ北へ向かうのか、なぜ途中で東寄りに向きを変えるのかを、私は説明できませんでした。

気象庁の資料を読み直すと、答えは3つの力の組み合わせでした。地球の自転の影響で北へ向かう性質、低緯度の東風、そして日本の上空の偏西風です。台風27号がこの先どう動くかは私には言えませんが、進路が決まる仕組みは先に知っておけます。

  • 台風は上空の風に流されて動き、地球の自転の影響で北へ向かう性質もある
  • 夏は太平洋高気圧のまわりを回り、9月以降は放物線を描いて日本付近を通る
  • 平年の台風の発生は7月から10月に約71%が集中する
  • 進路の最新情報は、気象庁の予報円と台風情報で確かめる

台風の北上は、自転の影響と上空の風が重なった結果です

気象庁の研修資料によると、台風は上空の風に流されて動き、そこに地球の自転の影響で北へ向かう性質が加わります。台風が自分で進路を選んでいるわけではなく、まわりの大気の流れに乗っています。

台風が生まれる条件は台風の発生の仕組みの記事で整理しました。ここでは、生まれた後にどこへ運ばれるかを見ていきます。

低緯度では東風に西へ流されながら、次第に北へ向かう

同じ資料に、通常は東風が吹いている低緯度では、台風は西へ流されながら次第に北上すると書かれています。台風が日本のはるか南で西向きに進むことが多いのは、この東風のためです。

気象庁は、春先の台風も同じ動きとして説明しています。春先は低緯度で発生した台風が西に進み、フィリピン方面に向かいます。

夏は太平洋高気圧のまわりを回って日本へ向かう

夏になると、台風の発生する緯度が高くなります。気象庁は、太平洋高気圧のまわりを回って日本に向かって北上する台風が多くなると説明しています。

気象庁の「よくある質問」でも、台風は一般に太平洋高気圧の縁に沿って進んだり、偏西風のような上空の風の流れに沿って進むと答えています。高気圧がどこまで張り出すかによって、台風の通り道が変わります。

私は「北上」を、日本に向かってまっすぐ北へ進むことだと思っていました。実際は、高気圧のまわりを大きく回り込む動きの途中の一部分でした。

9月以降の台風が放物線を描くのは、偏西風に乗るからです

9月以降の台風はなぜ放物線を描くのか(海の上に広がる低く暗い雲)
Photo by Daniel Lerman on Unsplash

気象庁によると、9月以降の台風は南海上から放物線を描くように日本付近を通ります。北へ向かっていた台風が、ある場所で向きを東寄りに変えるカーブです。

8月は上空の風が弱く、経路が定まらない

8月は台風の発生数が年間で一番多い月です。ただ、台風を流す上空の風がまだ弱いため、不安定な経路をとることが多いと気象庁は説明しています。同じ台風でも、8月と9月では動き方が違います。

中・高緯度の偏西風に乗ると、速い速度で北東へ進む

研修資料には、上空で強い西風(偏西風)が吹いている中・高緯度に来ると、台風は速い速度で北東へ進むとあります。北上してきた台風が日本付近でカーブするのは、東風の世界から西風の世界へ入るためです。

この時期は、台風が秋雨前線を活発にして大雨を降らせることもあります。9月の東京で連続降水が続いた背景は東京都心で34日連続雨になったのはなぜ?にまとめています。

気象庁は、室戸台風や伊勢湾台風のように日本に大きな災害をもたらした台風の多くが、9月にこの経路をとったと説明しています。カーブする時期の台風は、速度が上がることも含めて注意が要ります。

台風が近づくとき、最初に確認する情報はどれですか?

  1. 気象庁の台風情報(予報円)
  2. テレビ・ラジオの天気予報
  3. スマホの天気アプリ
  4. とくに確認しない

📊 これまでの読者投票の結果(当サイト調べ・11票)

気象庁の台風情報(予報円):55%
テレビ・ラジオの天気予報:18%
スマホの天気アプリ:18%
とくに確認しない:9%

台風が来る季節は、7月から10月に偏っています

気象庁の統計では、1991〜2020年の30年平均で、年間に約25個の台風が発生します。そのうち約12個が日本から300km以内に接近し、約3個が上陸しています。発生・接近・上陸ともに、7月から10月にかけて最も多くなります。

月別の平年の発生数

月 平年の発生数(個) 北上のしかた
7月 3.7 高気圧のまわりを回って日本へ向かう
8月 5.7(年間最多) 上空の風が弱く、不安定な経路が多い
9月 5.0 南海上から放物線を描いて通る
10月 3.4 気象庁の経路の説明は9月以降が対象
11月 2.2 —
※気象庁「台風の平年値」(1991〜2020年の30年平均、年間は25.1個)。右の列は気象庁「台風の発生、接近、上陸、経路」の説明を整理したものです

7月から10月で年間の7割ほどを占める

7月から10月の平年値を足すと、3.7+5.7+5.0+3.4=17.8個です。年間の25.1個で割ると、17.8÷25.1≒0.709で、約71%になります。台風の発生の7割ほどが、この4か月に集まっています。

接近と上陸も割ってみます。年間に約25個が発生して約12個が接近するので、12÷25≒0.48、およそ2個に1個です。約3個が上陸するので、3÷25=0.12、約12%です。発生した台風の多くは、日本に上陸せずに海の上で終わります。

台風27号という数字も、この平年値に照らすと意味が見えてきます。年間25.1個が平年ですから、27番目の台風は平年より多いペースで発生した年に出てきます。27-25.1=1.9で、すでに平年の年間数を1.9個上回っています。

近年は、太平洋側の陸地に近いところを通る台風が増えました

気象研究所の分析を日本気象協会のtenki.jpが紹介しています。過去40年のデータで、東京など太平洋側の地域に接近する台風が増えており、東京では前半20年に比べて後半20年の接近数が約1.5倍になっています。

太平洋高気圧の張り出しが、通り道を陸地へ寄せた

要因として挙げられているのは、太平洋高気圧の西と北への張り出しが強くなっていることです。これまでは日本の南海上で高気圧の縁に沿って動いていた台風が、張り出しに合わせて、日本の太平洋側の陸地により近いところを通るようになったと考えられています。

北上の仕組みは毎年同じでも、高気圧の張り出し方が変われば、同じ「北上」の通り道が変わります。昔の経験則だけで進路を決めつけない、という使い方ができます。

台風27号のニュースは、予報円と台風情報で読み解きます

台風27号のニュースは予報円で読む(水平線まで続く厚い雲と海)
Photo by engin akyurt on Unsplash

報道で「来週にかけて北上」と聞いたら、具体的な位置は気象庁の台風情報で見ます。気象庁の台風情報では、実況と予報が公開されています。

実況は1日8回、予報は1日4回

気象庁の資料によると、台風の実況は1日8回、3時間ごとに発表されます。内容は、中心位置、進行方向と速度、中心気圧、最大風速、最大瞬間風速、暴風域、強風域です。

予報は、3日先までの進路と強度の予報と、5日先までの進路の予報があります。発表は1日4回で、03時、09時、15時、21時の観測に基づきます。予報の内容には、予報円の中心と半径、移動方向と速度が含まれます。

予報円の中に中心が入る確率は70%

気象庁の資料によると、予報円は台風の中心が到達すると予想される範囲を示す円です。予報した時刻に、この円の中に台風の中心が入る確率は70%とされています。

100-70=30%ですから、10回のうち3回ほどは、中心が円の外を通る計算になります。円の中心を結んだ点線は台風が進む可能性の高いコースですが、気象庁は必ずしもこの線に沿って進むわけではないと注意を促しています。

円の外側を囲む赤い実線の暴風警戒域は、中心が予報円の中に進んだ場合に、暴風域に入るおそれのある範囲全体を示します。点線の1本だけを追わず、円と暴風警戒域の広がりで見るのが、気象庁の図の読み方です。

私は台風の日は自転車で都心に出るのをやめて、中央線の運行情報を見る生活です。予報円は、その判断を前日の夜までにする材料になっています。

進路が分かっていても、被害が出る場面があります

北上や放物線の仕組みを知っても、危険がなくなるわけではありません。気象庁の資料には、主な台風災害として、1934年9月21日の室戸台風では死者が2,702人にのぼりました。2013年10月16日の平成25年台風第26号も、主な台風災害として載っています。

2013年の例は10月です。秋が深まってからでも、台風の被害が出る年があります。進路から外れて見える地域でも、前線を刺激して大雨になる場合があります。台風の大雨で道路が冠水する理由は台風で道路が冠水するのはなぜかで書いています。

この記事の仕組みは、進路がおおまかにどう決まるかの説明です。台風27号が実際にどこを通るかは、気象庁の最新の予報で確認してください。

台風の進路情報を見るときの判断の目安

予報の読み方は、次の3つの順で決めると迷いません。

1. 予報円の大きさを先に見る

円の中心ではなく、円の大きさと、円がかかる範囲を見ます。範囲に自分の地域が入っていれば、中心が少し外れていても備えの対象です。

2. 速度の変化を見る

偏西風に乗ると速い速度で北東へ進むため、日本付近に近づくと台風の動きは変わります。到達時刻が予想より早まる可能性を考えて、準備は早めに終えておきます。

3. 発表のたびに更新を確かめる

予報は1日4回更新されます。前日に見た進路のまま動かず、次の更新で確認します。この記事の数字や進路の説明は、2026年10月時点のものです。

台風の北上についてよくある誤解

台風は自分の力で北へ向かっているのですか

違います。台風は上空の風に流されて動き、そこに地球の自転の影響で北へ向かう性質が加わります。低緯度では東風に西へ流されながら次第に北上し、中・高緯度の偏西風に乗ると速い速度で北東へ進みます。

台風は発生すれば必ず日本に来ますか

来ません。1991〜2020年の平均で、年に約25個が発生して、日本に300km以内に接近するのは約12個、上陸は約3個です。接近はおよそ2個に1個、上陸は約12%です。

北上の経路は毎年同じですか

同じではありません。夏は太平洋高気圧のまわりを回り、9月以降は放物線を描くのが基本です。ただ、気象研究所の分析では、高気圧の張り出しが強まり、東京など太平洋側の陸地に近いところを通る台風が増えています。

まとめ:台風27号の北上を、仕組みから読む

台風の北上は、地球の自転の影響で北へ向かう性質と、低緯度の東風、中・高緯度の偏西風という上空の風の組み合わせです。夏は太平洋高気圧のまわりを回り、9月以降は偏西風に乗って放物線を描いて日本付近を通ります。

平年の発生数は年間25.1個で、7月から10月に7割ほどが集まります。台風27号は、その平年を上回るペースで出てきた台風です。ニュースで「北上」と聞いたら、予報円と台風情報で、時刻ごとの位置と速度を確かめてください。

この記事は2026年10月時点の情報です。台風27号の進路や強さは時間とともに変わります。最新の情報は気象庁の台風情報で確認してください。

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EDITOR
白月ハルカ
ディスカバリーメディア 編集長
1995年生まれ、新潟・長岡育ち。いまは東京の中央線沿線でひとり暮らしをしながら、ディスカバリーメディアの編集長をしています。前職はIT企業の広報(5年)。統計表を眺めるのと、ラジオの野球中継と、ジョジョ(第4部派)が好きです。ニュースの見出しを見ると「本当に?」と数字を確かめにいく癖があって、その確かめた結果を記事にしています。間違いを見つけたら教えてください、すぐ直します。