
フランス政府の後押しを受け、「国産AIの新たな旗手」と期待されていた人工知能「Lucie(ルーシー)」。ところが、テスト公開からたった2日で利用停止に追い込まれたというから驚きです。いったい何が起こったのでしょうか? 炎上の理由や開発元の釈明、そして今後の展望をわかりやすくまとめました。
引用元情報:
This game lets you put your knowledge of the Parisian metro to the test! | Le Bonbon
1. 新AIの華々しいデビュー、まさかの“即停止”
- 開発・運営:Linagora社 × CNRS(フランス国立科学研究センター)
- 政府支援:フランス国内のAI産業を盛り上げるための国家プロジェクトの一環
- 公開日:2025年1月23日(試験運用期間は1カ月を予定)
- 停止日:2025年1月25日(わずか2日後に一時クローズ)
そもそも「Lucie」は、「映画『Lucy』ばりの画期的なAIをフランスから生み出す!」という意気込みで開発されたといいます。フランス発のオープンソースAIとしては初の大型プロジェクトとも言われていただけに、短期間での停止は国内外から大きな注目を集めました。
2. 理由は“珍回答”連発!? SNSで一気に炎上
では、どうして2日でアウトになってしまったのか――その原因は「Lucie」が返す回答が、あまりにも“トンチンカン”だったから。
- 「ヤギの平方根は1です」
- 「5(3+2)は17です」
- 「牛の卵(cow eggs)は牛が産む食用卵」
といった、誤りを通り越して“珍回答”のオンパレード。
案の定、この面白すぎる回答集がSNSで瞬く間に拡散され、
「牛は卵を産むって、もはやAIじゃなくジョークでしょう」
と大爆笑・大炎上。もはや誰もが「Lucie」の奇妙な受け答えをネタにし始める事態となりました。
3. 開発元の釈明:「未完成AIなんです」
こうした混乱を受け、Linagora社とCNRSはテスト公開を一時停止。アクセス遮断の理由としては、
「まだ初期設定しかしていない“生まれたて”の状態。ここまで多くの人に使われるとは想定外だった」
と説明しています。
本来ならば、内輪での試験運用で不具合や誤回答を検証しながら徐々に精度を高めるはずが、予想を超えるアクセス数とSNSでの拡散によって、開発途中のモデルがいきなり世間の目にさらされてしまったわけです。
4. 国家プロジェクトの“つまずき”は取り返せる?
「Lucie」はフランス発の大規模AIとして、教育現場への導入や公共サービスへの応用が期待されていました。
- 2025年中に小中学校などの学習サポートで活用する構想もあった
- 政府は「フランスの独自AIを世界に示す」という狙いを大々的に打ち出していた
しかし、今回の騒動で「フランスのAIがこの程度?」と揶揄されてしまい、国際的にも“出鼻をくじかれた”感が否めません。一方で、研究者たちは
「大きな課題が浮き彫りになったのはむしろチャンス」
と語り、改良・改善の余地はまだまだたくさんあると前向きに捉えているようです。
5. まとめ:今後の再起に期待を込めて
わずか2日で活動休止に追い込まれたAI「Lucie」ですが、開発元は
「ここから学びを得て、より精度が高く、倫理的にも透明性のあるフランス製AIを作り上げたい」
と意気込んでいます。ちょっと派手な“初舞台”となってしまいましたが、AIはアップデートを繰り返すことでいくらでも進化できる存在です。
何より“珍回答”のインパクトは絶大。「ヤギの平方根は1」という迷フレーズはしばらくSNSの笑いのネタになりそうですが、逆に言えば、それだけ多くの人の目に留まるきっかけになったとも言えます。
今後、この経験をバネに「Lucie」が**正真正銘の“フランスの誇り”**へと成長していくのか――。一度炎上したからこそ、次に戻ってくるタイミングでは、想像以上に注目が集まるはず。次こそは「牛が卵を産む」などと言わず、私たちを唸らせるハイレベルなAIとして帰ってきてくれることを期待しましょう。