数珠の玉の数はなぜ108個?54個・27個との違いと宗派ごとの形

数珠の玉は、なぜ108個なのでしょうか。手元の数珠を数えたら54個や27個だったという人もいて、同じ数珠なのに数が違うことが気になります。

私は、数珠は108個が決まりで、少ないものは省いた略式だと思っていました。辞書を引き直すと、108個は「基本」の数で、54珠、27珠、36珠、18珠の数珠にも、それぞれ意味づけがありました。この記事では、国語辞典・百科事典(コトバンクに掲載されている各辞典)と、除夜の鐘の解説で確かめたことを、2026年10月時点でまとめます。

  • 玉の数は108個が基本で、百八煩悩を除くためといわれる
  • 54個は108の半数、27個は4分の1で、菩薩の五十四位と二十七聖賢に重ねられる
  • 融通念仏宗は36珠、禅宗は18珠の数珠を用いる
  • 煩悩が108になる数え方は1つではなく、除夜の鐘の解説でも諸説が紹介されている
  • 数珠の記録は722年の法隆寺の資財帳にあり、起源は古代インドにある
目次

数珠の玉は108個が基本。54個や27個に減らした数珠もある

数珠の玉は108個が基本で、54個や27個に減らした数珠もある:木の台に置かれた、玉をつないだ連珠
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辞書は「玉の数は通常108個」と書いている

デジタル大辞泉(小学館)は、数珠を、仏や菩薩を礼拝するときに手に掛ける仏具で、小さい玉をつないだ輪、と説明しています。玉の数は通常108個で、百八煩悩を除くためといわれる、宗派によって数を54や27などに減らしたものもある、と続きます。

数珠は仏教の仏具です。寺と神社の使い分けから確認したい方は、神社と寺の違いの記事もあわせて読んでみてください。

108個以外の数は、百科事典に7種類載っている

改訂新版 世界大百科事典(平凡社)は、玉を連ねる個数は108珠がもっとも普遍的で、ほかに、経典の説くところによれば1080珠、54珠、42珠、27珠、21珠、14珠の計7種がある、と書いています。ここに並ぶ数は6つなので、108を足すと7種になります(6+1=7)。

同じ事典は、融通念仏宗では36珠、禅宗では18珠のものも用いられ、これ以外の個数のものもあり、それぞれの個数は仏教的な意義づけにもとづいている、とも書いています。

辞書に出てくる数を表で整理する

玉の数 辞書・百科事典の説明
108 基本の数。百八煩悩を除くためといわれる
54 108の半数。菩薩の五十四位を表す(百科事典マイペディア)
27 108の4分の1。二十七聖賢を表す(百科事典マイペディア)
36 融通念仏宗(世界大百科事典)。精選版日本国語大辞典は「念仏宗」と書く
18 禅宗(世界大百科事典、精選版日本国語大辞典)
1080・42・21・14 経典の説く個数(世界大百科事典)
※出典はコトバンク掲載の各辞典。2026年10月時点で確認

108は煩悩の数。その数え方は、資料によって違う

108は煩悩の数で、除夜の鐘も108回:瓦屋根の下につるされた寺の鐘
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六根から計算すると108になるという説明

精選版日本国語大辞典(小学館)によると、百八煩悩は、人間が持つ108種の煩悩のことです。一説として、眼・耳・鼻・舌・身・意の六根が、色・声・香・味・触・法の六塵と関係するとき、それぞれに3種の感じ方があって18の煩悩になり、これを染と浄の2つに分けて36、さらに過去・現在・未来の3つに分けて合計108になる、と計算したものが載っています。

辞書の説明を式にすると、6×3=18、18×2=36、36×3=108です。

除夜の鐘の解説にも、諸説が並んでいる

イミダス(集英社)の「除夜の鐘」の解説では、除夜の鐘は108回撞くとしたうえで、煩悩の108という数には諸説があると書かれています。六根の好・悪・平(気持ちがよい、悪い、ふつう)をベースにした数え方、十纏と九十八結という煩悩の数を足したもの、1年の月・節気・候の数を足したもの、四苦八苦(4×9と8×9を足した数)が108になるという説です。

各説を式にすると、10+98=108、12+24+72=108、4×9+8×9=36+72=108です。

私は、除夜の鐘は108回とも年内に撞くものだと思っていました。同じ解説に、旧年に百七つ、新年になって百八つめが撞かれる、とあります。年内の107回と新年の1回を足すと108回です(107+1=108)。年末に鐘の音を聞くときの見方が、少し変わりました。

手元の数珠の玉の数を、数えたことはありますか?

  1. 数えたことがあり、108個くらいだった
  2. 数えたことがあり、108個より少なかった
  3. 数えたことはない
  4. 数珠を持っていない

📊 これまでの読者投票の結果(当サイト調べ・5票)

数えたことがあり、108個くらいだった:60%
数えたことはない:20%
数珠を持っていない:20%
数えたことがあり、108個より少なかった:0%

54個と27個は、菩薩の位と聖賢の数に重ねられた

108の半数が54、4分の1が27

百科事典マイペディア(平凡社)は、玉の数108個は百八煩悩を消滅させる意味をもち、その半数の54で菩薩の五十四位、4分の1の27で二十七聖賢を表す、と書いています。日本大百科全書(小学館)も、54は菩薩の五十四位、27は二十七賢聖に通じる、と説明しています。

計算すると、108÷2=54、108÷4=27です。

36珠と18珠も、108を割り切れる数

36は108÷3、18は108÷6で、どちらも108を割り切れます。54・27・36・18は、108を整数で割った数になっています。ただ、辞書はこの関係を理由として説明していないので、割り切れる数に決められた理由までは確かめられていません。

一方、経典の説く42・21・14は、108を割っても整数になりません(108÷42は約2.6、108÷21は約5.1、108÷14は約7.7)。正直、これは意外でした。「108を割った数が宗派の数珠になる」と言い切れない理由が、ここにあります。

数珠はいつ日本に来たのか。平安時代に広まった理由

起源は古代インド。日本の記録は722年

世界大百科事典は、古代インドのバラモン教で用いられていたものが、2〜3世紀ごろ仏教徒の間にとり入れられたともいわれている、と書いています。当初は僧が日数を繰るために持っていたのが起源ともいわれます。日本では、722年(養老6年)の法隆寺の資財帳に「誦数」の名前が見え、正倉院宝庫には奈良時代の誦数が数条伝わっています。

精選版日本国語大辞典も、初出の実例として、法隆寺伽藍縁起并流記資財帳(養老六年、722年)の「合白檀誦数弐烈」をあげています。

ただし、起源の説明は資料で違います。百科事典マイペディアは、もとは教団で人員を数えたものという説をあげ、原始仏教では使用しなかったらしく、現在も南方仏教圏では使われない、と書いています。

平安時代の密教と念仏で、常に身に付ける法具になった

世界大百科事典によると、平安時代の初めごろに密教が伝わり、真言を数多く唱える修行が盛んになってから、数珠は修法に必須の法具となりました。さらに、称名念仏がはやり、寸暇を惜しんで念仏や真言を唱える回数を誇るようになり、数珠は常に身に付ける法具として、僧も一般の人もなれ親しむものになった、と説明されています。

精選版日本国語大辞典には、平家物語(13世紀前)の用例も載っています。このころには、数珠が物語に出てくるほど、広く知られていたことが分かります。

西洋のロザリオと、もとの言葉は同じ

日本大百科全書によると、数珠の原語はサンスクリット語のジャパ・マーラ(念誦の輪)です。これがインドから西方に伝えられ、キリスト教圏にも普及しました。同事典は、サンスクリット語のジャパーがバラを意味するため、西洋では直訳されてロザリオ(ラテン語でrosarium)になった、と説明しています。ブリタニカ国際大百科事典も、インドのバラモンが念誦のために用いたものが、仏教、イスラム教、キリスト教にとり入れられた、と書いています。

数珠の部品の名前と、宗派で差が出るところ

108個は主珠の数で、母珠などは別の名前の珠

世界大百科事典によると、108珠の数珠は、108珠の主珠のほかに、母珠という大珠、四天珠、記子珠、浄明珠という小珠、記子留から成り立っています。主珠を2等分して54珠ずつに分け、その中間にあって数珠の中心になる大珠が母珠(親珠)です。母珠に房を取り付け、房に記子珠(弟子珠、カズトリ)と記子留をつけます。四天珠は主珠の間に加わる小玉で、普通は7珠目と21珠目の次につけられる、と書かれています。

この説明からは、「108個」という数え方に、母珠や四天珠は入っていないと読めます。

宗派で差が出るのは、記子の数と房の長さ・形

同じ事典は、数珠の基本の構成は同じでも、宗派によって多少の差があり、とくに記子の数や房の長さ、形に顕著な違いがある、としています。また、浄土宗や時宗で用いる、二連で輪に記子や房がついた特殊な数珠もあると書いています。

修験道のいらたか念珠は、音を立ててもむ

世界大百科事典(旧版)の「いらたか念珠」の項目によると、いらたか念珠は、角のある108の珠を用いた数珠で、修験者が使います。通常は、数珠をもむときに音を立ててはならないとされています。一方、修験道では悪魔祓いの意味で、読経や祈禱のときに、この数珠を両手で激しく上下にもんで音を立てる、とあります。数珠の使い方も、宗派や信仰によって同じではありません。

手元の数珠が何珠か、数えて確かめる方法

数えるのは主珠だけ。母珠を境に半分ずつ

手元の数珠の数を確かめるときは、辞書の構成をもとに、母珠・四天珠・記子珠・浄明珠を除いて、主珠だけを数える方法が考えられます。母珠を境にして、片側ずつ数えると、数え間違いが減ります。これは私の提案で、辞書に数え方の決まりがあるわけではありません。

108珠の数珠なら、母珠の片側が54珠、反対側も54珠で、合計108珠になります(54×2=108)。

数が合わないときは、辞書の数と宗派を照らす

数えた数が、上の表の数のどれかに当てはまれば、その数に意味づけがあるということです。当てはまらないときは、通販サイトの商品説明ではなく、所属する宗派や菩提寺の案内で確かめるのが確実です。

お盆や法事など、仏を礼拝する場面で手に掛ける前に確かめておくと、慌てません。お盆のことは、お盆の仕組みの記事にまとめています。

数珠の数の話で、気をつけたいこと

宗派ごとの正式な数は、確かめた資料では分からない

今回確かめた辞書が、宗派名と玉の数を結びつけて書いているのは、融通念仏宗(または念仏宗)の36珠と、禅宗の18珠だけです。浄土真宗・真言宗・天台宗・日蓮宗などの正式な数は、確かめた資料に載っていませんでした。インターネット上には宗派別の一覧もありますが、記事によって説明が食い違っているため、この記事では採用していません。

起源や意味づけは、資料で食い違う

数珠の起源は、バラモン教から仏教徒にとり入れられた、僧が日数を数えるために持った、教団で人員を数えた、と資料によって書き方が違います。108の数え方も1つに決まっていません。「これが唯一の正解」と断定している説明は、一度疑って、辞書で確かめるのがよいと思います。

よくある誤解

Q. 数珠は108個でないと、正式ではないのですか?

108珠は、辞書がもっとも普遍的な数、基本の数としているものです。ただ、54・27・36・18などの数珠も辞書に載っていて、宗派によっては、その数が決まっている場合があります。108個でないからといって、誤りとは書かれていません。

Q. 除夜の鐘は、108回とも年内に撞くのですか?

イミダスの解説では、旧年に百七つ、新年になって百八つめが撞かれる、とされています。年を越える瞬間をはさんで撞く形です。

Q. 数珠は、仏教だけの道具ですか?

日本大百科全書は、インドではバラモン教、ヒンドゥー教、ジャイナ教などで用いられ、仏教にも広く普及して今日に至る、と書いています。イスラム教でも数珠は広く用いられ、西洋ではロザリオになった、とも説明されています。

数珠の玉の数を読むときの判断ポイント

手元の数珠の数と、辞書の説明を照らし合わせると、次のように読めます。

手元の数珠 辞書からの読み方
主珠が108 基本の数。百八煩悩を除く意味がある
主珠が54・27 108を半分・4分の1にした数。菩薩の五十四位、二十七聖賢に重ねられる
主珠が36・18 念仏系(融通念仏宗)は36、禅宗は18
42・21・14など 経典の説く個数。宗派の確認が必要
角のある珠が108 修験道のいらたか念珠
※辞書の記述を整理したもの。宗派ごとの正式な数は、所属の宗派・寺院で確認してください

数が違っていても、辞書は誤りとは書いていません。使う場面や宗派が決まっているなら、菩提寺や宗派の案内で確かめてください。

まとめ:数珠の玉の数は、108を基準に意味がつけられている

数珠の玉は、108個が基本です。人間の108の煩悩を除くためといわれ、その数え方には六根から計算する説や、暦の数を足す説など、いくつもの説があります。54個と27個は、108の半数と4分の1で、菩薩の五十四位と二十七聖賢に重ねられました。36珠は融通念仏宗、18珠は禅宗の数珠です。

数珠は古代インドから仏教にとり入れられ、722年の記録が日本に残っています。平安時代に密教と念仏で広まり、西洋ではロザリオと同じ語源をもつ道具として伝わりました。母珠や四天珠などの小さな珠は、108個の数には入っていません。

手元の数珠の数を、主珠だけ数えて確かめてみてください。辞書の数に当てはまらないときや、宗派ごとの正式な数が必要なときは、所属の宗派や菩提寺で確認するのが確実です。年末には、旧年の百七つと新年の一つに分けて撞かれる除夜の鐘の音を、数の意味を知ったうえで聞けます。

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EDITOR
白月ハルカ
ディスカバリーメディア 編集長
1995年生まれ、新潟・長岡育ち。いまは東京の中央線沿線でひとり暮らしをしながら、ディスカバリーメディアの編集長をしています。前職はIT企業の広報(5年)。統計表を眺めるのと、ラジオの野球中継と、ジョジョ(第4部派)が好きです。ニュースの見出しを見ると「本当に?」と数字を確かめにいく癖があって、その確かめた結果を記事にしています。間違いを見つけたら教えてください、すぐ直します。