エチオピアの高地で、オオカミが花の蜜をなめ、受粉に関与している可能性があるという驚きの発見が報告されました。肉食動物であるオオカミが植物の受粉に寄与するという、これまでにない生態系の相互作用が明らかになったのです。
引用元: The Conversation
エチオピアオオカミとレッドホットポーカーの関係
エチオピアオオカミは、エチオピアの高地に生息する体長約1メートルの細身のイヌ科動物で、鮮やかな赤い毛並みと白い喉元が特徴です。生息数は500頭未満とされ、アフリカで最も絶滅の危機に瀕している肉食動物とされています。
一方、レッドホットポーカー(Kniphofia foliosa)は、エチオピアの高地に自生する植物で、赤と黄色の鮮やかな花を咲かせます。雨季(6月から11月)に開花し、豊富な甘い蜜を提供します。
研究者たちは、エチオピアオオカミがこのレッドホットポーカーの花から蜜をなめる行動を観察しました。オオカミが花から花へと移動する際、鼻先に花粉が付着していることが確認され、これが受粉に寄与している可能性が示唆されています。

引用:The Conversation
研究の背景と発見
この発見は、オックスフォード大学とエチオピアの研究者によるエチオピアオオカミ保全プログラムの一環として行われました。同プログラムの創設者であるクラウディオ・シレロ氏は、数年前にオオカミがレッドホットポーカーの花から蜜をなめる行動を初めて観察しました。その後、野生動物写真家のエイドリアン・レサフル氏がこの行動を撮影し、研究チームは詳細な調査を進めました。
研究者たちは、オオカミが蜜をなめる行動が偶発的なものではなく、定期的に行われていることを確認しました。さらに、オオカミの糞を分析した結果、植物性の物質が含まれていることが判明し、蜜の摂取が食生活の一部である可能性が高まりました。
生態系への影響と今後の研究
この発見は、肉食動物が植物の受粉に関与するという新たな生態系の相互作用を示しています。エチオピアオオカミは主に小型哺乳類を捕食することで知られていますが、蜜を摂取することでエネルギー源を多様化させている可能性があります。また、レッドホットポーカーにとっても、オオカミが新たな受粉媒介者として機能している可能性があります。
研究者たちは、今後さらに詳細な調査を行い、オオカミとレッドホットポーカーの相互作用が生態系全体に与える影響を解明することを目指しています。この発見は、絶滅の危機に瀕するエチオピアオオカミの保全活動にも新たな視点を提供するものとして期待されています。

引用:The Conversation
エチオピアオオカミ保全プログラムの詳細については、以下のリンクをご参照ください。
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