マンションの床衝撃音LL-45とLH-50は何が違うのか|足音と飛び跳ねる音を分ける遮音等級の読み方

マンションやアパートの部屋探しで「遮音等級LL-45」と書かれているのを見て、私は長いあいだ、45という数字を床の厚みか硬さの目安だと思っていました。調べてみると、LLは軽いものが落ちたときの音、LHは重いものが落ちたときの音を表す記号で、数字は下の階で測った音の大きさをデシベルで読み、日本建築学会の基準にあてはめた等級でした。

この記事は、2026年10月時点で公開されている建築研究所、UR都市機構、日本建築総合試験所、国土交通省などの資料をもとに、足音や物音が下の階に伝わる仕組みと、LL・LHの数字の読み方を整理したものです。部屋を借りる人、買う人、フローリングを張り替える人が、何を確認すればよいかまで書きました。

  • 床の音は、軽いものが当たる音(LL)と重いものが当たる音(LH)で、別々の数字で評価される
  • 数字は小さいほど下の階に届く音が小さく、5つ違うと等級が1つ変わる
  • 重い音は建物の床の構造、軽い音は床の仕上げ材の影響が大きい
  • 集合住宅の床の遮音には法律の基準がなく、管理規約や物件ごとの仕様で決まる
目次

床の音は軽い音と重い音に分けて測られています

上の階で物を落としたり歩いたりすると、床が振動し、その振動が下の階の天井や壁から音として出てきます。UR都市機構の資料では、重量床衝撃音を床を飛び跳ねたときに起こる音、軽量床衝撃音を床にスプーンなどの物を落としたときに起こる音と説明しています。東急建設などの発表資料では、上の階の重量衝撃を「ドスン音」、軽量衝撃を「コツコツ音」と書いています。

上の階の音が下の階に届くまで

上の階で
床に衝撃が加わる
→
床とスラブが
振動する
→
下の階の
天井から音が出る

ドスンとコツコツは、測る道具もルールも別です

東急建設などの発表資料によると、重量床衝撃音はJIS A 1418-2で決められた標準重量衝撃源で、軽量床衝撃音はJIS A 1418-1で決められた標準軽量衝撃源で測ります。UR都市機構の実証試験では、重量床衝撃音にバングマシン、軽量床衝撃音にタッピングマシンを使っています。足音を測る機械と、飛び跳ねる音を測る機械が、そもそも違うということです。

重い音と軽い音では、数字を左右する場所が違います

UR都市機構の資料は、重量床衝撃音の決定周波数帯域を63Hz帯域と書いています。63Hzは低い周波数の音です。一方、日本建築総合試験所の軽量床衝撃音の実験では、床仕上げ材による差が125Hzから2000Hzの広い帯域に出ていました。重い音は低い周波数、軽い音は広い周波数の音です。

LL-45とLH-50の数字は、日本建築学会の等級にあてはめた値です

LLは軽量床衝撃音、LHは重量床衝撃音の遮断性能を表します。数字は、下の階で測った床衝撃音レベルを周波数ごとに並べ、JIS A 1419-2の等級曲線に重ねて読み取ったL値です。東急建設などの発表資料も、測定値を等級曲線にプロットしてL相当値を出したと説明しています。私が最初に思っていた「床の厚み」ではなく、音の測定結果を基準の曲線にあてはめた数字でした。

数字は小さいほど静かで、5つで等級が1つ変わります

建築研究所の資料にある日本建築学会の適用等級を、集合住宅の目安として表にしました。重量衝撃源は特級がL-45、1級がL-50、2級がL-55、3級がL-60です。軽量衝撃源は特級がL-40、1級がL-45、2級がL-55、3級がL-60です。

適用等級 重量衝撃源(LH) 軽量衝撃源(LL)
特級 L-45 L-40
1級 L-50 L-45
2級 L-55 L-55
3級 L-60 L-60
※建築研究所の資料(表1)より。重量衝撃源はタイヤ衝撃源。木造などの集合住宅の3級には、重量衝撃源にL-65も使われる。

LL-45とLL-60の差は60−45で15です。等級でいうと、1級と3級のあいだにあたります。

注意したいのは、同じ「1級」でも重量と軽量で数字が違うことです。LL-45は軽量衝撃源の1級、LH-50は重量衝撃源の1級に当たります。「LL-45」と書かれた物件資料を見て、飛び跳ねる音まで1級だと読むのは間違いです。

数字ごとの聞こえ方は、学会の資料に目安があります

日本建築学会の「建物の遮音性能基準と設計指針」の抜粋が、東急建設などの発表資料に載っています。軽量衝撃音のLL-40は「ほとんど聞こえない」、LL-45は「小さく聞こえる」、LL-50は「聞こえる」、LL-55は「発生音が気になる」、LL-60は「発生音がかなり気になる」です。重量衝撃音ではLH-45が「聞こえるが意識することはあまりない」、LH-50が「小さく聞こえる」、LH-55が「聞こえる」、LH-60が「よく聞こえる」です。

この表は住む人の感じ方の目安で、同じ数字でも、静かな住宅地か、夜か、在宅時間が長いかで体感は変わります。数字は部屋を比べるための物差しとして使い、生活の音がまったく聞こえない保証とは考えないほうが安全です。

構造の違いが音にどう影響するかは、木造とRC造の違いの記事で坪単価や耐震性とあわせて整理しています。建築研究所の資料でも、木造建築の床衝撃音は適用等級3級が目標値の一つとされています。

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同じ床でも、使う衝撃源によって数字が変わります

ここは私も、正直、意外でした。東急建設などが発表した木造用の高遮音床システムは、同じ高性能タイプの床で、重量衝撃源のタイヤではLH-50、ゴムボールではLH-40という試験値でした。標準タイプでも、タイヤはLH-55、ボールはLH-40です。同じ床なのに、衝撃源が違うと数字が変わります。

高性能タイプでは50−40で10、標準タイプでは55−40で15の差が、衝撃源のちがいだけで出ています。

数字を見るときは、どの衝撃源で測ったかを確認します

JIS A 1418-2が定める標準重量衝撃源には、衝撃力特性(1)のタイヤと、衝撃力特性(2)のボールがあります。子どもが飛び跳ねる音はタイヤに近いのか、ボールに近いのか、資料だけでは分かりません。LH-50と書かれていても、どちらで測った値なのかが分からなければ、他の物件のLH-50と並べて比べることはできません。

測定ルールの改正でも数字は少し動いています

日本建築総合試験所の講演資料には、現行のJISは旧JISより重量床衝撃音の63Hz帯域で0〜4dB大きくなる傾向があると書かれています。古い物件のカタログ値と新しい物件の値を比べるときも、測り方の違いが入っている可能性があります。

重い音はスラブの厚みと梁で決まります

コンクリートを打つ前の鉄筋と床スラブの施工現場
Photo by d c on Unsplash

床の下にあるコンクリートの板をスラブといいます。UR都市機構の資料によると、昭和40年代から50年代前半に建てられた住宅のスラブ厚は120mm程度のものが多く、今の基準から見ると床遮音の面では十分ではないと書かれています。

国土交通省の資料では、公営住宅等整備基準で、重量床衝撃音対策等級が2、または相当スラブ厚(重量床衝撃音)が11cm以上と定められていると説明しています。

鉄骨の梁を足しただけで、数字が変わった実験があります

UR都市機構は、スラブの剛性を上げて支点間距離を短くするために、受音室に鉄骨梁を設置して重量床衝撃音を測りました。重量床衝撃音のL数は、素面で69、鉄骨梁の施工後に64でした。内装完了後は65で、資料は63Hz帯域に鉄骨梁の効果が確認できると書いています。

素面の69から鉄骨梁施工後の64まで、5下がっています。等級1つ分の差です。

同じ実験の軽量床衝撃音は、GL工法(コンクリート面に接着剤を点付けして石膏ボードを張る工法)の影響で125〜500Hz帯域が上がっていました。重い音には梁やスラブという構造の対策、軽い音には仕上げや下地の納まりが効く、という使い分けがここでも見えます。

床の構造は、後から変えにくい部分です

建築研究所の資料は、床衝撃音対策の基本を、配置計画、床への衝撃入力の低減、床躯体構造による低減、天井での遮音に分けています。床躯体構造による低減の例は、床構造の重量増加と、梁せいを大きくして床の剛性を上げることです。入居後に自分で変えられるのは、このうち床への衝撃入力の低減、つまり床の仕上げや暮らし方の部分に限られます。

軽い音は床の仕上げ材の順番で変わります

窓のある部屋に張られたフローリングの床
Photo by Christian Lue on Unsplash

軽量床衝撃音に対するフローリングの遮音性能は、JIS A 1440-1で測ります。日本建築総合試験所の資料は、1985年頃から2008年までは「推定L等級」で表示されていたものが、現在は「ΔL等級」に変わったと書いています。ΔL等級は、床仕上げ材を張る前と張った後の床衝撃音レベルの差、つまり低減量から直接決める表示です。

防音フローリングの「ΔLL(Ⅰ)-4」は、昔のL-45と同等です

新築分譲の集合住宅で多く使われている防音フローリングのΔLL(Ⅰ)-4は、以前の推定L-45等級とほぼ同等の性能だと、日本建築総合試験所の資料は書いています。周波数帯域によって±1dBの違いがあるものの、同等と考えてよいという説明です。マンションのリフォームで「LL-45相当」と言われるときは、この表示を指していることがあります。

カーペットは、床材の上か下かで効き方が変わります

同じ資料に、材料が同じでも順番で結果が変わる実験が載っています。RCスラブ150mmの上で、フローリングの上にカーペットを敷いた場合と、カーペットの上にフローリングを張った場合を比べています。カーペットが上にあると衝撃力そのものを抑えられ、下にあると硬いフローリングで衝撃力が大きくなったまま振動が下階に伝わる、という説明です。

賃貸でも、置き敷きのラグやタイルカーペットなら使えます。上に何を置くかで、軽い音の出方が変わるのは理にかなっています。

集合住宅の床には、法律の基準がありません

建築研究所の資料は、建築基準法で遮音性能が定められているのは第30条の「長屋又は共同住宅の各戸の界壁」だけだと書いています。床衝撃音遮断性能は日本建築学会の遮音性能基準で評価されることが多い、という位置づけです。

日本建築総合試験所の資料にも、集合住宅の床の遮音性能に法的規制はなく、リフォームではマンションの管理規約で床仕上げ材の遮音性能を規定していることが多いと書かれています。この資料は2021年に発行されたものです。最新の扱いは、物件の管理規約と国土交通省の資料で確かめてください。

管理規約で「LL-45」と書かれる理由

法律の基準がないぶん、管理組合が規約で床材の等級を決めて、階下の騒音トラブルを減らそうとします。規約にある等級の表示が、前の節で出てきたΔLL(Ⅰ)-4やL-45です。賃貸でも、入居前に不動産会社や管理会社へ床の仕様と規約を聞いておくことができます。

リフォームや張り替えで、遮音性能が下がる場合があります

床材の張り替えを含む工事の種類や費用の考え方は、リフォームとリノベーションの違いの記事にまとめています。日本建築総合試験所は、既存のフローリングを残して上から新しいフローリングを張る重ね貼りの実験をしています。防音フローリングの上に一般的なフローリングを重ね貼りすると、125Hzから2000Hzの広い帯域で遮音性能が下がり、250Hz帯域では18dBの低下でした。合板に鋸溝を入れた衝撃力緩和タイプでも、250Hz帯域で12dB下がっています。

薄い緩衝材を挟んでも、元には戻りません

同じ実験で、フローリングの下に防振ゴムを挟んでも250Hz帯域で18dBの低下は変わらず、ポリエステル不織布を挟んだ場合は15dBの低下で、改善は3dBにとどまりました。CFシート(クッションフロア)を重ね貼りしても、250Hz帯域で6dB下がりました。

一方、単体で遮音性能が高いタイルカーペットを置き敷きすると、250Hz帯域で20dBの向上でした。同じ防音フローリングを重ね貼りした場合は、全周波数帯域で0〜4dBの向上です。この結果は、1点だけで加振した簡易測定で、実際の床では変わる可能性があると資料は断っています。

自分の部屋の床を変えるときの注意点

  • 張り替えるフローリングは、管理規約で決められた遮音等級を確認する
  • 重ね貼りは工事が早く騒音も小さいが、遮音性能が下がる懸念がある
  • 軽い音を抑えたいときは、置き敷きのタイルカーペットやラグが手軽
  • 重い音(飛び跳ねる音)は、床の仕上げ材を替えても効きにくい

物件を選ぶときは、構造と床の仕様を確認します

私は賃貸の1LDKに住んでいますが、自分の部屋の床がどの等級なのか、入居時に聞いていませんでした。数字が書かれていない物件のほうが多いと思うので、遮音等級が書かれていない場合は、次の表のような項目を不動産会社や管理会社に聞くのが現実的です。

確認すること 理由
建物の構造 木造はRC造に比べ、重量床衝撃音の確保が難しいとされてきた
築年と床スラブ厚 昭和40〜50年代前半の住宅は、スラブ厚が120mm程度のものが多い
二重床かどうか 乾式二重床は、床への衝撃入力を減らす対策の例とされる
管理規約の床材ルール リフォームで遮音等級を決めている管理組合が多い
LLかLHか 子どもの飛び跳ねる音はLH、物を落とす音はLLで評価が別
※建築研究所、UR都市機構、東急建設・ナイス・淡路技建、日本建築総合試験所の資料をもとに整理。

子どもがいる家庭は、LHの数字を先に見ます

飛び跳ねる、走る、といった動きは重量衝撃音のLHで評価されます。日本建築学会の適用等級で1級の目安はLH-50です。上の階に住む場合は、自分の足音が下の階にどう聞こえるかを、LHの数字で確かめておく方法があります。

下の階に住む人は、上の階の仕様を確認します

内見の段階で上の階の床仕様を知るのは難しいため、築年と構造、管理規約の内容から判断します。木造やスラブが薄い築古のマンションは、先に不動産会社に管理状況を聞いておくほうが、後悔が少なくなります。

よくある誤解

LL-45の45は、数字が大きいほど遮音性能が高いのですか?

いいえ、数字は小さいほど遮音性能が高く、下の階に届く音が小さくなります。建築研究所の資料でも、特級はL-45やL-40、1級はL-50やL-45と小さい数字から並んでいます。

LL-45の部屋なら、子どもが走る音も1級ですか?

いいえ、LLは軽量床衝撃音(物を落とす音など)の評価です。子どもが走る・飛び跳ねる音は重量床衝撃音のLHで評価されるため、LH-50のような別の数字を確認する必要があります。

遮音等級の高いフローリングに替えれば、飛び跳ねる音も消えますか?

いいえ、床材の遮音等級(ΔLL)は軽量床衝撃音を対象にしたJIS A 1440-1の表示です。重量床衝撃音は、建築研究所の資料にあるように、床の重量やスラブ、梁などの床躯体構造による低減が基本です。

まとめ:床の音は、LLとLHを分けて読めば比べられます

床の音が下の階に響くのは、上の階の衝撃で床が振動し、下の階の天井から音になるためです。軽い音はLL、重い音はLHと別々に評価され、数字は小さいほど静かです。重量衝撃音は63Hz帯域が決め手で、スラブの厚みや梁といった構造で決まります。軽量衝撃音は床の仕上げ材の影響が大きく、材料の順番や重ね貼りで性能が変わります。

物件選びでは、LLとLHのどちらの数字か、どの衝撃源で測ったかを確かめます。数字がなければ、建物の構造、築年、二重床かどうか、管理規約の床材ルールを聞くのが現実的です。リフォームでは重ね貼りで軽量衝撃音の遮音性能が下がる場合があるので、規約と工事内容を先に確かめてください。

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📚 参考文献・出典

📖 この記事について 本記事は、制度の仕組みを知るための一般的な解説です。支給の可否や金額は、世帯の状況、学校、都道府県によって変わります。重要な判断は、文部科学省や在籍(志望)する学校、都道府県の窓口で確認してください。

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EDITOR
白月ハルカ
ディスカバリーメディア 編集長
1995年生まれ、新潟・長岡育ち。いまは東京の中央線沿線でひとり暮らしをしながら、ディスカバリーメディアの編集長をしています。前職はIT企業の広報(5年)。統計表を眺めるのと、ラジオの野球中継と、ジョジョ(第4部派)が好きです。ニュースの見出しを見ると「本当に?」と数字を確かめにいく癖があって、その確かめた結果を記事にしています。間違いを見つけたら教えてください、すぐ直します。