2026年10月21日、マクドナルドの「390ペア」が全国で始まりました。サイドメニュー1つとドリンクMサイズ1つで390円という組み合わせで、買えるのは午後2時からです。私は最初、「午後は客が減るから安くするのだろう」と軽く考えていました。ところが調べてみると、午後2時という線引きの理由は公式の発表に書かれておらず、わかっているのは「何を、いつから、どの条件で売るか」まででした。
この記事は、2026年10月時点の日本マクドナルドのニュースリリース、共同通信の記事、時間帯別価格を扱った東京大学CIRJEのワーキングペーパー、米国の外食業界誌の記事をもとに、390ペアの中身、「最大250円おトク」の読み方、時間帯で値段を変える考え方を整理したものです。価格や販売条件は変わることがあるため、最新の情報はマクドナルドの公式サイトで確認してください。
- 390ペアは毎日午後2時から閉店まで、対象のサイド1つとドリンクM1つを選ぶと390円
- サイド5品とドリンク10品から選べて、組み合わせは全50通り
- 「最大250円」は、割引期間外の店頭の単品価格の合計から算出した値で、店舗によって変わる
- 公式は午後2時の理由を明記していないため、時間帯別価格の一般的な考え方から読み解く
390ペアは何がいつから変わったのか
最初に、公式のニュースリリース(2026年10月15日付)に書かれていることだけを確認します。
毎日午後2時から閉店まで、390円で2品
日本マクドナルドによると、10月21日から全国の店舗で、毎日午後2時から対象の「サイドメニュー1つ」と「ドリンクMサイズ1つ」を390円で選べます。販売は14:00から閉店まで、24時間営業の店舗は翌4:59までです。一部の店舗とデリバリーでは実施されません。
全国販売の前に、2025年12月から福岡県と佐賀県を中心とした一部エリアで先行販売があり、好評だったため全国に広げたと、公式は説明しています。
対象はサイド5品とドリンク10品で、組み合わせは全50通り
サイドメニューの対象は、マックフライポテトのMサイズ、チキンマックナゲット5ピース、新登場のザクザクジューシーももチキン、プチパンケーキ、マックフルーリー オレオ クッキーの5品です。ドリンクMサイズは、コカ・コーラ、コカ・コーラ ゼロ、スプライト、ファンタ グレープ、ファンタ メロン、Qoo 白ぶどう、爽健美茶、アールグレイ アイスティー、ホットティー、プレミアムローストコーヒーの10品が対象です。
サイド5品とドリンク10品から1つずつ選ぶので、5×10=50通りです。公式の「全50通り」と一致します。
ここで気づく点があります。対象はサイドとドリンクだけで、バーガーは含まれていません。午後2時以降に「バーガーが安くなる」わけではなく、「小腹を満たす2品が安くなる」という設計です。
「最大250円おトク」はどう計算された数字か
見出しの「最大250円」は、そのまま信じる前に、何と何を比べた数字なのかを確かめる必要があります。
比べているのは、割引期間外の店頭単品価格の合計です
公式の注記によると、最大割引価格は「各商品の割引期間外の店頭単品価格の合計金額」から算出されています。つまり、対象のサイドとドリンクを単品で買ったときの合計から390円を引いた差が、割引額です。
この定義から逆算すると、割引が最大の250円になる組み合わせは、単品合計が390+250=640円の組み合わせです。単品合計が低い組み合わせは、割引額もそれより小さくなります(割引額=単品合計−390円)。
同じ組み合わせでも、店舗によって差は変わります
公式は、店頭の単品価格は店舗によって異なると書いています。価格は税込みで、デリバリーや店舗の所在地・立地条件によっても違うことがあります。「最大250円」は全店共通の割引額ではなく、算出に使った単品価格での最大値です。
実際にいくら得になるかは、自分が行く店のレジで、選ぶ2品の単品価格を足して390円と比べると確かめられます。モバイルオーダーなら、注文前の画面で単品の価格を見て同じ計算ができます。
午後2時以降にマクドナルドを使うことはありますか?
- よく使う
- たまに使う
- ほとんど使わない
- 午後は行かない
なぜ午後2時からなのか、公式が書いていること
午後2時という時刻の理由は、公式のリリースにも報道にも書かれていません。ここでは、書かれている事実と、そこから読めることを分けます。
昼の「ひるまック」と終日の「セット500」に続く、午後2時以降の選択肢
公式のリリースによると、マクドナルドには、平日のお昼限定でバリューセットを特別価格で出す「ひるまック」と、いつでもバリューセットをワンコイン500円で楽しめる「セット500」があります。390ペアは、その流れの中で「毎日午後2時以降の新たなおトクの選択肢」と位置づけられています。
昼にはひるまック、午後2時以降には390ペアと、時間帯ごとに別の値頃な商品を置く形です。時間や需要によって同じ商品の値段が変わる考え方は、航空券の価格が毎日変わる理由とも通じるところがあります。
共同通信は「休憩目的の利用客の獲得を狙う」と伝えています
共同通信の記事は、390ペアについて「午後2時以降に提供し、休憩目的の利用客の獲得を狙う」と伝えています。公式のリリースにも、小腹が空いたときやちょっとひと息つきたいときなど、午後2時以降のさまざまなシーンで楽しんでほしいという趣旨の説明があります。
私は午後2時という時刻を「昼食のピークが終わった時間」だからだと推測しましたが、これは私の読みで、公式が述べたことではありません。客数のデータや店の混み具合の数字は公表されていないため、この記事ではそれ以上は断定しません。
時間帯で値段を変える「ピークロード料金」とは
時間帯で価格を変える考え方は、経済学で古くから研究されています。
高い値段で客を空いている時間に動かす、というのが元の発想です
東京大学CIRJEのワーキングペーパー「Peak-Load Pricing in Platform Markets」(Sunada, Aparicio, Huang、2025年7月7日版)は、ピークロード料金を、混み合うピークの時間帯に高い価格をつけ、設備に余裕のあるオフピークの時間帯へ客を移す価格戦略だと定義しています。電力のような公共インフラで研究されることが多い、とも書いています。
電気は大量にためておけないため、使う人が集中する時間に合わせて発電所を用意すると、集中しない時間には設備が余ります。そこで、混む時間の単価を上げて需要を分散させます。航空券も、席数という限られた枠を、需要の高低に合わせて売り分けている点で同じ発想です。
390ペアは「ピークを高くする」のではなく「空く時間を安くする」型です
390ペアは、混み合う時間を高くしているわけではありません。午後2時以降に、対象の2品を単品合計より安く出す形です。同じ時間帯別価格でも、「ピークを高くする型」と「閑散時間を安くする型」があり、今回は後者にあたります。
2013年の米国の外食業界誌Nation’s Restaurant Newsは、チリズやIHOPなどのチェーンが、時間帯ごとにメニュー価格を変える試みを始めていると伝えました。昼のピークは少し高く、午後の空いた時間は安くする案が紹介されています。日本のファストフードの値引きが、特別に新しい発想というわけではありません。
閑散時間の値引きは、なぜ店にとって成り立つのか
値引きは、安くすれば店の取り分が減るはずです。それでも店がやるのは、売り上げの増え方に条件があるからです。
店が払う費用の多くは、客が来なくても発生します
店の費用には、売る量に応じて増える費用(材料費など)と、客が来なくてもかかる費用(家賃、設備、人の配置など)があります。この2つの違いは損益分岐点の仕組みで詳しく説明しています。席も厨房もスタッフも空いている時間に売り上げを足せるなら、後者の費用を回収する助けになります。
ただし、これは一般的な考え方です。マクドナルドの原価や、390ペア1つあたりの利益は公表されていないため、この商品でどれだけ儲かるかは、この記事では書けません。
値引きが「もともと来る客」の支払いを下げるおそれもあります
前述のCIRJEのワーキングペーパーは、ドイツの飲食店予約プラットフォームを分析しています。時間帯によって割引率を変えるこのサービスは、価格に敏感な、店のふだんの客とは別の層を取り込み、閑散時間の空いた席を埋めて追加の売り上げを作る仕組みだと説明されています。値引きが混む時間の通常の客の売り上げを食わない形なら成り立ちやすい、という考え方です。
この考え方を390ペアに当てはめると、午後2時以降の「小腹」という用途に限った商品にしておけば、昼にバーガーのセットを買う客が390円の2品に移りにくい、と読めます。ただしこれも一般論に基づく私の読みで、マクドナルドが公表した意図ではありません。
デメリットと注意点:買う前に確かめたいこと
390円という数字だけを見て店に入ると、思っていた条件と違うことがあります。
時間・店舗・デリバリーの3つの条件があります
14:00より前には買えません。一部の店舗とデリバリーは対象外です。24時間営業の店舗は翌4:59までで、その後は通常の価格になります。
バーガーは含まれず、2品の組み合わせが前提です
食事として使うには、バーガーを別に買う必要があります。ペアは、サイド1つとドリンクMサイズ1つという形が固定で、ドリンクの大きさやサイドの種類を自由に変える仕組みではありません。
選び方と判断のしかた:自分には得なのか
得になるかどうかは、午後2時以降に何を買うかで決まります。
単品で買う2品が、対象の組み合わせに入っているか
午後にポテトやナゲットとドリンクを単品で買う人は、そのまま390円に置き換えて差を確かめられます。逆に、午後でもバーガー中心の人、ドリンクがSサイズやLサイズの人、対象外のサイドを選ぶ人は、ペアの対象になりません。
割引額の差は、選ぶ組み合わせで変わります
割引額は単品合計−390円なので、単品価格の高い2品を選ぶほど差が大きくなります。最大の250円を狙うなら、単品合計が640円になる組み合わせを、店頭の価格表で探すことになります。
よくある誤解
午後2時以降は、メニュー全体が安くなるのですか
いいえ。安くなるのは、対象のサイドメニュー1つとドリンクMサイズ1つの組み合わせです。バーガーなどのほかの商品の価格は、390ペアでは変わりません。
「最大250円おトク」は、どの組み合わせでも250円引きですか
いいえ。250円は最大値で、割引期間外の店頭単品価格の合計と390円の差です。組み合わせによって割引額は変わり、店舗によって単品価格も違います。
全国のマクドナルドの、どの店でも買えますか
いいえ。公式は、一部店舗とデリバリーでは実施していないと注記しています。モバイルオーダーなどで、利用する店舗の対応を確かめてください。
まとめ:390ペアの数字と時間帯別価格の見方
390ペアは、2026年10月21日から全国で、毎日午後2時から閉店まで、サイド5品とドリンクM10品のうち1つずつを390円で選べる商品です。「最大250円」は、割引期間外の店頭単品価格の合計と390円の差で、店舗によって変わります。
午後2時という時刻の理由は、公式には書かれていません。ひるまックやセット500のように時間帯ごとに値頃な商品を置く流れの中に位置づけられており、共同通信は休憩目的の利用客の獲得を狙うと伝えています。経済学のピークロード料金の考え方に照らすと、混む時間を高くする型ではなく、空く時間を安くする型です。
得かどうかは、午後に何を買うかと、行く店の単品価格で決まります。選ぶ2品の単品価格を足して390円と比べれば、自分にとっての割引額を計算できます。
この記事の内容、読む前から知っていましたか?
- 知っていた
- なんとなく知っていた
- 初めて知った
- 誤解していた
📚 参考文献・出典
- ・日本マクドナルド「午後2時から『390ペア』新登場!10月21日(水)から全国販売開始」(2026年10月15日) https://www.mcdonalds.co.jp/company/news/2026/1015a/
- ・共同通信「マクドナルドが390円『390ペア』発売 午後2時以降限定で最大250円引」(ライブドアニュース・2026年10月21日) https://news.livedoor.com/topics/detail/32621146/
- ・Sunada, Aparicio, Huang「Peak-Load Pricing in Platform Markets」(東京大学CIRJE・2025年7月7日) https://www.cirje.e.u-tokyo.ac.jp/research/workshops/emf/paper2025/emf0728.pdf
- ・Nation’s Restaurant News「Restaurants drive sales with time-based pricing」(2013年2月25日) https://www.nrn.com/restaurant-operations/restaurants-drive-sales-with-time-based-pricing
📖 この記事について 本記事は、価格の仕組みを一般的に解説するものです。価格・販売条件・対象店舗は変更されることがあります。最新の情報はマクドナルド公式サイトでご確認ください。










































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