「貿易戦争?いいえ、シャワー戦争です」

2025年4月9日、ホワイトハウスに集まった記者たちは、世界経済を左右する新たな貿易政策発表を期待していました。
しかし、その場でトランプ大統領が掲げたのは、貿易摩擦ではなく、水圧摩擦の解決。
「アメリカのシャワーを再び偉大なものにするための大統領令」
発令です。
しかも真顔。
ホワイトハウス公式サイトも、まったくの冗談抜きでこの施策を「アメリカ国民の自由を取り戻す重要な取り組み」と紹介しています。
「私の髪は完璧でなければならない」シャワー戦争、開戦の背景

なぜシャワーなのか?
その理由は、トランプ大統領の名言に集約されています。
「髪が濡れるまで15分。ポタポタと水が垂れるだけ。これは本当にひどい。」
1992年、アメリカでは「エネルギー政策法」によって、シャワーヘッドの流量を1分あたり2.5ガロン(約9.5リットル)以下に制限。
節水とエネルギー効率を目指したこの政策に、トランプ氏はかねてより激しい不満を表明してきました。
2020年には演説で、
「シャワーを浴びたくても水が出ない、手を洗いたくても水が出ない。皆さんの髪はともかく、私の髪は完璧でなければならない」
と訴え、場を沸かせたこともあります。
つまり、これは単なるシャワー問題ではなく、**「完璧な髪型を維持する自由」**の戦いだったのです。
トランプ流「庶民派アピール」としてのシャワー自由

この大統領令、単なる個人的なこだわりではありません。
実は、トランプ氏の根強い支持層にとって、「生活に直結する小さな不満を取り除く政治」は非常にウケがいいのです。
洗面台、シャワー、トイレ、電球
一見すると「どうでもいい」テーマでも、「ワシらの日常に口を出すな!」という規制反発感情に刺さります。
特に地方部や郊外では、節水よりも「たっぷりの水流で一気に汗を流す」快感が重視されがち。
シャワーの水圧にすら規制を課す“お役所的なリベラル”への反発を、トランプ氏は巧みにすくい取った格好です。
「水がちょろちょろしか出ないシャワーなんて、アメリカ人のものじゃない!」
そんな声が聞こえてきそうです。
しかし、環境団体は猛反発

当然ながら、反対の声も上がっています。
省エネ家電推進団体・ASAPは、
「水圧が弱い原因の多くは、シャワーヘッドの水あかや古い配管。規制のせいではありません」
と指摘。
さらに、環境保護団体のSierra Clubも「トランプ政権は地球温暖化対策を後退させる」と批判声明を出しました。
確かに、アメリカでは住宅使用水量の約17%がシャワーによるものとされ、節水政策は水資源・エネルギー保護の要でもありました。
トランプ氏の政策は、庶民感覚に寄り添う半面、長期的な環境コストを無視しているとの指摘も根強いのです。
「Make Showers Great Again」という政治哲学

「シャワー自由」というテーマを通して見えるのは、
トランプ氏が一貫して打ち出してきた政治スタイル
「目に見える問題に即応するポピュリズム」
「日常生活への過剰介入を嫌う規制緩和主義」
この2つの掛け合わせです。
たとえそれがシャワーヘッドであろうと、トランプ氏にとっては「自由VS規制」という分かりやすい対立構図が成立します。
だからこそ、彼の支持者たちは、シャワーの流量緩和をも「アメリカ再生の一歩」と受け止めるのです。
まとめ:あなたのシャワーは自由ですか?

今回の大統領令を、「バカバカしい」と笑い飛ばすこともできるでしょう。
しかし、そこには確かにアメリカ社会を貫く本質的な対立軸──
「個人の自由」VS「公共の善」
が潜んでいます。
「完璧な髪型を守るための自由」。
あなたなら、これを笑いますか? それとも、共感しますか?
ぜひコメント欄で教えてください。あなたのシャワーの水圧は、十分ですか?
引用元情報
- Wikipedia:「Make America Great Again」
- The White House:「Fact Sheet: President Donald J. Trump Makes America’s Showers Great Again」
- The New York Times:「Trump Repeals Biden-Era Limit on Water Flow in Shower Heads」
- The Guardian:「Trump signs executive order on water pressure to ‘restore shower freedom’」