神無月(かんなづき)と神在月(かみありづき)は、どちらも旧暦10月の呼び名です。全国では神無月と呼び、出雲では神在月と呼びます。全国の神々が出雲大社に集まるとされるため、ほかの土地は神様のいない月、出雲は神様のいる月、という呼び分けになっています。
私はずっと、カレンダーの10月がそのまま神無月だと思っていました。ところが出雲大社が公表している令和8年(2026年)の神在月は、11月18日の夕刻から11月25日の夕刻までです。旧暦の10月は、新暦の10月とは別の時期にあたります。この記事は2026年10月時点で公表されている資料にもとづいています。
- 神無月と神在月は同じ旧暦10月の別名で、全国では神無月、出雲では神在月と呼ぶ
- 旧暦は月の満ち欠けで月を数えるため、新暦の日付とは毎年ずれる。2026年の神在月は11月18日夕刻から25日夕刻
- 「神がいなくなる月」という由来は辞典で俗説とされ、「神の月」とする説が有力とされる
- 出雲大社では神迎神事から神等去出祭まで、日付と時刻の決まった祭りが続く
- 2026年の縁結大祭は、11月23日と25日の参列申し込みが定員に達している
神無月と神在月の違いは、同じ月の呼び方が出雲だけ逆になること
全国は神無月、出雲は神在月
出雲大社(島根県出雲市)に日本中の神々が集まるとされる旧暦10月を、全国的には神無月と呼びます。出雲地方では逆に神在月と呼びます。神戸新聞は、集まった神々は縁結びや来年の収穫について話し合うとされる、と書いています。
観光庁の多言語解説文データベースにある出雲大社の解説も、同じ説明です。日本全国から八百万の神々が出雲に集まり、来年の人々の関係についての会議が行われる。そのため全国的には神無月、出雲では神在月と呼ばれる、という内容です。
呼び方が変わるのは、神様のいる場所が違うから
つまり二つの言葉は別の月を指すわけではなく、同じ月を、神様がいる場所から見るか、いない場所から見るかで呼び分けています。出雲大社の祭りでも、神在月の祭りは「神在祭」と呼ばれます。
旧暦10月は新暦の10月ではない
旧暦は月の満ち欠けで1か月を数える
国立天文台の暦Wikiによると、旧暦とは厳密には明治5年まで用いられていた天保暦による暦のことです。月の満ち欠けの周期は約29.5日で、月の満ち欠けの仕組みがそのまま1か月の長さになっています。日本は1873年(明治6年)に太陽暦へ改暦し、以後の暦を新暦と呼びます。
1年が11日短いので、日付が毎年ずれる
暦Wikiには「太陰暦の1年は29.5日×12=354日と1太陽年に比べて11日ほど短く、その差は3年でほぼ1か月に達します」とあります。そのまま放っておくと季節と暦が合わなくなるため、旧暦(太陰太陽暦)は19年に7回、うるう月を入れて調整します。
神無月の日付が新暦では毎年動くのは、この仕組みのためです。私は「旧暦は昔の暦だからずれて当然」くらいに考えていましたが、毎年の日付が動く理由まで数字で説明されているのを読んで、やっと腑に落ちました。
2026年の神在月は11月18日から
出雲大社の令和8年神在祭のご案内では、神在月の期間は11月18日夕刻から11月25日夕刻と案内されています。日付の差は7日です。
計算:25日-18日=7日(夕刻から夕刻までの間)。
新暦の10月に出雲へ出かけても、神迎神事には間に合いません。2026年の神在月は、新暦では11月の中旬から下旬にあたります。
神無月と神在月の違いを、これまでにどのくらい知っていましたか?
- 由来の諸説まで知っていた
- 出雲に神様が集まるとだけ知っていた
- 言葉は聞いたことがある程度
- 今回初めて知った
神無月の「無」は、神がいないという意味なのか
辞典で有力とされるのは「神の月」説
小学館のデジタル大辞泉は、「な」は「の」の意で、神を祭る月、つまり「神の月」の意とする説が有力としています。精選版日本国語大辞典も、「な」は「の」の意で「神の月」すなわち神祭りの月の意か、と書いています。
出雲に集まる説は、辞典では俗説とされる
デジタル大辞泉の補説は、全国から神々が出雲大社に集まるため諸国に神がいなくなる月の意からという説を、古くからいわれている俗説としています。ほかにも、新米で酒を醸す「醸成月」説、雷が鳴らない「雷無月」説があると紹介しています。
由来の説が一つに決まっていない点は、この記事でも留保しておきます。出雲に神々が集まるという話は、信仰や言い伝えとして今も出雲大社の祭りに生きていますが、神無月という言葉の語源を説明する決め手とは辞典では扱われていません。
万葉集の歌では「十月」と書いて「かみなづき」
日本国語大辞典が初出の実例としてあげるのは、万葉集(8世紀後半)の歌です。「十月(かみなづき)しぐれにあへる黄葉の吹かば散りなむ風のまにまに」。この歌では「神無月」の字は使われず、「十月」と書いて「かみなづき」と読ませています。
神々が集まるとされる流れは、神迎神事から神等去出祭まで
旧暦10月10日の夕方、稲佐の浜に神々が上陸する
観光庁の解説によると、神道では旧暦10月10日の夕方に、無数の神々が海から出雲に到着し、稲佐の浜に上陸するとされています。神々は龍蛇に導かれ、神職がかがり火をたいて仮の御神体(神籬)を設けて迎えます。迎えの儀式が終わると、神職は行列を組んで神々を出雲大社へ案内します。
稲佐の浜は、国譲り神話で天照大御神が送った最後の使者が、大国主神と交渉するために到着した場所でもあると、同じ解説にあります。
神在祭では「神議」が行われる
出雲大社の案内では、神在祭は大国主大神が神々の会議「神議」を主宰する祭りです。期間中は上宮で毎日祭りが行われます。同じ時期には、大国主大神の結びの力による縁を祈る縁結大祭も行われます。
縁結びという言葉は、恋愛や結婚の印象が強いかもしれません。観光庁の解説は、本来は人と人とのつながり全般を指す言葉だと説明しています。
神等去出祭で神々を送り出す
神議が終わると、神々を送り出す神等去出祭が拝殿で行われます。2026年は11月25日の午後4時です。出雲大社の案内に出てくる流れは、神迎神事、神在祭、神等去出祭の順です。
2026年の出雲大社の日程と、参拝前の注意点
祭りの日付と時刻
出雲大社が公表している令和8年の主な日程は、次のとおりです。
| 祭事 | 日付 | 時刻 |
|---|---|---|
| 神迎神事・神迎祭(稲佐の浜、拝殿) | 11月18日 | 夕刻 |
| 神在祭(交通規制の開始) | 11月19日 | 午前9時 |
| 龍蛇神講大祭 | 11月19日 | 午前11時 |
| 夜神楽祈祷 | 11月19日から24日 | 午後5時 |
| 献穀祭・神在祭・縁結大祭 | 11月23日 | 午前10時 |
| 神在祭・縁結大祭 | 11月25日 | 午前10時 |
| 神等去出祭(拝殿) | 11月25日 | 午後4時 |
| 出典:出雲大社「令和8年 神在祭/縁結大祭 について」。2026年10月時点 | ||
参拝前に確認したい注意点
出雲大社の案内によると、縁結大祭は11月23日と25日の参列申し込みがすでに定員に達しています。これから行く場合は、申し込みなしで参列できるかどうかを、出雲大社の公式ページで確認する必要があります。
神在祭の期間は、交通規制の開始日時も案内されています。11月19日は午前9時から、11月23日と25日は午前10時からです。車で向かう人は、規制の時刻と迂回の案内を出発前に見ておくと安心です。
日程は毎年変わり、案内の内容も更新されることがあります。この記事の数字は2026年10月時点の公式ページを写したものなので、出かける前には必ず公式ページを開いてください。
出雲大社以外にも、神在祭を行う神社がある
出雲大社の案内には、島根県内の神社の神在祭の日程も載っています。朝山神社が11月9日から11月18日、日御碕神社が11月19日から11月25日、熊野大社が11月19日から12月4日、万九千神社が11月25日から12月4日です。
計算:熊野大社の11月19日から12月4日まで、11月は19日から30日の12日間、12月は1日から4日の4日間で、合わせて16日間。
出雲大社の神等去出祭と同じ11月25日に、万九千神社の神在祭が始まります。日程が続く理由は案内に書かれておらず、この記事では確かめられませんでした。
出雲以外の神社には、留守を守る神様がいるとされる
留守神という考え方
神戸新聞の記事によると、兵庫県香美町の金刀比羅神社が祭る金山彦命と金山姫命は、全国の神々が出雲に集う間、地方を守る「留守神(るすがみ)」とされています。神無月に神社が空になるわけではなく、留守を預かる神様もいる、という考え方です。
私は神無月の神社を、鍵のかかった家のようなものだと思っていました。留守神という言葉を知ってからは、「神様がいない月」というより「留守番の神様の月」に見えてきました。
収穫の祭りは別にある
秋には、出雲の神在祭とは別に、収穫に感謝する祭りがあります。供える相手や日付の違いは、神嘗祭と新嘗祭の違いで整理しています。
神無月と神在月、どちらを使うかの判断基準
場面によって使い分ける
ヨムーノの解説によると、今は「神無月」を新暦の10月を指す言葉として、カレンダーや手紙で使うのが一般的です。手紙の「神無月の候」は新暦の10月であれば上旬から下旬まで使え、11月に入ったら「霜月の候」や「晩秋の候」に切り替える、とあります。
| 場面 | 使う言葉 | 日付の見方 |
|---|---|---|
| 10月の手紙・あいさつ | 神無月 | 新暦の10月。11月に入ったら別の言葉 |
| 出雲大社の祭りの話 | 神在月(神在祭) | 旧暦10月。新暦の日付は出雲大社の発表で確認 |
| 言葉の由来を説明する | 神無月(由来は諸説) | 「神の月」説が有力、出雲説は俗説とされる |
| 出典:ヨムーノ「神無月の意味とは?」、デジタル大辞泉、出雲大社。2026年10月時点 | ||
私はこう使い分けています
暦の話をするときは、旧暦の月名なのか、新暦の月に当てはめた言い方なのかを先に決めておくと、話が食い違いません。参拝の予定を立てる人は、新暦の日付が書かれた出雲大社の案内だけを見れば十分です。
神無月と神在月のよくある誤解
神無月は、10月に神様が全員いなくなる月?
そうとは言い切れません。辞典は、神がいなくなる月という説を俗説とし、「神の月」とする説が有力としています。留守神という考え方もあり、地域に残る神様もいるとされます。
新暦の10月に出雲へ行けば、神様に会える?
出雲大社の祭りは旧暦10月に合わせて行われるため、新暦では日付が毎年動きます。2026年の神在月は11月18日夕刻から25日夕刻なので、新暦の10月に行っても神迎神事は行われていません。
神在祭は、出雲大社だけで行われる?
出雲大社の案内には、朝山神社、日御碕神社、熊野大社、万九千神社の神在祭の日程も載っています。出雲大社以外でも、神在祭を行う神社があります。
まとめ:神無月と神在月の違いを振り返る
神無月と神在月は、どちらも旧暦10月の呼び名で、全国では神無月、出雲では神在月と呼ばれます。旧暦は月の満ち欠けで月を数えるため、新暦では毎年日付が動き、2026年の出雲大社の神在月は11月18日夕刻から25日夕刻です。
神無月の「無」の由来は、辞典では「神の月」説が有力とされ、出雲に神々が集まるから神がいないという説は俗説とされています。参拝を考える人は、縁結大祭の申し込み状況や交通規制を、出雲大社の公式ページで確認してください。信仰や言い伝えをどう受け止めるかは人それぞれで、この記事は評価ではなく、公表された資料の整理にとどめました。
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📚 参考文献・出典
- ・出雲大社「令和8年 神在祭/縁結大祭 について」 https://izumooyashiro.or.jp/r8_kamiari
- ・観光庁「多言語解説文データベース」神在祭:出雲大社に無数の神々がやってくる https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/common/001558434.pdf
- ・小学館 デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典「神無月」(コトバンク) https://kotobank.jp/word/%E7%A5%9E%E7%84%A1%E6%9C%88
- ・国立天文台 暦Wiki「太陰暦」「旧暦」「19年周期」 https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/C2C0B1A2C2C0CDDBCEF1.html
- ・国立国会図書館「日本の暦 第三章 暦の中のことば」 https://www.ndl.go.jp/koyomi/chapter3/
- ・神戸新聞NEXT「神在月のこども」香美町・金刀比羅神社の再訪(留守神) https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202204/0015232326.shtml
- ・ヨムーノ「神無月の意味とは?読み方と由来の諸説、出雲の神在月までやさしく解説」 https://yomuno.jp/posts/142813










































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