米国の中間選挙は、2026年11月3日の火曜日に投票されます。私は長いあいだ、この日付を「毎回、11月の第1火曜日」だと思い込んでいました。ところが法律の文言は「11月の第1月曜日の次の火曜日」です。2026年は11月1日が日曜日で、月曜日の2日が第1月曜日になるので、その次の火曜日が3日です。第1火曜日と書かない理由が、この日付の決まり方のいちばんの手がかりでした。
この記事では、米国の連邦選挙の投票日が「11月の第1月曜日の次の火曜日」になった経緯を、議会調査局(CRS)の報告書と、1845年の法律の条文で確かめます。中間選挙そのものの勝敗や政党の話は扱いません。2026年11月時点の内容です。
- 連邦選挙の投票日は、法律で「11月の第1月曜日の次の火曜日」と決まっており、毎回11月2日から8日のどこかになる
- この日付は1845年に、大統領選挙人を選ぶ日として決まった。それまでは州ごとに日がばらばらだった
- 火曜日は日曜日の移動を避けるため、第1月曜日の次なのは11月1日を避けるためと説明されている
- 下院の選挙日は1872年の法律で、上院の直接選挙は1914年にそろえられ、中間選挙も同じ日になった
- 2026年の中間選挙は、下院の435議席すべてと上院の35議席が対象
投票日は「11月の第1月曜日の次の火曜日」と法律に書かれている
2026年は11月3日、2028年は11月7日
議会調査局の報告書によると、連邦の公職(大統領・副大統領・連邦議会)の選挙は、偶数年の11月の第1月曜日の次の火曜日に行われます。投票日になりうる日は11月2日から8日までで、年によって変わります。報告書は、次の連邦選挙を2026年11月3日と2028年11月7日と示しています。
第1月曜日は1日から7日のどこかに来るので、その翌日の火曜日は2日から8日です。11月1日が火曜日になる年は、この決め方ではありえません。ここは私が日付を数えて確かめました。
中間選挙は大統領選挙の2年後に来る
中間選挙という言葉は、大統領の任期のちょうど真ん中で行われることから来ています。大統領は4年ごと、下院議員は2年ごとに選ばれます。上院議員の任期は6年で、3つのグループに分かれ、約3分の1が2年ごとに改選されます。
大統領の任期は4年で、下院の任期は2年なので、4÷2=2。任期の真ん中の年に、下院の選挙がちょうど1回入ります。
2026年は下院435議席すべてと上院35議席
米国の地方局が配信した記事は、2026年11月の選挙で下院の435議席すべてと、上院の35議席が投票の対象になると伝えています。勝敗の見通しはここでは扱いません。この記事で見るのは、投票の日付がどう決まったかです。
日本の衆議院の議席がどう決まるかは、衆院議員定数はどう決まる?比例31減と修正サンラグ式で議席が動く仕組みで整理しています。選挙制度の作りは国によって大きく違います。
1845年より前は、州ごとに投票日がばらばらだった
最初の選挙は半年以上かけて行われた
議会調査局の報告書によると、1788年から1789年にかけての半年以上のあいだに、下院と上院の最初の選挙が行われました。大統領選挙人が投票したのは1789年2月4日で、連邦議会が票を数えたのは同年4月6日です。国全体で同じ日に投票するという決まりは、まだありませんでした。
1792年の法律は「34日間のどこか」を認めていた
1792年に第2議会が決めたのは、大統領選挙人の投票を年の最後の月の最初の水曜日に行い、選挙人はその日の前の34日間のうちに選ぶ、というものでした。投票日が1日に決まったのではなく、期間が決まっただけです。1800年代の初めには、半数を超える州が11月の初めに大統領選挙人を選んでいました。
34日は7日で割ると約4.9で、おおよそ5週間です(34÷7で計算)。州ごとにこの幅のなかで日を選べたことになります。
日がずれると、何が問題と考えられたのか
報告書は、19世紀に交通と通信が速くなると、州ごとに投票日が違うことが不正の心配につながったと説明しています。引用されているのは「34日間の期間は興奮を長引かせ、陰謀の時間を与えた」という見方です。1844年に下院が全国で同じ日の投票日を決める法案を議論したとき、目的は「大統領と副大統領の選挙での不正を防ぐこと」と述べられました。
米国の選挙の投票日が火曜日だと、これまで知っていましたか?
- 知っていた
- なんとなく知っていた
- 初めて知った
- 日本と同じ日曜日だと思っていた
1845年の法律が、投票日を全国で1日にした
条文は「11月の第1月曜日の次の火曜日」と書いている
1845年に第28議会が成立させた法律は、大統領と副大統領の選挙人を各州で選ぶ日を「11月の第1月曜日の次の火曜日」と定めました。条文は、米国政府印刷局(govinfo)が公開している法令集(5 Stat. 721)で読めます。
最初の全国統一の投票日は1848年だった
報告書によると、全国で同じ日に大統領選挙人を選んだ最初の年は1848年11月7日です。法律は1845年に成立したのに、使われたのは3年後でした。
1845年は大統領選挙の翌年にあたり、次の大統領選挙は1848年でした。1848−1845=3年、法律ができてから最初の適用までに3年かかった計算です。
下院と上院が、同じ日にそろうまで
下院の選挙日は、1872年の第42議会が同じ「11月の第1月曜日の次の火曜日」にそろえました。適用は1876年からで、以降は2年ごとです。上院議員は、1913年に憲法修正第17条が成立するまで州議会が選んでいました。1914年に第63議会が、上院議員の直接選挙を下院の選挙と同じ日にそろえています。
1872年の法律の適用開始は1876年で、その差は4年です(1876−1872=4)。
なぜ火曜日で、なぜ11月なのか
11月は収穫が終わり、冬が来る前だった
報告書は、農業が中心の社会では、収穫の時期と厳しい冬の天候を避けて年の後半に選挙を置いた、という研究者の見方を紹介しています。引用されている表現は「11月の初めは、秋の収穫が終わったころと、冬の寒さが始まるころのちょうどあいだ」というものです。
私が調べる前に思っていたのは、「農家の都合で11月、市場の日に合わせて火曜日」という説明でした。報告書にあるのは前半だけです。火曜日の理由は、市場ではなく、日曜日の扱いでした。
月曜日にしないのは、日曜日に移動させないため
報告書の説明では、遠い地域の有権者は投票所まで一晩かけて移動する必要がありました。月曜日が投票日だと、キリスト教の安息日である日曜日に移動しなければならない人が出ます。それを避けるために、月曜日ではなく火曜日になったとされています。
月曜日でない理由を調べて、日曜日にたどり着いたのは、私には予想外でした。投票日の法律なのに、決め手が「前日の移動」だったからです。
「第1火曜日」にしないのは、11月1日を避けるため
11月の第1火曜日と決めると、1日が火曜日の年は11月1日が投票日になります。報告書によると、議員たちは「第1月曜日の次の火曜日」にすることで、11月1日が投票日になるのを防ぎました。当時は、多くの商人が月の初日に前の月の帳簿を締めていた、という事情が紹介されています。
在アトランタ日本国総領事館の解説ページは、11月1日がキリスト教の祝日である諸聖人の日にあたることも、避けた理由の一つとして挙げています。ここまでの理由は、報告書や解説ページが研究者の説明として載せているものです。法案の審議記録のなかで、議員が実際にどの理由を重く見たかまでは、今回確かめられませんでした。
この日付を知っていると、ニュースの見え方が変わる場面
「第1火曜日」と思い込んでいると日付を間違える
2026年は11月1日が日曜日なので、第1火曜日と第1月曜日の次の火曜日はどちらも3日で、同じ日になります。ずれるのは、1日が火曜日になる年だけです。その年は第1火曜日が1日ですが、第1月曜日は7日で、法律上の投票日はその翌日の8日になります。投票日の予定を英語の報道で確かめるときは、月曜日の位置から数えると間違えません。
日付を変えるには、議会が法律を作り直す必要がある
米国では投票日が法律で「何月の第何曜日の次の何曜日」と書かれています。日本で法案が国会で成立するまでの流れは閣議決定とは何か?消費減税・支援金法案が国会で成立するまでの流れにまとめています。報告書は、大統領や連邦の役人が、議会を通さずにこの日付を変えることはできないと説明しています。
州や市の選挙も、この日に合わせている所が多い
連邦政府は州や市の選挙の日程には関わりませんが、多くの自治体が便利なので連邦選挙の日に合わせています。奇数年に行う州や、学区の選挙を別の日にする市もあります。
この決め方の弱点と、注意したい点
平日の火曜日は、いまの暮らしに合っているのか
投票日が平日であることは、現代の働き方には合わないかもしれません。ただし、今回開いた報告書は、投票日を休日にする法律や参加率への影響までは述べていません。数字で比べられる資料を確認できていないため、ここで影響の大きさは断定しません。
決まった理由は、当時の事情の説明にとどまる
火曜日の理由も11月1日を避けた理由も、現代の生活には合いません。いまは日曜日に移動する人は少なく、帳簿を月初に締める習慣も変わりました。それでも変わっていないのは、変えるには議会が法律を作り直す必要があるためです。
この記事で確かめられなかったこと
1845年の審議で、議員がどの理由をどの程度重く見たかは、確認できていません。この記事で書いた理由は、議会調査局の報告書が紹介している研究者の説明です。
米国の選挙ニュースを読むときの確かめ方
日付は「月曜日から数える」
投票日を知りたいときは、その年の11月の第1月曜日を探し、翌日を投票日にします。カレンダーを見て、11月1日が月曜日なら2日、火曜日なら8日、水曜日なら7日になります。数え方が分かっていれば、2028年が11月7日になる理由も同じ方法で確かめられます。
数字は議会調査局の報告書と条文で確かめる
投票日の経緯は、議会調査局の「Election Day: Frequently Asked Questions」と、govinfoの法令集(5 Stat. 721)で読めます。どちらも誰でも閲覧できます。報道では「11月の第1火曜日」と書かれることもあるため、法律の文言は条文のほうで見るのが確実です。
よくある誤解
投票日は、毎回11月の第1火曜日ですか?
いいえ。法律の文言は11月の第1月曜日の次の火曜日です。2026年は第1火曜日と同じ3日ですが、11月1日が火曜日になる年は第1火曜日が1日ですが、投票日は8日になります。
火曜日は、農家の市場の日だったからですか?
議会調査局の報告書は、そのような説明をしていません。報告書にあるのは、遠い地域の有権者が日曜日に移動しなくてよいようにするため、という説明です。
中間選挙は、大統領選挙とは別の法律で日が決まっていますか?
下院は1872年の法律、上院は1914年の法律で、大統領選挙と同じ「11月の第1月曜日の次の火曜日」にそろえられました。偶数年ごとの同じ日付で、大統領選挙のない年が中間選挙の年にあたります。
まとめ:米中間選挙の投票日は、1845年の法律の言葉をそのまま使っている
米国の連邦選挙の投票日は、11月の第1月曜日の次の火曜日です。1845年に大統領選挙人を選ぶ日として決まり、下院は1872年、上院は1914年の法律でそろえられました。2026年の中間選挙は11月3日です。
火曜日になった理由は、月曜日に投票すると日曜日の移動が必要になるため、第1月曜日の次としたのは11月1日を避けるため、と報告書は説明しています。当時の事情に合わせた日付が、そのまま現在の法律に残っています。
投票日を英語の報道で確かめるときは、11月の第1月曜日を数えてから、翌日を見てください。変更は議会の法律でしかできない点も、覚えておくと報道が読みやすくなります。
この記事の内容、読む前から知っていましたか?
- 知っていた
- なんとなく知っていた
- 初めて知った
- 誤解していた
📚 参考文献・出典
- ・米国議会調査局(CRS)「Election Day: Frequently Asked Questions」 https://www.everycrsreport.com/reports/R46413.html
- ・米国政府印刷局 govinfo「Statutes at Large 第5巻 721頁(1845年1月23日の法律)」 https://www.govinfo.gov/content/pkg/STATUTE-5/pdf/STATUTE-5-Pg721.pdf
- ・在アトランタ日本国総領事館「アメリカ大統領選挙について」 https://www.atlanta.us.emb-japan.go.jp/nihongo/daitoryosenkyo.html
- ・ABC News 4「Fact Check Team: 435 House seats and 35 Senate races hit the ballot in November」 https://abcnews4.com/news/nation-world/fact-check-team-435-house-seats-and-35-senate-races-hit-the-ballot-in-november-election-day-congress-candidates-voters
📖 この記事について 本記事は、米国の選挙日が法律で定められた経緯を公開資料から整理する読み物で、特定の政党や候補者への評価を示すものではありません。選挙の日程や制度の最新情報は、米国の連邦・州の選挙管理機関や議会の公式資料でご確認ください。










































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