しし座流星群はなぜ33年周期で大出現する?2026年は1時間10個ほどの理由

しし座流星群は「33年ごとに大出現する流星群」と聞いたことはありませんか。私はずっと、33年たてば必ず空が流れ星だらけになるのだと思っていました。ところが調べてみると、2026年11月の今年は、国立天文台やAstroArtsを参照した天気予報サイトでも大出現の予想はなく、1時間に10個程度が最大とされています。大出現する年としない年は、何で分かれるのでしょうか。

この記事では、母天体のテンペル・タットル彗星、33年周期、ダスト・トレイルという予報の考え方を順に確かめます。そのうえで、2026年11月18日の未明から明け方に見るときの判断材料を整理します。2026年11月時点の内容です。

  • 2026年のしし座流星群の見頃は11月18日の未明から明け方で、1時間に10個程度が最大の見込み
  • 母天体はテンペル・タットル彗星で、周期は約33年
  • 大出現の年は、地球が彗星の出したちりの濃い帯を通れたかどうかで決まる
  • 次に流星が増えるのは、早くても2030年代とされている
目次

しし座流星群の2026年の見頃と流星の数

先に結論です。2026年のしし座流星群は、11月18日の未明から明け方が見頃です。流れ星の数は、多くても1時間に10個程度と見込まれています。

極大は日中で、見られるのはその直前

tenki.jpの記事(国立天文台とAstroArtsを参照)では、2026年の極大は11月18日の午前9時頃と予想されています。日本では日中なので、極大そのものは見られません。観測のチャンスは、その直前にあたる18日の未明から明け方です。なお、NASAの解説では活動期間を11月6日から30日、ピークの夜を11月16日から17日としています。日付の表し方が資料で違うので、観測前に最新の予報を確認してください。

数は例年「1時間に数個」

同じ記事によると、2003年以降は流星がかなり少なくなり、例年は1時間に数個程度です。2026年は大出現の予想こそないものの、例年よりやや多く、1時間に最大で10個程度見られるかもしれないとされています。10個というのは、1時間空を見続けたときの数です。15分なら10÷4=2.5個ほどで、私が最初に抱いた「空一面に降る」というイメージとはかなり違います。

流れ星の正体は、彗星が残したちり

流れ星の正体は、彗星が残したちり
Photo by Steve Busch on Unsplash

流星群の流れ星は、彗星が通ったあとに残したちりが地球の大気に飛び込んで光る現象です。同じ仕組みは、オリオン座流星群がハレー彗星のちりでできている話でも説明しました。10月のオリオン座流星群はハレー彗星、11月のしし座流星群はテンペル・タットル彗星が親にあたります。

母天体はテンペル・タットル彗星

tenki.jpの記事は、しし座流星群の母天体をテンペル・タットル彗星としています。Wikipedia英語版の彗星のページ(正式な符号は55P)によると、この彗星は1865年12月19日にヴィルヘルム・テンペルが、1866年1月6日にホレース・タットルがそれぞれ独立に発見しました。二人の名前が並んでいるのはそのためです。核の平均半径はハッブル宇宙望遠鏡の観測から約1.8kmと推定されています。

しし座にある放射点から流れて見える

流星群の流れ星は、ある一点(放射点)を中心に四方八方へ放射状に流れて見えます。しし座流星群の放射点は、しし座のガンマ星アルギエバのそばにあります。夜遅くに東の空から昇り、時間とともに高度を上げるため、見やすいのは放射点が高くなる未明から明け方です。しし座が夜遅くにならないと昇ってこない理由は、季節で見える星座が変わる仕組みの記事で扱っています。

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33年周期で大出現する理由は、彗星の公転周期

「33年」は、この彗星が太陽を1周する時間です。Wikipedia英語版では33.318年、tenki.jpでは約33年とされています。彗星は太陽に近づくたびに、ちりをまき散らします。

彗星が戻ってくる年に、ちりが濃い

最後に太陽へ最も近づいたのは1998年2月28日で、次は2031年5月20日の予定です(Wikipedia英語版)。2031−1998=33年で、周期とほぼ重なります。大出現が起きた1999年から2002年は、この通過の直後でした。tenki.jpは、約33年周期で流星の出現数が増減するため、活発な時期と低調な時期の差が大きいと説明しています。

33年たてば必ず大出現、ではありません

ここで私の思い込みが崩れました。tenki.jpが挙げる大出現の年は、1799年、1833年、1866年、1966年、2001年などです。1866年から1966年までは100年あります。33年ごとに数えると、1866年の次は1866+33=1899年、1966年の前は1966−33=1933年のはずですが、この一覧にその年は入っていません。周期どおりに彗星が戻っても、地球が通る場所のちりが薄ければ、流れ星はそれほど増えません。

流星雨と流星嵐は、1時間の数で呼び分ける

流星雨と流星嵐は、1時間の数で呼び分ける
Photo by Clay Banks on Unsplash

tenki.jpの記事では、星が雨のように降ってくる状態を「流星雨」、さらに多く、1時間あたり数千個から数十万個以上流れる場合を「流星嵐」と呼びます。過去のしし座流星群では、次のような大出現が記録されています。

年 主な出来事 出典の表現
1833年 大流星雨。ピークは1時間に100,000個を超えたとする推定がある Wikipedia英語版「Leonids」
1966年 ピークは1時間に144,000個超 同上。NASAは「雨のように降った」と記述
1999~2002年 合計で1時間に最大3,000個ほど。2001年は日本で1時間に1,000個超 Wikipedia英語版、tenki.jp
2026年 1時間に10個程度までの見込み tenki.jp(国立天文台、AstroArts参照)
※数字は出典ごとに推定の幅があります。1833年の推定は資料によって異なります。

1833年と1966年は桁が違う

Wikipedia英語版は、1966年のピークを1時間に144,000個超としています。1秒あたりに直すと144,000÷3,600=40個です。今年の10個程度と比べると、144,000÷10=14,400倍です。NASAの解説も、1966年は15分間ほど毎分数千個の流星が出て「雨のように降った」と書いています。

2001年は日本でも1時間に1,000個超

tenki.jpによると、2001年には11月18日の深夜から19日の未明にかけて、日本で1時間あたり1,000個を超える流星が確認されました。NASAのページには、最後の流星嵐は2002年とあります。

大出現を当てる、ダスト・トレイル理論

それまで大出現は、周期から見当をつける程度でした。tenki.jpは、しし座流星群の予報に「ダスト・トレイル理論」という新しい手法が使われたと説明しています。1999年から2002年に観測された流星嵐や増加の予報は、ほぼ的中しました。

彗星が通った道ごとに、ちりの帯が残る

日本天文学会の2002年の発表資料(PDF)には、2001年のピークは1866年と1699年に放出されたダスト・トレイルによると、予測が発表されていたことが記されています(文字化けが多く、私が読み取れた範囲です)。つまり、彗星が通過するたびにちりの帯ができ、それぞれの帯が地球軌道のどこを通るかを計算して、流れ星の多い年を絞り込む考え方です。

濃い帯に出会えるかが分かれ目

Wikipedia英語版は、地球が彗星の出した密度の高い新しい帯に出会うと嵐になり、古く広がった帯では毎分数個の流星しか出ないと説明しています。1966年のあと、地球は薄い帯ばかりを通ってきたため、近年は低調です。ウェザーニュースは、次に流星が増えるのは早くても2030年代になりそうとしています。2031−2026=5年で、次の彗星の通過までまだ5年あります。

しし座流星群が速い理由と、火球・流星痕

しし座流星群の流れ星は、主要な流星群のなかで最も速いとされ、秒速約70kmです(tenki.jp)。

逆行する軌道で、正面から飛び込む

Wikipedia英語版は、この彗星を逆行軌道のハレー型彗星としています。逆行とは、地球の公転と反対向きに太陽を回るという意味です。速さの理由を原典は説明していないので、ここからは私の理解ですが、向かい合って突っ込む形になるため、相対速度が大きくなるのだと考えています。

明るい火球と、残る光の筋

tenki.jpによると、しし座流星群は明るい火球が多く、流星が流れたあとに光の筋が残る流星痕を伴うことがあります。流星痕は数秒から、ときには数十分も輝き続けるそうです。速い流れ星は見逃しそうですが、痕が残れば余韻まで楽しめます。

2026年11月18日の未明に見るときの実用ポイント

ここからは、実際に外へ出る人向けの話です。

月明かりは、東京では23時すぎに消える

tenki.jpの記事によると、17日夜は月が出ていますが、東京では午後11時すぎに沈みます。その後は月明かりの影響がなく、18日未明から明け方は暗い夜空で観測できます。月の位置と明るさの関係は、月の満ち欠けの仕組みの記事が参考になります。

肉眼で空全体を眺め、15分は続ける

流星は空のどこにでも現れるので、放射点の一点を見つめるより、空を広く見渡すほうが多く捉えられます。望遠鏡は拡大して見る道具で、流星のように広い範囲の現象には向きません。街明かりが少なく、空が開けた場所を選び、目が暗さに慣れるまで最低でも15分は観察を続けてください。

しし座流星群のデメリットと注意点

極大が日中なので、数の山は見えない

極大が午前9時頃とされるため、日本では最も活発な時間帯を見られません。未明から明け方の数は、極大の数より少ないと考えておく必要があります。

数は少なく、天気にも左右される

1時間に最大10個程度ですから、10÷4=2.5個ほどが15分の目安です。1個も見えない時間帯もあるでしょう。雲が出れば、それも見られません。私も季節の天体ショーで、1時間まったく流れなかった夜があります。

見に行くか、ほかの日にするかの判断

判断の軸は、期待する数です。1時間に10個程度でも、暗い空で流れ星を数個見たいなら、18日の未明に外へ出る価値があります。一方、2001年のように空一面が流れる光景を期待するなら、今年は合いません。そちらは次の彗星の通過後、早くても2030年代の話です。

しし座流星群のよくある誤解

33年ごとに必ず流星嵐になる?

なりません。tenki.jpが挙げる大出現の年を見ると、1866年と1966年の間は100年あります。周期は目安で、地球がちりの濃い帯を通るかどうかが決めています。

極大の時刻に見るのが一番?

2026年は、極大が日本では日中の午前9時頃です。見られるのは、放射点が高くなる18日の未明から明け方です。

望遠鏡があれば、たくさん見える?

流星は広い範囲に流れるため、望遠鏡には向きません。肉眼で空全体を見るのがおすすめです。

まとめ:しし座流星群を2026年に楽しむ判断材料

しし座流星群は、テンペル・タットル彗星が残したちりが地球の大気に飛び込んで光ります。彗星の周期は約33年で、1966年や2001年のような大出現は、地球がちりの濃い帯を通ったときに起きました。2026年は大出現の予想はなく、11月18日の未明から明け方に、1時間10個程度が最大です。月は東京で23時すぎに沈み、条件は悪くありません。数は控えめでも、暗い空で15分ほど肉眼で見上げれば、数個は期待できます。最新の予報は国立天文台などで確認してください。

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EDITOR
白月ハルカ
ディスカバリーメディア 編集長
1995年生まれ、新潟・長岡育ち。いまは東京の中央線沿線でひとり暮らしをしながら、ディスカバリーメディアの編集長をしています。前職はIT企業の広報(5年)。統計表を眺めるのと、ラジオの野球中継と、ジョジョ(第4部派)が好きです。ニュースの見出しを見ると「本当に?」と数字を確かめにいく癖があって、その確かめた結果を記事にしています。間違いを見つけたら教えてください、すぐ直します。