国債費31兆2,758億円の中身は?債務償還費と利払費の違いと増える仕組み|日本成長戦略の数字と並べて

2026年度の国の一般会計は1,223,092億円(約122兆円)で、そのうち31兆2,758億円が国債費です。6月に「日本成長戦略」の官民投資が2040年度までに370兆円を超えると示されたあと、国の財政の数字が並ぶ場面が増えました。そこで気になるのが、予算の4分の1を占める国債費の中身です。

国債費は、債務償還費18兆2,086億円と利払費13兆371億円、事務費300億円でできています。利子より、元本の返済に備えるお金のほうが大きい項目です。成長戦略の370兆円は、国の予算とは別の物差しで数えた官民合計の累計で、国の追加分は試算上、毎年10兆円と置かれています。この記事では、国債費の内訳と増えた理由を財務省の資料で確かめ、成長戦略の数字と並べて読む方法を整理します。

  • 国債費は令和8年度に31兆2,758億円で、一般会計歳出の25.6%、社会保障関係費に次ぐ大きさ
  • 債務償還費(18兆2,086億円)は元本の返済に備える繰入、利払費(13兆371億円)は利子の支払い
  • 利払費は前年度より2兆5,142億円増え、財務省は積算金利を2.0%から3.0%に置いたことが一因と説明している
  • 成長戦略の370兆円は15年間の累計・官民合計で、国の国債費や一般会計とは単位が違う
目次

国債費は予算122兆円の4分の1を占める

1万円札の束。令和8年度の国債費は約31兆円で、一般会計歳出の4分の1を占める
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歳出を並べると、国債費は2番目に大きい

財務省の「令和8年度予算のポイント」に載っている歳出の構成を、金額の大きい順に並べます。

項目 令和8年度(億円) 歳出に占める割合
社会保障関係費 390,559 31.9%
国債費 312,758 25.6%
地方交付税交付金等 208,778 17.1%
防衛関係費 89,843 7.3%
公共事業関係費 61,078 5.0%
文教及び科学振興費 60,406 4.9%
その他 99,670 8.1%
※財務省「令和8年度予算のポイント」より。歳出総額は1,223,092億円。四捨五入のため合計は一致しない場合があります。

国債費は、社会保障関係費の次に大きい項目です。医療や年金のように新しい行政サービスを生む支出ではなく、すでに発行した国債の返済と利子にあてるお金です。

国債の利回りが決まる仕組みを先に知っておく

国債費の増減には、国債の金利が深く関わります。国債の利回りが市場でどう決まるかは、長期金利はどう決まるのかの記事で、日銀や市場の動きとあわせて整理しています。この記事では、金利が決まったあとの「国の支払い」の側を見ていきます。

私はこれまで、国債費を「借金の利子のこと」だと思っていました。数字を見直して認識が変わったのは、次の章です。

国債費の中身|債務償還費と利払費の違い

国債費は3つの部分でできている

財務省が公表している令和8年度の国債費の内訳は、次のとおりです。

事項 令和7年度当初(億円) 令和8年度(億円) 増減(億円)
債務償還費 176,693 182,086 5,393
利子及割引料(利払費) 105,230 130,371 25,142
国債事務取扱費 256 300 44
合計(国債費) 282,179 312,758 30,579
※財務省「令和8年度財務省所管予算概算が決まりました」より。億円未満を四捨五入しているため、合計は一致しない場合があります。

国債費は、公債の償還財源にあてるための国債整理基金特別会計への繰入等です。債務償還費は18兆2,086億円、利子及割引料は13兆371億円で、債務償還費のほうが約1.4倍大きくなっています(182,086÷130,371で計算)。

債務償還費は、元本の返済に備えるお金

債務償還費は、満期を迎える国債の元本を返すための財源です。一般会計は、国債を持つ人へ直接払うのではなく、いったん国債整理基金特別会計へお金を繰り入れます。財務省の「債務管理リポート」によると、この特別会計は、一般会計で発行された公債を中心に国全体の債務の整理状況を明らかにするための会計で、一般会計などからの繰入資金を財源に、公債の償還と利子の支払いを行います。

利払費は、利子の支払い

利払費は、国債の利子を払うお金です。令和8年度は13兆371億円のうち、公債利子等が127,883億円を占めます。残りは借入金利子の688億円と財務省証券利子の1,800億円です。こちらは金利と国債の残高で決まるため、金利が動けば増減します。

国債費の中で、増えた幅が大きいのは利払費です。債務償還費は5,393億円の増加、利払費は2兆5,142億円の増加でした。

国の予算の内訳を見たことはありますか?

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債務償還費は60年償還ルールで決まる

国債は「60年で返し終える」という考え方

建設国債と特例国債は、借換債を含めて全体として60年で償還し終えるという「60年償還ルール」の考え方が採られています。財務省の債務管理リポートには、600億円の国債をすべて10年固定利付国債で発行した例が載っています。

10年後の満期には、600億円の6分の1にあたる100億円を現金で償還し、残りの500億円は借換債を発行します。次の10年後にも100億円を現金で返し、残りの400億円をまた借り換えます。これを繰り返すと、当初の発行から60年後に、国債はすべて現金で償還されます。

毎年の繰入は、残高の1.6%

一般会計から国債整理基金へ入れる「定率繰入」は、前年度期首の国債総額(額面ベース)の100分の1.6と決められています。1.6%を60年分足すと96%です(1.6×60で計算)。100%には届きません。

同じリポートの600億円の例では、定率繰入は次のように減っていきます。

期間 定率繰入の計算(億円) 定率繰入額 不足額
2〜11年後 600×1.6%×10 96 4
12〜21年後 500×1.6%×10 80 20
22〜31年後 400×1.6%×10 64 36
32〜41年後 300×1.6%×10 48 52
42〜51年後 200×1.6%×10 32 68
52〜61年後 100×1.6%×10 16 84
合計 — 336 264
※財務省「債務管理リポート」の説明図をもとに作成。各期間末に現金償還100億円を行う想定。

各期間で必要な現金償還は100億円ずつ、合計で600億円です。定率繰入の合計は336億円なので、必要額の56%にあたります(336÷600で計算)。残り264億円は、定率繰入だけでは足りません。財務省は、毎年度の定率繰入額が前年度期首の国債発行残高から算出されるため、残高の減少に伴って繰入も減ると説明しています。そこで剰余金繰入や予算繰入、株式の売却収入などを組み合わせて現金償還にあてます。

債務償還費の令和8年度の内訳を見ると、「定率・差減額繰入」が172,127億円、「予算繰入」が6,587億円です。ルールで決まった繰入が、債務償還費の大半を占めています。

利払費が2.5兆円増えた理由

電卓とペンと書類。利払費は国債の残高と金利をかけ合わせて見積もる
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増加分は「積算金利」と「国債の入れ替え」で説明される

財務省の「令和8年度予算のポイント」では、利払費の令和8年度は13.0兆円で、令和7年度当初より2.5兆円の増加です。利払費の流れは、令和5年度当初8.5兆円、令和6年度当初9.7兆円、令和7年度当初10.5兆円、令和8年度13.0兆円。3年で約1.5倍になります(13.0÷8.5で計算)。

増加の理由として、財務省は2つを挙げています。

  • 積算金利が2.0%から3.0%に上がったことによる、これから発行する国債の利払費見込みの増(令和7年度当初比プラス1.0兆円)
  • 国債残高が増える中で、従来よりも金利の高い国債に置き換わったことによる、すでに発行した分の利払費の増(同プラス1.5兆円)

1.0兆円と1.5兆円を足すと、2.5兆円という増加幅に一致します。

積算金利は、予想ではなく見積りの金利

予算を組むときの金利を「積算金利」といいます。令和8年度は3.0%です。財務省は、直近1か月の長期金利の平均(1.9%)を参考に、過去の金利急上昇の事例等を勘案して設定したと書いています。市場の金利が3.0%になるという予想ではありません。

私が初めて見たとき、1.9%と3.0%の差に引っかかりました。予算の数字なので、実際の金利が1.9%のままなら、見積りより少ない利払いで済む可能性があります。逆に急上昇すれば、足りなくなるおそれもあります。どちらに転ぶかは、この記事を書いている時点では分からないことです。

金利の動きが利払費に効くのは、時間をかけて

金利が上がると、すぐに全部の国債の利子が増えるわけではありません。すでに発行された国債は、発行時に決まった利率のままです。利払費に響くのは、満期を迎えて借り換えるときと、新しく発行するときです。

目安として、財務省の予算フレームでは令和8年度末の普通国債残高が1,145.4兆円と見込まれています。約11.5兆円という数字は、残高の全部が1%高い金利に入れ替わった場合の上限で、1,145.4兆円×1%で計算したものです。現実にはすべてが一度に入れ替わることはないため、実際の増え方は、国債の償還期間にそって年々広がります。

なお、令和8年度の利払費13兆371億円を年度末の残高1,145.4兆円で割ると約1.1%です(13.0÷1,145.4で計算した粗い目安)。住宅ローンを組んでいない私にとって金利は預金の話ですが、国の予算では支出の話になります。

過去の金利水準については、なぜ日本の金利は31年も上がらなかったのかで、政策金利の推移とあわせて見ることができます。

国債費は税収と並べると重さが見える

税収83.7兆円に対して、国債費は31.3兆円

令和8年度の税収(租税及び印紙収入)は837,350億円です。内訳は所得税253,250億円、法人税206,960億円、消費税266,880億円、その他110,260億円。消費税の仕組みは、消費税はどうやって国に届くのかで整理しています。

国債費312,758億円を税収837,350億円で割ると約37%です(312,758÷837,350で計算)。国債費は、税収の4割近くに相当する大きさです。ただし歳入には税収のほかに、その他収入と公債金があるため、この比率は見方の一つです。

新しい借金は29.6兆円

歳入の側を見ると、公債金(新たな国債の発行)は295,840億円で、歳入に占める割合は24.2%です。この割合が公債依存度で、令和7年度当初は24.9%でした。内訳は特例公債(赤字公債)が22兆8,680億円、建設公債が6兆7,160億円です。

財務省の予算のポイントには、一般会計の当初予算で基礎的財政収支(プライマリーバランス)が1.3兆円の黒字になると書かれています。財政収支の赤字は、利払費相当分と基礎的財政収支の差額で11.7兆円です。13.0兆円から1.3兆円を引いた数字です。

つまり、財務省が示す財政収支の赤字11.7兆円は、利払費の大きさから基礎的財政収支の黒字を引いた数字です。国債費の中身を知っておくと、この数字の出どころが読めます。

成長戦略の数字と国債費を並べて読む

370兆円は「15年間の累計」で「官民合計」

2026年6月24日の経済財政諮問会議と日本成長戦略会議の合同会議で、首相は「期待される官民投資の規模が2040年までに総額370兆円を超える」と述べました。内閣官房の資料1では、62の「主要な製品・技術等」について、主として国内での官民による投資の年間フローの想定額を、2040年度までの15年間で合計(累計)したものと説明されています。

370兆円を15年で割ると、年あたり約24.7兆円です(370÷15で計算)。令和8年度の名目GDPの見通し691.9兆円と比べると約3.6%にあたります(24.7÷691.9で計算)。ただし、これは官民合計の年平均で、国の予算の数字ではありません。

資料には、重複の排除についても書かれています。「主要な製品・技術等」の間で重なる分は除いた合計で、官民投資額が2040年度まで記載されていないものは加算されていない、という注記もあります。国債費の31兆2,758億円と単純に並べて、多い少ないを言える数字ではありません。

国が出す分は、試算では毎年10兆円と置かれている

では、国はいくら出すのか。内閣府の「中長期的な経済・財政の姿に関する試算」では、追加の財政支出が必ずしも特定できないため、機械的に2027年度以降、毎年度実質ベースで10兆円と想定しています。2027年度に10兆円とした上で、その後は物価・賃金上昇率並みに増えるという前提です。

野村総合研究所の木内登英さんは、物価上昇率を年2%とした場合、2027年度から2040年度までの政府支出合計は約160兆円になると試算しています。この計算は、10兆円を14年分、年2%ずつ増やして足したものと一致します(10兆円×(1.02の14乗−1)÷0.02で約160兆円)。160兆円を370兆円で割ると約43%です。

ただし、内閣官房の資料は官民の内訳を示しておらず、野村総合研究所のコラムも「計画で官民の内訳は明らかではない」と指摘しています。追加財政支出の10兆円が、370兆円のうち国が負担する分と同じ意味とは限りません。ここは資料から確かめられなかったので、この記事では43%を「負担割合」としては扱いません。

国債費の31.3兆円と、追加の10兆円を並べる

3つの数字を並べると、単位の違いがはっきりします。

数字 何の数字か 数える期間 誰のお金か
31兆2,758億円 国債費(令和8年度予算) 1年度 国(一般会計)
10兆円 追加の財政支出(内閣府の試算の仮置き) 2027年度から毎年度 国
370兆円超 官民投資の想定額 2040年度までの15年間の累計 官民合計(内訳は未公表)
※財務省・内閣官房・内閣府の資料にもとづく整理です。

国債費31.3兆円は、追加の10兆円の約3.1倍です(31.3÷10で計算)。ただし、国債費は過去に発行した国債への支払いで、追加の財政支出は将来の政策のための支出です。性格の違うお金を同じ棚に並べたことになるので、増減の因果を語る数字にはなりません。

内閣府の試算は、毎年10兆円の追加財政支出を想定した場合、十分な経済成長が実現すれば債務残高対GDP比が概ね安定的に低下する姿になるとしています。一方で、成長の効果が出にくい「現状投影ケース」では、2030年度頃から上昇に転じる姿です。結果は、成長の度合いに大きく左右されるという読み方になります。

国債費の数字を読むときの注意点

予算の数字は、決算でも補正でも変わる

この記事の数字は、令和8年度の当初予算(政府案)です。実際の金利が積算金利と違えば、決算の利払費は変わります。補正予算で国債が追加発行されることもあります。「31兆2,758億円」は、年度の初めに置いた見積りだと考えておくと安全です。

国債費は、国の借金の「総額」ではない

国債費は1年度の支払いで、借金の総額ではありません。借金の総額に近いのは、普通国債残高です。財務省の予算フレームでは、令和8年度末の見込みが1,145.4兆円、名目GDP比で165.5%です。国債費31.3兆円とは桁が違う数字なので、混同しないようにします。

数字の出所が違うと、同じ名前でも金額が違う

財務省の資料でも、国債費の中の債務償還費は、見る資料で178,898億円(交付国債分を除く)と182,086億円の2通りが出てきます。前者は予算フレームで交付国債分を除いた数字、後者は国債費の内訳表に載る数字です。比べるときは、どの資料の、何を含んだ数字かを確かめます。

兆円の数字を読む判断の目安

ニュースで「◯兆円」を見かけたときに、私が最初に確かめる3つを表にまとめました。国債費でも、成長戦略の370兆円でも使えます。

確かめること 見分け方 国債費・成長戦略での例
1年か、累計か 「2040年度まで」「毎年度」などの期間の言葉を探す 国債費は1年度、370兆円は15年間の累計
国か、官民か 主語が「国」「政府」か「官民」「民間」かを見る 国債費は国、370兆円は官民合計
確定か、仮置きか 「想定」「試算」「機械的に」の言葉を探す 追加の10兆円は試算上の仮置き
※この記事での整理です。最新の数字は、2026年10月時点で各省庁の公表資料を確認してください。

3つとも同じ「兆円」で報じられるので、見出しだけでは区別がつきません。私は心配性なので、大きな数字を見るとまず、この3点を資料で確かめにいきます。確かめてみると、見出しほど話が単純でないことがほとんどでした。

国債費に関するよくある誤解

誤解1:国債費は借金の利子のことである

利子にあたるのは利払費の13兆371億円で、国債費全体の約42%です(130,371÷312,758で計算)。債務償還費の18兆2,086億円のほうが大きく、国債の元本の返済に備える繰入です。

誤解2:積算金利3.0%は、金利が3%になるという予測である

財務省は、直近の長期金利の平均1.9%を参考に、過去の急上昇の事例等を勘案して設定したと説明しています。実際の金利を言い当てるための数字ではありません。

誤解3:370兆円は国が使うお金の総額である

370兆円は、国内での官民による投資の年間フローを2040年度までの15年間で足した、官民合計の累計です。国の予算とは単位も主語も違います。国の追加財政支出は、内閣府の試算では毎年度10兆円と置かれています。

まとめ:国債費の中身と読み方

国債費は令和8年度に31兆2,758億円で、歳出の25.6%を占めます。内訳は、債務償還費18兆2,086億円、利払費13兆371億円、事務費300億円です。利子より、元本の返済に備える繰入のほうが大きい項目でした。

利払費は前年度より2兆5,142億円増えました。財務省は、積算金利を2.0%から3.0%にしたことと、金利の高い国債への入れ替えが増加の理由だと説明しています。積算金利は予想ではなく、予算に余裕を持たせるための見積りの金利です。

成長戦略の370兆円は、15年間の累計・官民合計の数字で、国債費や一般会計と同じ棚には並べられません。数字を見たら、期間・主語・確定か仮置きかの3点を確かめるところから始めてください。2026年10月時点の情報です。最新は各公式ページで確認してください。

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参考文献・出典

この記事について 本記事は、国の予算とお金の“仕組み”を知っていただくための読み物です。特定の政策や金融商品の是非を述べたり、すすめたりするものではありません。予算の数字は令和8年度当初予算(政府案)のもので、決算や補正予算で変わります。最新の数字は財務省・内閣府の公表資料をご確認ください(2026年10月時点の情報です)。

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EDITOR
白月ハルカ
ディスカバリーメディア 編集長
1995年生まれ、新潟・長岡育ち。いまは東京の中央線沿線でひとり暮らしをしながら、ディスカバリーメディアの編集長をしています。前職はIT企業の広報(5年)。統計表を眺めるのと、ラジオの野球中継と、ジョジョ(第4部派)が好きです。ニュースの見出しを見ると「本当に?」と数字を確かめにいく癖があって、その確かめた結果を記事にしています。間違いを見つけたら教えてください、すぐ直します。