TOPIXの構成銘柄が、1634社から986社になります。このニュースを見たとき、私は「上場企業が650社近く減るのか」と思いました。違いました。減るのは上場している会社の数ではなく、TOPIXという物差しに入れてもらえる会社の数です。この記事では、なぜ数が減るのか、どの会社が外れるのか、持っている投資信託には何が起きるのかを、日本取引所グループ(JPX)の公表資料と報道で確かめた数字だけで整理します。2026年10月時点の情報です。
この記事のポイント
- TOPIXは旧東証1部の全社を機械的に入れていた指数から、流動性で選ぶ指数に変わる
- 残る条件は、年間売買代金回転率0.14以上と、浮動株時価総額の累積比率で上位97%以内
- 10月7日の公表では、683銘柄が移行措置の対象、35銘柄が新規追加
- 外れる銘柄は8段階でウエイトを下げるので、一度に売られるわけではない
TOPIXの銘柄が減るのは、全社採用から選抜に変わるからです
結論から言うと、数が減る理由は採用ルールの変更です。朝日新聞によると、JPXは10月7日に、TOPIXの構成銘柄を現行の1634社から986社へ大幅に入れ替えると発表しました。実施は10月末から2028年7月まで段階的に進みます。日本経済新聞は、同じ発表を「9月末の1636社から4割減の986社」と伝えています。現行の社数が1634社と1636社で報道ごとにずれていますが、986社という数字は同じです。
私が自分で計算すると、1634社から986社への減少は約4割です。
(1634−986)÷1634≒0.397、つまり約39.7%の減少(1636社を使っても約39.7%)
日経新聞によれば、これまでは旧東証1部(現在のプライム市場)に上場する全企業を機械的に採用していました。これからは、市場に出回る浮動株の時価総額などを基準に選別します。TOPIXが1969年に算出を始めてから、これほど大きな刷新は初めてだと日経新聞は書いています。
TOPIXは何を測っている指数か
JPXの説明では、TOPIXは1968年1月4日の時価総額を100として、その後の時価総額を指数にしたものです。算出方法は浮動株時価総額加重型です。会社の株のうち、実際に市場で売買される可能性のある部分(浮動株)の時価総額が大きい会社ほど、指数を動かす力が強くなります。
同じ株価指数の日経平均株価は、別の計算で動いています。計算の違いは日経平均が7万円台に戻った計算の仕組みで書いたので、ここでは「TOPIXは時価総額で重みをつける指数」と覚えておけば足ります。
連動する資産は約160兆円ある
JPXは、TOPIXに連動するETF、投資信託、年金信託などの運用資産が、2026年6月末時点で約160兆円あると説明しています。大阪取引所とシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)ではTOPIXの先物も取引されています。物差しとして広く使われているため、JPXは「連続性を確保しつつ」見直すと説明し、周知と移行の期間を十分に取りました。ETFの仕組みを知っていると、指数の見直しがなぜ大きな話になるのかが分かりやすくなります。
新しい選び方は、売買の活発さと大きさの2条件です
JPXが示した継続基準は2つです。ひとつは年間売買代金回転率が0.14以上であること。もうひとつは、浮動株時価総額の累積比率が上位97%以内であることです。対象は、プライム、スタンダード、グロースの全市場区分になります。
年間売買代金回転率0.14とは
JPXの定義では、月ごとの売買代金回転率は「日次の東証の売買立会での売買代金の中央値×営業日数」を、月末最終営業日の浮動株時価総額で割ったものです。定期入替の基準日が属する月以前の直近12か月分を足して、年間の値にします。平均ではなく中央値を使うので、1日だけ売買が殺到しても数字が跳ねにくい作りです。
数字のイメージをつかむために、浮動株時価総額が1,000億円の会社を仮に置いてみます。
仮定の計算:1,000億円×0.14=140億円(年間の売買代金)。140億円÷12か月≒11.7億円。1か月を20営業日とすると、11.7億円÷20≒5,800万円が、1日あたりの売買代金(中央値)の目安です。式は前提を置いて作った例で、実際の会社の数字ではありません。
時価総額1,000億円の会社なら、毎日5,800万円ほど売買されていれば基準に届く計算です。出来高が細い会社は、時価総額が大きくても落ちやすい基準だと分かります。
累積比率97%は大きい順に97%まで
もうひとつの基準は、売買の条件を満たした銘柄を浮動株時価総額の大きい順に並べて、足し上げていく方法です。全体の97%に達するところまでが採用で、そこから先の小さい銘柄は外れます。JPXの資料では、整理銘柄や特別注意銘柄でなく、年間売買代金回転率の条件を満たす銘柄群が対象です。非定期の除外(上場廃止など)と、1銘柄の比率を10%までに抑えるウエイトキャップは、従来から変わりません。
TOPIXや日経平均に連動する投資信託・ETFを持っていますか?
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10月7日に公表された数字:683銘柄が外れ、35銘柄が入る
JPXが10月7日に公表した選定結果では、新規追加銘柄が35、移行措置銘柄が683でした。日経新聞は、条件を満たさない683銘柄は組み入れ比率を段階的に下げて、2028年7月にかけてゼロにすると報じています。
JPXの資料は証券コードと市場区分の一覧なので、市場ごとの内訳を私が数えました。
| 市場区分 | 移行措置(外れる) | 新規追加 | 10月30日時点の986社 |
|---|---|---|---|
| プライム | 572 | 0 | 940 |
| スタンダード | 110 | 23 | 34 |
| グロース | 1 | 12 | 12 |
| 合計 | 683 | 35 | 986 |
| ※JPX総研「TOPIX初回定期入替における選定結果(2026年10月30日実施)及び構成銘柄一覧」の証券コード一覧を、市場区分ごとに筆者が数えた値。一覧全体は1,669銘柄で、移行措置の683銘柄を引くと986銘柄になります。 | |||
数え終えて、いちばん意外だったのは外れる側の構成でした。683銘柄のうち、プライム市場の銘柄は572です。私は、スタンダードやグロースの小さな会社が中心だと思っていました。数の上ではプライムの会社が多く外れる側に入っています。
572÷683≒0.84で、外れる銘柄の約84%がプライム市場(筆者の計算)
新しく入る35銘柄
新規追加の35銘柄は、スタンダードが23、グロースが12です。日経新聞は、日本マクドナルドホールディングスとワークマン、6月にグロース市場へ新規上場したタクシー配車アプリのGOが含まれると伝えています。これまでのTOPIXは旧東証1部の会社が中心でしたが、売買が活発で一定の大きさがあれば、新興市場の会社も入れる設計です。
残る986社の中身
986社のうち、すでにTOPIXに入っていて残るのは951社です。
986−35=951(筆者の計算)。1,669−683=986も同じ数字になります。
見出しの「986社」を見ると、銘柄を大胆に絞る印象を受けます。ただ、中身は「現在の構成銘柄の約4割が段階的に外れ、新しい35社が加わる」入れ替えです。
外れる銘柄は8段階で減らされる:急に売られない設計
外れると決まった銘柄は、10月30日に指数から消えるわけではありません。JPXによると、初回の定期入替で継続採用されない銘柄(移行措置銘柄)は、四半期ごと8段階でウエイトを下げます。見直しのたびに市場が大きく動かないよう、時間をかけて移す仕組みです。
TOPIX見直しのスケジュール(JPX・日経新聞)
初回の定期入替
ウエイト低減が始まる
移行措置銘柄の再評価
8段階が完了し
基準未達はゼロに
2回目の定期入替
以降は毎年
8段階は1回あたりどれだけ減るのか
JPXの資料には段階ごとの比率の数字が見つかりませんでした。段階が均等だと仮定して計算します。
100%÷8段階=12.5%ずつ。4段階が終わった時点で、100%−12.5%×4=50%(仮定にもとづく計算)
日経新聞は、2027年10月の再評価で基準を満たした銘柄は、組み入れ比率を50%にした状態で維持すると伝えています。四半期ごとに4回下げると半分になるので、この50%という数字は上の計算と合います。ただし、各段階が実際に12.5%ずつかどうかは、一次資料では確かめられていません。
再評価で残れる会社もある
JPXは、2027年10月に移行措置銘柄の再評価を行い、継続基準を満たした銘柄の段階的なウエイト低減を止めると説明しています。つまり683銘柄すべてが確実に消えるのではなく、1年後にもう一度チャンスがあります。朝日新聞も、27年10月に再評価があるため、実際の銘柄数は変動しうると書いています。986という数字は、確定値ではなく通過点です。
TOPIX連動の商品を持っている人には何が起きるか
TOPIXに連動する投資信託やETFは、指数の銘柄と比率に合わせて株を持っています。指数の比率が変われば、商品の中身も変わります。この作業は運用会社が行うので、個人が自分で何かを売る必要はありません。
ここは私も最初は読み違えていました。「986社に絞られる」という見出しから、手元の投資信託が組み替えで損をするのかと想像したのです。ところが、ニュースになっている「入れ替え」は指数という物差しの話で、投資信託のどの銘柄をいつ入れ替えるかは、各商品のルールと運用会社が決めます。投資信託とETFの違いを押さえていると、誰が売買を担当するのかがはっきりします。
自分の持ち株が外れるかは、証券コードで調べられる
JPXのTOPIXのページには、「TOPIX初回定期入替における選定結果及び構成銘柄一覧」が公開されています。PDFの中に、新規追加、移行措置、構成銘柄の三つの一覧が、証券コード順に載っています。気になる会社の証券コード(4桁、または新しい銘柄は数字とアルファベットの組み合わせ)で検索すれば、その会社が移行措置の対象かどうかが数分で分かります。
外れる会社を「業績が悪い会社」と読むのは早計です。基準になっているのは売買の活発さと浮動株時価総額で、利益や成長性そのものではありません。
入れ替えで注意したい点と、分からないこと
ここまでは決まっている部分でした。次に、まだ決まっていない、または数え方で揺れる部分を整理します。
986社は固定の数字ではない
2027年10月の再評価で、基準を満たした銘柄は残ります。そのため、最終的な銘柄数は986社から変わる可能性があります。2028年10月以降は毎年の定期入替があり、銘柄数は毎年動きます。
現行の社数は報道で1634社と1636社に分かれる
朝日新聞は「現行の1634社」、日経新聞は「9月末の1636社」と書いています。2社の差は、数えた基準日や定義の違いかもしれませんが、私はその理由を確認できていません。JPXの一覧では、構成銘柄の1,669から移行措置の683を引いた986が合う、という点だけを確かめました。
市場全体への影響は、この記事では扱わない
入れ替えの前後で、個々の株価がどう動くかは私には分かりません。一次資料には書かれていない領域なので、予想は書かないことにしました。
TOPIXと日経平均、どちらを見ればよいか
ニュースで数字を見る場面を、3つに分けて考えます。
| あなたの状況 | 見る場所 |
|---|---|
| TOPIX連動の投資信託・ETFを持っている | 商品の月次レポートで構成銘柄数と比率の変化を確認する |
| 個別株を持っている | JPXの一覧PDFで証券コードを検索し、移行措置銘柄かどうかを確認する |
| どちらも持っていない | 特に何もしなくてよい。指数の物差しが変わる話として知っておく |
TOPIXが前日より何ポイント動いたかは、入れ替え後も天気予報のように使えます。ただし、2026年10月30日を境に、同じ「TOPIX」でも中身は別物になります。過去のグラフと見比べるときは、そこで線の意味が少し変わることを覚えておいてください。
TOPIX見直しのよくある誤解
683社は上場廃止になるのですか
なりません。外れるのはTOPIXという指数の構成銘柄からで、東証での上場や売買は続きます。ウエイトが下がるのは指数の中での話です。
986社しか日本に上場企業がないのですか
違います。986社はTOPIXの構成銘柄の数です。JPXの一覧は、指数を作るための選別結果であり、上場企業の総数を表すものではありません。
プライム市場にいれば、TOPIXには残れますか
自動では残れません。これまでは旧東証1部の全社が機械的に採用されていましたが、これからは売買代金回転率と浮動株時価総額の基準で選びます。今回の683銘柄のうち、572銘柄はプライム市場の会社です。
まとめ:TOPIXの986社は全社採用の終わりを示す数字です
TOPIXが1634社から986社になる理由は、旧東証1部の全社を入れる方式から、売買代金回転率0.14以上と浮動株時価総額の上位97%という2条件で選ぶ方式に変わるからです。10月7日の公表では、移行措置が683銘柄、新規追加が35銘柄でした。外れる銘柄は、四半期ごとの8段階でウエイトを下げ、2027年10月には再評価があります。
見出しだけを見ると、上場企業が650社近く消える話に読めます。実際は、指数という物差しの目盛りが変わる話です。持っている投資信託の中身は運用会社が組み替え、自分の持ち株が対象かどうかはJPXの一覧で調べられます。数字を確かめたうえで、必要な人だけが動けばよい見直しだと、私は受け止めています。最新の情報は、JPXの公式ページで確認してください。
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📚 参考文献・出典
- ・JPX「TOPIXの見直しの概要」 https://www.jpx.co.jp/markets/indices/revisions-indices/index.html
- ・JPX「TOPIXの見直し 第2段階の見直し(次期TOPIXルール・移行措置)」 https://www.jpx.co.jp/markets/indices/revisions-indices/02.html
- ・JPX「TOPIX(東証株価指数、TPX)」 https://www.jpx.co.jp/markets/indices/topix/index.html
- ・JPX総研「TOPIX初回定期入替における選定結果(2026年10月30日実施)及び構成銘柄一覧」(2026年10月7日公表) https://www.jpx.co.jp/news/6030/t13vrt00000262wd-att/topix_j.pdf
- ・日本経済新聞「TOPIX刷新、4割減の986銘柄 マクドナルド・GO・ワークマンを採用」(2026年10月7日) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB06BLV0W6A001C2000000/
- ・朝日新聞「TOPIX再編、1634→986社へ 大規模入れ替えをJPX公表」(Yahoo!ニュース・2026年10月7日) https://news.yahoo.co.jp/articles/89909b09f9319628e70f4b5382c47a305de1e1a5
📖 この記事について 本記事は、お金の“仕組み”を知る面白さをお届けし、お金や経済への興味を広げていただくための読み物です。特定の金融商品をすすめるものではありません。実際の投資・契約はご自身の判断で、必要に応じて専門家にご相談ください。2026年10月時点の公表資料にもとづいています。










































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