ニュースの見出しには「織田翔希を巨人が強行指名」とありました。私は最初、人気の高校生を巨人がくじで引き当てたのだと思い込んでいました。ところが結果を開くと、織田翔希は巨人の単独指名で、抽選にすらなっていませんでした。
2026年のドラフト会議の1位指名で抽選になったのは、別の3人です。この記事では、日本経済新聞と東京スポーツの指名結果、Wikipediaの「プロ野球ドラフト会議」の記述で数字を確かめ、競合の抽選が「何球団重なると当たりにくいのか」「ロッテが2回続けて外れたのはどのくらい珍しいのか」を自分の計算で確かめます。
- 2026年の1位指名は、12球団のうち8球団が単独指名で、抽選になったのは3人だった
- 抽選は、外れた球団だけで全員の1位が決まるまで繰り返される
- n球団が競合したとき、1球団が当たる確率は何番目にくじを引いても1/nになる
- 2球団競合を2回続けて外す確率は1/2×1/2=25%で、4回に1回は起きる
2026年のドラフト1位は、8球団が単独指名だった
織田翔希は抽選にならなかった
日本経済新聞の指名一覧では、巨人の1位は横浜高の織田翔希投手で、指名形式は単独です。米球界への挑戦を表明していた選手で、来年3月末までに契約を結べなければ、交渉権を失うと報じられています。
単独指名の球団は、抽選を行わずに交渉権が決まります。巨人のほかに、阪神、DeNA、広島、ヤクルト、西武、日本ハム、オリックスの計8球団が単独でした。12球団−抽選に参加した4球団(楽天・中日・ロッテ・ソフトバンク)=8球団という引き算でも合います。
抽選になったのは3人、いずれも2球団の競合
競合した3人と、抽選の結果は次のとおりです。
| 選手 | 指名した球団 | 交渉権を得た球団 |
|---|---|---|
| 渡部海(青学大・捕手) | 楽天、中日 | 楽天 |
| 鈴木泰成(青学大・投手) | ロッテ、ソフトバンク | ソフトバンク |
| 宮原廉(近大・投手) | ロッテ、中日 | 中日 |
| ※出典:日本経済新聞「2026ドラフト指名選手一覧」、東京スポーツ「12球団指名結果速報」 | ||
競合の抽選は、外れた球団だけで繰り返される
入札抽選の流れ
Wikipediaの「プロ野球ドラフト会議」によると、1巡目は入札抽選です。参加する全球団が同時に選手を指名し、重複した場合は抽選を行います。抽選に外れた球団だけで再度入札抽選を行い、全球団の1巡目指名選手が決まるまで繰り返します。いわゆる「外れ1位」です。
この仕組みなので、2026年のように、先に当たった球団は2回目以降の抽選に出てきません。楽天とソフトバンクは1回で決まり、残った中日とロッテが次の抽選に進みました。
ロッテは2回外れて、単独指名に回った
東京スポーツの結果速報には「ロッテは2度外れて米沢友翔を1位指名した」とあります。鈴木泰成と宮原廉の抽選に外れ、関西大の米沢友翔投手は抽選なしの単独指名でした。中日は渡部海で外れたあと、宮原廉で当たっています。
私はプロ野球をラジオ中継で聴くので、結果を文字で見ると、抽選の経過よりも「誰が誰に当たったか」だけが目に入ります。外れた球団がどういう順で動いたかは、表にしないと追いにくいと感じました。
くじ引きやガチャの確率を、計算して確かめることはありますか?
- よく計算する
- たまに計算する
- 気になるが計算しない
- 考えたことがない
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n球団が競合すると、当たる確率は1/nになる
競合する球団が多いほど、当たる確率は下がる
当たりが1枚、外れがn−1枚のくじを、n球団が1回ずつ引くとします。NPBの封筒やくじの細かい手順は、私が開いた資料では確認できませんでした。そのため、ここでは公平なくじという前提で計算します。この前提だと、1球団が当たる確率は、くじを引く球団の数から決まります。
| 競合した球団の数 | 1球団が当たる確率 | 1球団が外れる確率 |
|---|---|---|
| 2球団 | 1/2=50% | 50% |
| 3球団 | 1/3=約33.3% | 約66.7% |
| 5球団 | 1/5=20% | 80% |
| 8球団 | 1/8=12.5% | 87.5% |
| ※当たり1枚の公平なくじという前提での筆者の計算 | ||
Wikipediaには、最多の競合は野茂英雄と小池秀郎の8球団、1位の再指名(外れ1位)での最多は佐々木千隼の5球団とあります。8球団が競合した年は、1球団が当たる確率は1/8=12.5%で、8球団のうち7球団が外れる計算です。
確率の数字を判断に使う場面は、ほかにもあります。ホテルや飛行機の予約超過を確率で読む仕組みは、オーバーブッキングがなぜわざと起こされるのかの記事で書きました。
引く順番で確率は変わらない
「先に引くほうが有利」と感じる人は多いのですが、当たりが1枚だけで、引いた結果を見せないくじなら、何番目に引いても確率は同じです。8球団で3番目に引く球団が当たる確率は、1番目と2番目が外れ、3番目で当たる確率なので、次のようになります。
7/8(1番目が外れ)×6/7(2番目が外れ)×1/6(3番目が当たり)=42/336=1/8=12.5%
途中の分母と分子が次々に消えて、最後は1/8になります。何番目でも1/nになるのは、当たりの1枚が8枚のどこにあるかを、どの順番でも同じ確率で決めているからです。
ロッテが2回続けて外れるのは、珍しい確率ではなかった
連続して外れる確率は掛け算で出せる
2026年のロッテは、鈴木泰成の抽選と宮原廉の抽選に続けて外れました。どちらも2球団の競合で、それぞれの抽選が別々のくじなら、2回続けて外れる確率は1/2×1/2=1/4=25%です。4回に1回は起きる計算で、とても珍しい出来事ではありません。
| 毎回の競合球団数 | 1回外れる | 2回続けて外れる | 3回続けて外れる |
|---|---|---|---|
| 2球団 | 50% | 25% | 12.5% |
| 8球団 | 87.5% | (7/8)²=約76.6% | (7/8)³=約67.0% |
| ※各回が別々の公平なくじという前提での筆者の計算 | |||
8球団が競合する年なら、3回続けて外れる確率が約67.0%もあります。競合する球団が多いほど、外れる経験は普通のことになります。
外れたあとの抽選は、当たりやすくならない
「2回外れたのだから、次は当たるはず」とは考えられません。各回のくじは別々に作られるので、前の結果は次の確率に影響しません。2回外れた直後に2球団で抽選をしても、当たる確率は1/2=50%のままです。ロッテの3回目は抽選ではなく単独指名でしたが、仮に抽選だったとしても、確率は上がりも下がりもしません。
大学のゼミが社会調査法だった私は、確率の話になると、つい先に電卓を取ってしまいます。ガチャの「当選確率」の表示を見ると計算したくなるのと同じで、ドラフトの結果も、4回に1回起きる並びだと分かると、見え方が変わりました。
単独指名と競合指名を、確率でくらべる
単独指名は抽選の確率が1になる
単独指名なら、抽選に回らないので、交渉権を得る確率は1/1=100%です。織田翔希を指名した巨人は、抽選に外れる心配なしに交渉権を得ました。ただし、交渉権と入団は別です。織田翔希は米球界への挑戦を表明していて、来年3月末までに契約できなければ交渉権を失うと報じられています。
競合指名は、外れても次の指名に進める
競合した球団が外れても、そこで1位指名が終わるわけではありません。外れた球団は、もう一度、別の選手を指名できます。2026年のロッテは、2回外れても、3人目の米沢友翔投手を単独指名で1位に迎えました。確率だけで見れば、競合は「当たる確率が1/n」で、外れれば再び指名する権利が残る、という構造です。
どちらが得かは、確率だけでは決まりません。選手への評価、ほかの球団の動き、入団してもらえるかどうかが関わります。この記事で確かめられたのは、抽選に入った場合の確率の部分だけです。
ドラフト抽選のよくある誤解
くじ運のいい球団がある、は本当か
公平なくじなら、球団ごとの「くじ運」はありません。過去の当たりの回数に差があっても、競合した球団数が違えば、当たる確率が違うので、単純に比べられません。2球団競合で当たる回数と、8球団競合で当たる回数は、同じ価値ではないからです。
2回外れたら次は当たりやすい、は誤解
上で計算したとおり、前の結果は次の抽選に影響しません。「そろそろ当たる」という感覚は、ガチャのような確率の話でも起こりやすい思い込みです。
単独指名なら、その選手が入団する、は誤解
単独指名で決まるのは交渉権です。入団するかどうかは、選手と球団の契約で決まります。織田翔希のように、期限までに契約できない場合は、交渉権を失うと報じられています。
確率の数字を読むときの注意点とデメリット
競合の数が1つ増えても、確率の下がり方は小さくなる
2球団から3球団に増えると、当たる確率は50%−約33.3%=約16.7ポイント下がります。7球団から8球団に増えても下がるのは1/7−1/8=約1.8ポイントで、数字の上の違いはずっと小さくなります。競合の数が少ないうちは1球団増えるだけで大きく変わり、多くなると差が出にくくなります。
この記事の計算には前提がある
この記事の確率は、当たり1枚の公平なくじを前提にした筆者の計算です。NPBの抽選の実際の手順(くじの形式や引く順番)は、私が開いた資料で確かめられなかったため、ここでは書きませんでした。また、2016年からは外れくじを完全な白紙にしたとWikipediaにあります。2015年の抽選トラブルを受けたものです。くじの作り方まで公平さを保つ工夫が入っています。
ニュースの確率を判断する選び方
3つの質問で確かめる
確率が出てくるニュースを見たら、次の3つを確かめると、数字の意味が分かります。
- 何人(何球団)で分けているか。競合が2球団か8球団かで、確率は大きく変わります
- 何回続けた結果か。1回の確率と、続けて起こす確率は別の数字です
- 各回が別々のくじか。前の結果が次に影響するのか、影響しないのかを分けて考えます
日常の抽選にも使える
町内会や職場のくじ引き、イベントの抽選でも、当たりが1つなら、引く順番は関係しません。当たる確率を知りたいときは、1を参加人数で割れば出ます。ただし、運営側がくじを公平に作っていることが前提です。
見出しの数字と実際の結果がずれて見えるのは、天気予報でも同じです。線状降水帯の直前予測が外れても無視できない理由も、数字の読み方の記事です。2つに割れた結果が半々になる例は、囲碁のコミがなぜ6目半なのかの記事でも確かめました。
まとめ:ドラフト1位の抽選は、1/nと掛け算で読める
2026年のドラフト1位では、織田翔希は巨人の単独指名で、抽選になったのは3人でした。n球団が競合すれば、公平なくじなら、1球団が当たる確率は何番目に引いても1/nです。ロッテのように2球団競合で2回続けて外れる確率は1/2×1/2=25%で、4回に1回は起きる並びでした。
ニュースで抽選や確率の話を見たら、何球団で分けているか、何回続けた結果か、前の結果が次に影響するかを分けて確かめてください。単独指名で決まるのは交渉権までで、入団までは別の話です。2026年10月時点の報道と資料に基づく内容で、最新の情報は各球団やNPBの発表でご確認ください。
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- 初めて知った
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📚 参考文献・出典
- ・日本経済新聞「プロ野球:2026ドラフト指名選手一覧 織田翔希を巨人が1位指名」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODH215040R21C26A0000000/
- ・東京スポーツ「【2026プロ野球ドラフト会議】12球団指名結果速報」 https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/407457
- ・Wikipedia「プロ野球ドラフト会議」(入札抽選の手順・最多競合の記録) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E9%87%8E%E7%90%83%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88%E4%BC%9A%E8%AD%B0
📖 この記事について 本記事は確率の考え方を紹介する読み物です。数字は2026年10月時点の報道と資料に基づく筆者の計算で、最新の情報は各球団やNPBの発表でご確認ください。










































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